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「留学×SSEAYP」第1弾-羅針盤#7

 今回は趣向を少し変え,新しい連載をスタートします。今回の連載のテーマは「留学×SSEAYP」。3か月以上の長期留学を経験したかつ,東南アジア青年の船(以下,東ア船)に参加した人に,「両方を経験したからこそ,得られたこと」を主軸にインタビューしました。連載第1弾は,第44回(2017)年に東ア船に参加した石黒友梨さんです。

※「東南アジア青年の船」に関する詳細は,こちら内閣府のウェブサイトをチェック!
※2019年度の募集要項に関しては,こちらを参照ください.

———よろしくお願いします。まず簡単に自己紹介をお願いします。

 石黒友梨です。19歳の時にアメリカ・ボストンに10か月くらい留学して,21歳で東ア船に参加しました。今は22歳です。

———まず,東ア船に参加しようと思った動機を教えてください。

 動機は,もともと国際協力と環境問題にすごく興味があって,将来,この2つに関連した仕事を世界を舞台にしたいと思ってました。ただ,世界で仕事をする上でまだ他の国のことをよく知らなかったので,まず身近なアジアから知ろうということで東ア船に参加しました。東ア船は,世界青年の船(以下,世界船)でNational Leaderを務めてた方と知り合ったときに教えてもらったことがきっかけで知りました。

———環境問題に興味があったとのことですが,興味を持ったきっかけは何ですか?

 小さいころからマリンスポーツを通じて自然,特に海に触れ合う機会が多かったんですけど,その頃から「日本の海は汚い」と思ってたのが原体験ですね。

———ボストンでの留学は,その環境問題と関係があることだったんですか?

 環境問題にフォーカスしていたわけではないです。私のボストン留学は,大学1年生の時に学んだビジネスの基礎をもう一度英語で学びなおすという位置づけでした。それ以外には自分で語学学校に通ったり,コンペティションに出たりしていました。

———ボストン留学の10か月間で,一番大きな学びをあげるとしたら何だと思いますか?

(留学時の一枚)

 なんだろうな…まず,向こうの人って「空気を読む」ことを知らないから,はっきりものごとを言わないといけないことを学んだことですかね。なので,なんでもかんでもはっきり意見を言い合うので,それが時には対立に発展したりするんですよ。その時私はstudent leaderっていう役職をやっていて,そのような問題を仲裁したりすることから,リーダーシップ的なことも学ぶことができました。

———一度留学して東ア船に参加した,という形ですが,留学してなお東ア船を通じて海外に出たかったのは,何か理由はあったんですか?

 将来は世界に出て仕事をしたいと思っていたので,まずは日本そしてアジアを知ることが必要だと思っていました。その第1歩として,東ア船を選びました。

———東ア船を知ったのは世界船でNational Learderを務めていた方から聞いた,ということでしたが,そこで世界船を選ばずに東ア船を選んだのは,やはりアジアを知りたい気持ちが強かったからですか?

 それもそうなんですが,世界船の話を紹介してくださったときに,「世界船もあるけど,東南アジア青年の船の方がいいと思うよ」って言ってくれたのも大きかったです。ただ,はじめは世界船に魅力を感じていました。世界中から人が来るということで,もちろんその中には母語が英語の方もいるわけなので,英語力を試すには世界船の方がいいかななんても思ってました。ただ,事業の人数の構成だったり(注)をみて,東ア船の方がもっと自分を試すことができるんじゃないか,と思いました。もちろんこれはどっちの事業がいいか,というものではなくて,世界船に参加したら世界船でしか得られないものがあると思うんですが,やはり日本人が多いと甘えてしまうことが多くなるんじゃないか,ということも考えていました。

(編集注)
世界青年の船は,日本人参加青年が約120人,海外参加青年が約120人(1カ国約12人)。一方,東南アジア青年の船は,日本人参加青年が約40人,海外参加青年が約280人(1カ国約28人)と,日本人参加青年の割合が両事業で大きく異なる。

———そんな中で参加した東ア船でしたが,得たものの中で一番大きかったものは何ですか?

 「国境ってあるみたいでないな」ということです。私たちはよく「日本では」とか「海外では」という枕詞をよく使いますが,それはあくまで一般論でしかないんだなということに気付けました。例え国籍が違っても,家族みたいに仲良くなれば国籍も文化の違いも関係ない,この学びは今後生きていくうえでもとても大きいと思います。
 また,この学びは東ア船でしか得られなかったとも思っています。留学の時とは違って,毎日同じ釜の飯を食って,泣いて笑って,時にはけんかして,同じ部屋で寝て-,こういう共同生活を約2か月間続けたからこそ,家族の用に仲良くなれた,そして国籍も文化の違いも関係ないと思えるようになったと思っています。

(同じグループや係で活躍したフィリピンからの参加青年との一枚)

———なるほど。この話は「留学」と「東ア船」を対比したからこそ得られた気づき・学びだと思うんですが,「留学→東ア船」の順番で行ったからこそ得られた学びはありますか?

 そうですね,環境問題と格差問題の両方を考えるようになったことですね。アメリカに行ったとき,路上に寝ているホームレスの人をたくさん見たんですが,それがすごい衝撃的だったんですよ,「アメリカは一番」みたいなイメージがあったので。ただ,そこで格差問題だったり不平等の問題だったりを目の当たりにしたことで,東ア船のディスカッションで取り組んだ環境問題それだけでなく,そこに格差の問題という観点からも考えるようになりました。

———実は今,事業の最後に(インタビュワーが)友梨からもらった手紙が手元にあります。同期の日本参加青年全員に渡してましたよね。凄く温かい言葉が書いてあって,全員にこんな形で伝えられるのはとても素敵なことだと改めて思います。こういう思いやりができるようになったのって,やっぱりアメリカ留学の時にstudent leaderでみんなの面倒見てたりしたからなんですか?

 そうですね。それも1つあると思います。あと,やっぱり小さいころから自然が好きで,ごみをポイ捨てするなんてことはありえなかったし,あと家にいる小さい蜘蛛とかも殺さないで飼ってたりしていたので,そういうこともあるかもしれません。

———実際乗る前に考ええてた目的,船に乗ってどれくらい達成できたと思いますか?

 そうですね,あまり達成できなかったと思います。乗る前は環境問題に関して深い知見を得たい,下船後はその知見を基にいろんなアクションを興したいと思ってたんですが,逆に知るべきことが多い,ということに気付いて帰ってきました。それと,まだまだ自分はアクションを何も出来ていないので,周りの人を見て凄いなと思ってるんですが,まずは自分ができるところから,船で貰ったモチベーションを燃料にして,これから少しずつ自分なりに何かして行けたらなと思っています。

———最後に,今後,海外に行こうと思ってる人にアドバイスをお願いします!

  必ず言えるのが,「殻に籠らないでください」です。例えば「英語喋れない,間違えたらどうしよう」だと一生這い上がれないので,違う環境に行ったらまず何事にも挑戦してほしいです。失敗してもいい,Just do itのマインドで頑張ってほしいです。

———素敵な言葉で絞めていただきました!今日はありがとうございました。

(編集後記#7)
 羅針盤の新連載「留学×SSEAYP」聞き手の細川です。
 今回は10ヶ月のボストン留学を経て、第44回(2017)年に参加した、石黒友梨さんにお付き合い頂きました。取材時のエピソードとして、本記事中盤にもある「国境ってあるみたいでないな」という友梨さんの一言がよく印象に残っています。実はこれ、わたしも事業への参加で実感したことの一つでした。国境や国籍を取っ払って「人」として目の前にいる「人」と向き合う。そんな経験を通して、国籍ってつい大きく捉えがちだけど、実はアイデンティティのひとつに過ぎないのでは?そんな風に思ったわけです。
 そんな気付きに繋がる経験が次々と起こるのも、東南アジア青年の船の魅力とも言えますね。次回もお楽しみに!

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※「東南アジア青年の船」に参加した青年たちの物語を紹介する本プロジェクト「羅針盤」に関する詳細はこちら
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※本note,及び「羅針盤」ウェブサイトに掲載されている内容の一切は,「東南アジア青年の船」事業主催である内閣府の公式見解ではありません.