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初単著『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ』が刊行されます

〈セカイ系〉をキーワードにアニメ・音楽・アート・哲学などを横断的に扱う評論アンソロジー『ferne』を主宰する、北出栞と申します。

2021年より始めたこの活動の集大成ともいえる単著『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ――デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術』が、このたび出版されることになりました!

装画はミュージシャンとのコラボも多数のアーティスト/アニメーター・米澤柊さん、装丁・本文の文字組は『いなくなれ、群青』など文芸・漫画を中心に多数の本を手がける川谷康久さんがご担当。帯コメントは『最終兵器彼女』作者の高橋しんさん、自分にとって文筆の師匠でもある佐々木敦さん、気鋭の詩人・水沢なおさんにそれぞれいただきました……!

「世界の終わり」を紡ぐあなたへ――デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術
発売日:2024年4月23日
価格:2,000円+税
版元:太田出版
装画:米澤柊
デザイン:川谷康久
予約:https://www.amazon.co.jp/dp/4778319265/

<目次>
はじめに
1章 セカイは今、どこにあるのか
2章 デジタルな実存の再構築(リビルド)  
3章  ミュージックビデオ的想像力
4章 タッチパネル上で生まれる「切なさ」  
5章  「ポスト・ボカロ」とは何か
6章 浮遊する 「天使」 のサンプリング
7章 タイムラインの中で「かたち」を捉える
8章 セカイに向けて響く祈りの歌
おわりに

<出版社プレスリリースより>
〈セカイ系〉……「君と僕」の間で起きる小さな問題と、「世界の終わり」のように大きな問題を直結させて描くような想像力を指して使われてきた言葉。
〈セカイ系〉は「社会」を描かないものとして長らく揶揄の対象となってきた。しかし、その誕生が2000年代初頭であったことを思い返すと、インターネットの普及によって「世界」の意味するところにドラスティックな変化が起きたことを鋭敏に捉えた想像力でもあったのではないか。「社会」を冠するデジタルテクノロジーであるソーシャルメディアが人々に分断やストレスをもたらしている現在、カタカナの「セカイ」という表記が再び存在感を増している。〈セカイ系〉と呼ばれる作品やそれに関する言説の再解釈を通じ
て、デジタルテクノロジーを通じた「世界」との向き合い方を再検討できるはずだ。
本書は上記のような問題意識に基づき、デジタルテクノロジーと主にアニメ・ゲーム・音楽作品を中心に、2000年代から2020年代=現在までの道のりをたどり直す。
1章では導入として、〈セカイ系〉について過去の議論を振り返りつつ、デジタルテクノロジーと「作品」との関係という観点から再整理する。
2章・3章・4章では、2020年代に入ってなおピークを更新し続けている庵野秀明、新海誠、麻枝准の3人に光を当て、デジタルテクノロジーとともに「作る」ことについて、各作品に込められたテーマ性についても掘り下げつつ考えていく。
5章・6章・7章では、動画投稿プラットフォーム/ソーシャルメディアの登場以降、相対的に「作家」の存在感が小さくなっている現実を受け止めつつ、消費するだけでなく「作る」立場に立つための思考とは何か検討する。
8章ではエピローグとして、デジタルテクノロジーとともに「作る」ことの本質とは何かに加え、それまでの議論を通して浮かび上がってきたスマートフォン/ソーシャルメディア時代における「切なさ」のありかという主題を統合して論じる。
自費出版による〈セカイ系〉評論アンソロジー『ferne』が話題を呼んだ編集者・ライターの北出栞が、アニメ・ゲーム・音楽作品などに見られるイメージを横断しながら、「セカイ」という表記が捉える現代のリアリティの正体を探る一冊。

スマホ・SNS以降の「共感」と「つながり」ベースの世界の中で、孤独に作品と向き合う経験、現実世界から切断される感覚としての「切なさ」を味わうことはいかにして可能か。

その問いに対する答えを、〈セカイ系〉と呼ばれる作品群に見られるビジュアルイメージやテキスト表現、またその制作プロセスを分析することを通じて探っていきます。

ノスタルジックに過去を振り返るのではなく、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『すずめの戸締まり』などレジェンドの近作、『ブルーアーカイブ』『プロジェクトセカイ』『ヘブンバーンズレッド』など人気のスマートフォンゲーム、ミュージックビデオやプロモーションムービー、ボーカロイドシーンおよびSoundCloudシーン、存命作家による現代アート作品など、「いま」の作品経験を問うための概念として〈セカイ系〉を蘇らせます。

批評の文脈的には、昨今翻訳・文庫化の波が来ているレフ・マノヴィッチ、ヴィレム・フルッサーなどのメディア理論/ソフトウェア・スタディーズの観点から2000年代の東浩紀周辺の仕事を捉え直す、という狙いもあります。これまでのコンテンツ批評に欠けていた、映像編集ソフトや音楽制作ソフトの機能に着目して映像作品と音楽作品を並行的に論じる、ということに取り組んでいます。

特にものを作る人、若い世代のデジタルカルチャー(アニメ・音楽・ゲームetc.)好きの人に読んでいただけたら良いなと願っています。ぜひご予約いただければ幸いです!

<主なキーワード>
リリイ・シュシュのすべて/BBS/浜崎あゆみ/ケータイ小説/恋愛アドベンチャー/世界線/シン・エヴァンゲリオン劇場版/青空と廃墟/マルクス・ガブリエル/使徒/ニューメディアの言語/ほしのこえ/レイヤーの美学/AMV(Anime Music Video)/ブルーアーカイブ/Key/否定神学/ヘブンバーンズレッド/触視的平面/初音ミクの消失/プロジェクトセカイ/YOASOBI/音楽的同位体/#indie_anime/ブルーライト文芸/天使界隈/DAW(Digital Audio Workstation)/サンプルパック/新しい孤独/Web1.0/詩作とプログラミング/キリエのうた/戦争の時代/最終兵器彼女……

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