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#ルージュの伝言の正体

おもしろすぎる。肉村ハム蔵さんの、「ルージュの伝言」の歌詞からの考察。こういうお話、大好きだ。

荒井由美の名曲、「ルージュの伝言」。
ルージュの持ち主は?
伝言として、何を残した?
私とあのひとと浮気相手の年齢は?
ルージュのメーカーと色は?
……そんなこと、考えたこともなかったけど、どうやら頭の中ですでに私のストーリーが勝手に出来ていた。そして、どうやらそれは人によって解釈が違うようだ。
まずは、ハム蔵さんの記事を読んで。そしてみんなの解釈を聞きたいよ、マイリトルダーリン。

夫とドライブをするときによく聴くのだけど、主人公の女の子のことを「効果的な復讐方法を知っている女だな」と思っていた。
私の解釈はこうだ。妄想フルスロットルだぜ。

私とあのひとと浮気相手とルージュ

私→27歳。「あのひと」こと、彼よりも二つ年上。「あのひと」の両親に気に入られており、父親は「あのひと」の父の上司にあたる存在。彼との交際期間は四年。入籍を間近に控え、半年前より同棲中。おとなしく物静かな性格で、背が低めのブルベの女。彼と付き合う前はそれなりに遊んでいたが、この恋が最後と決め、ウブのふりをしている。
今まで彼の浮気(心)の片鱗を感じつつも、若さゆえに仕方ないと我慢していたが、ついに朝帰りが三回目を迎え、しかも相手は自分より年上と知り、堪忍袋の尾が切れて家出。

あのひと→25歳。背が高く足が長いイケメン。年上ながらも愛らしくてウブな「私」とは父親同士のつきあいからの紹介で知り合った。「私」を世間体的にも、相性的にも良き結婚相手だとは思う一方、入社したときに一目惚れした、同じ部署の大人っぽい五つ上の女先輩(浮気相手)への想いをどうしても振り切れずにいるしょーもない男。
なぜ「私」より年下かと思ったかと言うと、曲の最後の方でユーミンが「my little darling」ってハミングをしているから。
そして、なぜ「浮気相手」が「私」よりもさらに年上かと思ったかと言うと、「浮気な恋をはやくあきらめない限り」と歌詞にあるが、こういう奴は憧れの相手(年上とか)の本気の恋だから「あきらめてない」のであって、相手が若かったり遊びだったらいけしゃあしゃあと結婚後も続けそうだから……。

浮気相手→30歳。新入社員のイケメン男子こと「あのひと」にしつこく言い寄られていたので、三年間かけて手のひらで転がしていたつもりだったが、数ヶ月前に彼が風の噂で結婚する予定の相手と住み始めたと聞いて、意思には反し独占欲が疼いて、道外れた恋に走ってしまった。
彼とはもっぱら、浮気相手の家でしか会わない。恋愛のおいしいところだけ掠め取ってゆく「あのひと」を心底恨めしく思っているが、最後は自分のもとに来ると自信がある。

ルージュ→「私」の持ち物。「あのひと」との同棲を始めてから初めてのクリスマスデートの途中、デパート(髙島屋)のコスメカウンターで買った思い出の品。イブサンローランのシックでグロッシーなローズピンク。「私」の持ち物の中では大人っぽい色だけど、ツヤ感があるのでオンオフ問わずに薄めに付けている。一軍コスメ。

その日何が起こった

親の紹介で出会い、順番どおりで順調な交際を始めた「私」と「あのひと」。「あのひと」の職場から電車で三駅のところに小さなアパートを借りて暮らしている。夢は、マイホーム。大好きな優しい彼の両親との二世帯住宅。「私」は年下でかわいい「マイリトルダーリン」のことが大好きだったけど、彼は最近、会社のつきあいだと言って朝帰りをしてくることが増えた。朝帰りのあとはなんだか物憂げで、目も合わせてくれない。後ろめたいことがあるのだろうか。

友達に協力してもらって、変装して会社の飲み会を張り込み。彼の言うとおり、本当に会社の飲み会だったみたいで安堵したけれど、彼は会のお開きの後、彼は背が高くて綺麗な女性とタクシーに乗り込み、夜の街に紛れてしまった。

翌朝、「先輩の家で酔い潰れちゃってたよ。ちょっと吐いちゃった」なんて言いながら、早朝に帰ってきた彼。そそくさとシャワーを浴びて、出勤しちゃった。酔い潰れていたにしては、シャキッとしていたじゃない。脱ぎ捨ててあったシャツは少し湿っている。洗ったのだろうか。薄く薄く、石鹸のような臭いがする。吐いたものがかかったんだろうか。いや、違う。ハッとして、洗濯カゴに投げ入れられていた肌着のシャツを嗅ぐと、アンバー系の香水の香りが確かに残っていた。これは、知らない女性からの果し状だと思った。

ルージュの伝言は何を残した?

思い出のルージュはこれまで、もったいなくてリップブラシでこそげ取って大切に、唇に少量ずつ塗布していた。だけど、売られた喧嘩は買わないといけない。こんな口紅、もう今の私にはいらない。他の女になんて負けない。彼はきっと、私が出ていったことに気づくと、驚いて私を探すだろう。私には頭が上がらないはず。私は条件のよい彼女だ。「あのひと」の両親にも気に入られているし、仲間・友達も多い。経験も豊富だ。だけど、ウブなふりもできる。私を逃す手段は取らないはずだろう。

バスルームの薄い青色のタイルに、子どもがクレヨンで落書きするみたいに、壁一面に「バーカ!」と書いてた。洗面台の歯ブラシの横に口紅を置いた。あとは、ヴィトンのモノグラムボストンバッグに荷物をひとしきり詰め込み、あのひとのママに会いにいった。きっとママは私を不憫に思って本気で叱ってくれて、パパさんだってきっと彼を殴って怒るだろう。

その後の突っ走り妄想

彼も本気で謝ってくれて、そのシナリオはきっと、笑っちゃうほど私の思い通り。だけど、そうすると私もしかたなく許すべきなのだろうけど、本当はしっかり傷ついていて、本当は、本当は、ちゃんと許してあげられる自信もない。どうするべきなんだろう。私は元通りになりたいのではなくて、本当は実は愛してるわけでもなく、謝って縋ってきてほしい、優位に立ちたいだけなのかも。ていうか、結婚したいだけなのかな?どろどろどろ……

「私」の人物像

と、ここまでノリッノリで書いてて思ったのだけど、この「私」は、aikoのデビュー初期〜2010年ごろまでの歌詞みたいだね。。。小さくて、可愛くて、彼が好きだけど負けず嫌いで、子どもっぽいところもあるけれど精一杯に大人・お姉さんぶっていて、外堀をしたたかに固めてから盛大に勝ち気に喧嘩しに行く、人の心をささいな違いや機微から見抜くぜ!感じるぜ!みたいなところが。(aikoが、ではなくて、aikoの歌詞の、ね!)aiko主演の脳内再生すら出来てしまう……。13歳からaikoを聴きすぎて、もはや恋物語の主人公がaiko化してしまう現象やないか。

さて

みなさんのルージュの伝言の解釈、どんなだろう。楽しみ。ハム蔵さん、楽しい企画ありがとうございますー!!!歌詞解釈大好きだ!!

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