見出し画像

敗者だから伝えたい こうして会社は倒産しました ⑪

~人材を大事にしない社長~

 前回までのあらすじ。身内を信頼したら、実は一番の問題者だったという驚きの話ですが、判明したのは倒産後でした。

 それによって、きちんとしていた人材を失ったのですが、身内びいきで、従業員を信頼せず、理想論だけを高く掲げる私からは、どんどん人が離れていきます。

会社内は悪口ばかり

 入社して専務の肩書をもらったおかげで、あからさまに取り入ろうとする従業員はそこそこいました。ボンボンの三代目でも、そのぐらいは見透かしてしまうので、むしろ嫌な感じしかしませんでした。

 時々メーカ訪問や流通グループ(九州内の同業者同士で共同事業をしていました)で県外出張に行くのですが、その際に支店長や部長と同行するのですが、誰と行っても常に誰かの悪口が始まります。社内不倫とかの暴露話や、能力的な問題等の羅列があり、全てが真実であれば、
「全員ダメなやつばかりじゃないのか?」
という結論になるような状態です。

実態は、ほとんど真実だったので、なかなかまずかったのですが。

 再建途中のグループですから、不倫が横行していても、当人の問題ということで、そこは目をつぶります。本当はまずいですが、該当者が多いので、一斉にクビにすれば会社が回らなくなります。今ならあえりませんよね。

物流センターのアウトソーシング

 そうこうしている間も会社は経営再建中なので、何か手を打つ必要があります。そこで持ち上がった話が、物流センターのアウトソーシングです。

 会社の物流センターは老朽化が進み、C社の製品は9割以上が要冷蔵商品なのに、倉庫の温度は15℃ぐらいです。真夏は20℃以上になってたような気がします。要冷蔵は10℃以下なので、品質管理の面からもよろしくない状態です。

 また、コストが非常に高止まりしており、売上の9%程度まで上がっています。業界標準が7%なので、2%も高いです。売上が30億程度だったので、年間6千万円高いことになります。これだけ浮けば黒字化できます。

 物流についても必死に学び、実態を把握していきましたが、再建するのは3社なので、C社の物流だけに時間をかけられません。ということで、最も安易なのが、アウトソーシングでした。

 物流の専門にお願いして、ノウハウでコストダウンをしてもらう。C社の物流費が下がるだけで、C社は黒字化します。実に安直です。早速交渉を重ね、委託先を決定します。

 決定したら、現在の従業員は解雇し、取引業者も取引停止になります。
淡々と書いていますが、実は当時の感情的にも淡々としていました。企業再生が最優先であり、働いている人や取引している業者への気持ちの配慮もありませんでした。

信頼すべき古参で真面目な従業員を解雇

 私が入社した時に、商社であるB社で仕入の担当をしていた方がいました。まじめな方で、6話で不正をした物流センター長を解雇したので、その後、物流センター長を任命していました。

 新しく物流センター長をされていた方は、営業は不器用なため得意では無かったらしく、そのため仕入れ担当を先代社長から任されていたようです。まじめだった性格もあり、在庫の不正流用等を心配することなく、運営はできていました。

物流センター移転によって、当初は彼だけは本部に戻して解雇しない予定だったのですが、彼に最もお世話になったはずの従業員が私に悪口を吹き込んみ、それを検証もせずに真に受けた私は、彼も同時に解雇することにしました。

 彼としては騙し討ちにあったような気持ちだったでしょう。後々を考えたた残した方が、ましな結果になったかもしれません。

倒産社長が伝えたい経営の教訓


できる社員より信頼できる社員の方が大事

 できる従業員の方が、成長にも再生にも重要視されがちですが、特に中小企業では、仕事を任せたり、旗を振った方向を一緒に向いてくれることの方が何倍も大事です。

 仕事ができる社員とは、過去の結果の話であり、将来できる社員であるかどうかは分かりません。ビジネスモデルも社会の動向も変わっていくからです。

 本当に信頼できる人は、その信頼を得るような行動を続けています。目に見えない価値ですから、一方的な信頼は裏切りられることもありますが、それは行動をみていないことが原因ではないでしょうか。

面白いとか、役に立ったとか、つまらないとか思って頂けたら、ハートをお願いします。ツイートやFBで拡散して頂けると、とってもうれしいです。

次のお話はこちら

シリーズ1回目はこちらからです。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?