社労士的就業規則の作り方 5 人事異動と休職
鹿児島で社労士をしています原田です。
社労士だったら、みんな大好きだと思う気持ちが大切。就業規則の作り方です。内容は無料公開のため懇切丁寧ではありません。あしからず。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第二章 採用、異動等 第8条~
人事異動の権限について
第1項は人事異動についての話です。特に一般職で採用した従業員の場合は、多岐に渡る職種を理解した上で、管理職になることを望まれている場合もあるため、こうした記載をすることが多いです。
これは令和5年度版なので、モデルの解説にも記載されていませんが、令和6年4月から、労働条件通知書等に就業の場所の範囲や業務の範囲を記載するようになりました。
また専門業務に特化した採用や、就業場所を限定した採用を行う場合は、「前項に関わらず~」と例外があることを明示された方が望ましいでしょう。
第2項についても、在籍出向の可能性がある場合は記載します。現実的に企業グループが無い中小企業での在籍出向は、ほとんど考えられないので、規模が小さい場合に消しておいてもいいでしょう。
在籍出向の場合は、所属は元の会社のままで、雇用保険や社会保険もそのままになるので、職務として別の企業に行っているだけとなります。
出向するケースが実際にあり得る場合は、その際の労働条件等について、もう少し詳細に記載した方が望ましい場合があります。
第3項にそれらの拒否ができない明示ですが、この条項があるから、絶対拒否ができないわけではありません。職種の変更や就業場所の変更が、会社として必要とする合理的な理由が無ければ無効になります。
また、明示していることによって、不合理な理由で拒否する場合に、解雇処分とすることも可能です。こうした事件については、解雇の有効・無効で多数の判例が出ています。多くは頻度や程度や理由によって判断されているので、合意を目指す努力は忘れないように。
休職規定
就業規則好きの社労士が、大好きな休職規定です。休職規定は社労士として雄弁に語る方が多いでしょう。休職の定めについては、労基法等で定めているものでは無いため、自由度が高い条文と考えられています。また休職にまつわるトラブルもあるので、要注意です。
第1項で、この場合は2種類に分けていますが、私傷病・私事・公務・起訴・専従・出向・その他と7種類に分ける場合が多いです。それぞれで、休職の期限を変えていたりします。
第2項は休職後の復職についてですが、精神疾患後で休職し、復職後の自殺で会社責任を問われた訴訟もあり、復帰時の安全配慮義務には非常に慎重でさを求められます。精神疾患は再発することもあり、復職前と同じような精神的重圧がかかる職場であれば、最悪の自体を招く場合があります。
復職に耐えうる回復の度合いや、復職後に従事する業務等について、信頼できる医師に確認することが望ましいと言えるでしょう。
第3項はいわゆる休職満了退職のことです。これが無い場合は、求職によって退職させる根拠を失うので必須です。傷病以外でも行方不明や単なるサボり等も稀にあります。社会保険に加入していると、本人負担分まで支払い続けなければならないので、長期の休職による会社の負担は重いです。
休職については、
・いつから日数をカウントするのか
・傷病休職は命令なのか申請なのか
・復職時の元職への復帰条件はあるのか
・賃金の支払いはどうなるのか
等の検討を含むのか否かによって、どの程度記載するかが変わります。
ちなみに私は休職に関して、4条に渡って詳細に明記するようにしています。これがあるだけで「リスク回避型就業規則です」と言ってる人もいますが、これだけでリスク回避とは言えないし、そもそも就業規則にどんなに書こうとも、書くだけでリスクが回避できるわけではありません。
就業規則を売りたい人にとっては、いい語り文句でしょうが、そんなものでは無いことを知っておくことが重要です。
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