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556ウクライナ難民受け入れ 明日は我らの身の上かも

明るいニュースはないか。読売新聞の「編集手帳」(3月21日)が、「気持ちのほっこりするニュースに出会った」として次のように書いていた。
「ロシアの侵略で国外に逃れたウクライナ避難民を日本に受け入れようという動きが広がっている。公営住宅を無償提供すると申し出る自治体が相次いでいるほか、自社の自動翻訳機を寄贈した企業もあるという…」。
 避難民には住まいが必須だし、長く暮らすには言葉の壁を乗り換えなければならない。日本語の習得が難しいことから、難民がわが国をスルーし、わが国もそれを理由に難民受け入れを積極的にして来なかった。
しかし、今回のウクライナの難民受け入れは、人道上の措置にとどまらない。民主主義体制下で暮らしたいという意思を持った人々であり、わが国の憲法が「民主主義を人類普遍の原理と宣言し、その実現を国家の名誉をかけて誓っている(憲法前文)以上、国家として日本国民としての義務である。
日本国内では、ウクライナのNATO加盟希望をロシアへの戦争行為だという声が聞かれる。つまり戦争責任はウクライナにもあるのだと。自国の独立と民主主義体制を守ろうとする意志がよくないとの主張に組みしているわけで、プーチンを代弁する主張である。その種の論者は、日本国憲法を国語の文章として読んだことがないのだろう。
憲法前文を読み込むほどに、民主主義を擁護し、伝播せよとの強烈なメッセージが伝わってくるはずだ。

ウクライナには4千万人以上の国民がいる。すでに1千万人が家を焼かれ、あるいは捨てている。ほとんどすべてがロシアとは逆方面に向かっている。この事実が重要だ。
南部マリウポリではロシアは市民数千人を連れ去ったと報道されている。各地で市長を誘拐して職務をできなくさせている。ロシアのプロパガンダでは「解放されたウクライナ人」であり、そのうち「親ロシア人民共和国の人民」が出現する手はずなのだろう。民主主義者には思いつかない卑劣な手法なのに、日本のマスコミはなぜもっと強い言葉で非難しないのか。
国連難民高等弁務官事務所によると、国外脱出者は3月19日時点で339万人。万一ゼレンスキー政権が降伏してロシアが全土を占領すれば、この数は何倍にも膨れ上がる。どの国が受けいれるのか。隣国のポーランドやルーマニアなどはすでに目いっぱいと言っている。日本にも100万人単位で引き受けてもらいたいと要請されたら、岸田総理はどう答えるのか。
民主主義を信奉して戦い、敗北して国が滅びた結果としての難民を見捨てる冷酷な政治家ではないはずだ。われわれの支援が足りなった結果なのだ。「了解だ」と胸を叩くしかないだろう。避難民に必要な衣食住対策を最優先で講じ、職業を見つけ、日本語指導をする。これに伴う負担はたいへんなものになる。日本国民を説得して政策全般の見直しを行い、国民福祉の全面洗い直しや給付の半減をも容認してもらうことになるだろう。

そう考えるとわが国としてウクライナ戦争に臨む方法はおのずから明らかだ。わが国憲法は、「民主主義は人類普遍の原理であり、対等な国際関係に立とうとする国は民主主義の法則に従わなければならない」と明記している。民主主義ウクライナを支援し、その甲斐なく滅びれば、その国民を保護する責務を負う。
ウクライナが勝ち、独立を維持できれば話は別だ。ロシアが侵略失敗で茫然自失して瓦解するだろうが、専制主義の自滅によって日本国憲法での「政治道徳の普遍」が一歩進むことだから、民主主義の勝利として祝えばよい。この方がよいのは当然だ。岸田総理はそう考えたから、世界の民主主義国と共同して、経済制裁だけでなく、物資支援をも開始したはずだ。民主主義と専制主義の戦争はすでに始まっている。支援物資の内容において協調国から一歩引く(武器弾薬はダメ)という選択肢はない。

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現在のウクライナをわが身に置き換えてみよう。もちろん仮定の話である。プーチンが北海道を寄こせと言い出し、習近平がそれならこちらは沖縄を奪うと謀議をした。日本近海で演習を繰り返して、北海道と沖縄をそれぞれロシア、中国寄りの傀儡独立国として承認せよと迫る。岸田総理は当然拒否する。
202×年2月24日、両国が電撃上陸作戦を敢行する。ロシアは北海道を制圧すると北海人民共和国の独立を承認し、翌日にはその要請を受けたとしてロシア領に組み込む。中国は沖縄で同じことをする。
さらに翌週になると、ロシアは津軽海峡を渡って東北に侵攻し、中国は九州に上陸する。そして両国は、岸田ナチ政権の圧政から日本人民を救済するのだと強烈なプロパガンダを展開する。諸外国の論壇では、「日本がロシア、中国の要求を受けいれなかったのが悪い」とか「国内での親ロシア、新中国派の人々を弾圧し、ジェノサイドをしていた証拠がある」などの無責任な声が散見する。

岸田政権は国連、アメリカに支援を求めるが、世界戦争への拡大を避けることが優先され、国外脱出に成功した日本人を民主主義諸国が受け入れ保護するとの方針が伝えられる。しかし回りは海だし、脱出者の船舶には航空機からの機銃掃射が容赦なく浴びせられる…

現在まで日本のマスコミなどは第三者的視点、つまりわが国とは遠い次元との立場で好き勝手なウクライナ情勢評論をしている。
日本がウクライナのような状況にならないとの保証があるならけっこうだ。だが納得できる言説を聞いたことがない。マスコミ、学者は当然だが、国会こそ、この議論を最優先しなければならない。
岸田総理は、いかなる質問に対しても、「その問いにお答えする前に、ウクライナで起きていることを踏まえて、わが国の民主主義と国家独立の危機について議員諸君と意思を同一にしたく存ずるのであり、ついては…」と繰り返すべきだ。それにより平和ボケの一部(ひょっとして多数)議員の本務覚醒を促してもらいたい。

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