ホワイト国とGSOMIA~日韓貿易戦争~

前回の記事ではざっくりとしたGSOMIAの概要と
ホワイト国が何故GSOMIAに絡んでいたのか
ここまで説明している
ここからは日韓貿易戦争の中身と
ホワイト国とは一体何なのかについて
詳しく書いていこうと思う

日韓貿易戦争

2019年7月にホワイト国除外を予告してから
現在に至るまでおよそ3年半も続いている
事の発端は日本の韓国ホワイト国除外だが
除外をした背景には何があったのか
それは安全保障上の問題という正当な理由である
安全保障上の問題とは何かと言うと
韓国による大量破壊兵器関連物資の不正輸出
どうもこの問題が発覚した事に端を発する

FNN(フジネットニュース)が入手した
韓国産業通商資源省が作成したリストには
韓国から兵器に転用可能な戦略物資の密輸出している
というとんでもない事実が発覚したことを示していた
2015年から2019年の4年間でなんと156件にも上る
大量破壊兵器関連の規制品を巡る輸出規制違反
それらが数多く摘発されていたにも関わらず
韓国政府が公表していなかったことを指摘した
これらの情報を元に日本政府は韓国をホワイト国として
今後も扱っていくのは困難と判断した
そこからホワイト国からの除外へと進展することになる

ではこの大量破壊兵器関連の規制品とは
一体どう言う物を指すのかという点だが
韓国向けに輸出される軍事転用可能な
一部の半導体関連物品の事
を指しており
主に以下の三品目が該当する

輸出が規制された3品目
・レジスト
 
 半導体の基盤に塗布する感光剤
  ドローンを含めた無人戦闘機の製造に活用

・フッ化水素
 半導体の洗浄に使用
 核兵器や化学兵器サリン製造へ転用可能

・フッ素化ポリイミド
 ディスプレイパネルの素材に使用
 戦車や戦闘機のディスプレイモニターへ転用可能

これらの軍事転用可能な規制品目を
北朝鮮と友好関係にあるシリアやイランなどへ
韓国が横流ししたという疑惑が浮上
した
こんな物が北朝鮮へ渡ってしまうと言うことは
核開発やミサイル発射問題がより加速
東アジア情勢全体の安全保障上の問題へと発展する
これを危惧した日本政府が韓国をホワイト国から除外し
簡単に韓国へ輸出できないように対策する必要があった
ここでようやくホワイト国というワードと
輸出管理体制について説明する事が出来る

キャッチオール規制

キャッチオール規制は補完的輸出規制とも言い
日本における安全保障貿易管理の中で
大量破壊兵器及び通常兵器の開発等に
使用される可能性のある貨物の輸出

技術の提供等を行う際に経済産業大臣への届出や
許可を受けることを義務付けた輸出管理制度のこと
日本ではこの輸出管理制度の中で
優遇措置の対象国をホワイト国と呼称している

ホワイト国

2019年8月2日にグループAという名称へ変更
ホワイト国がグループAとなり
非ホワイト国はグループB,C,Dと分類
日本ではアメリカやイギリスなど26カ国をグループAに分類
韓国はグループB、ロシアや中国はグループCに分類
北朝鮮やアフガニスタン、イラクなどをグループDに分類
グループA,B,Dのどれにも該当しない国が
グループCとして分類されている

そもそもキャッチオール規制とは
大量破壊兵器の開発や製造
通常兵器の過度な蓄積の阻止が目的

それらの用途に使われる可能性のある
製品目の輸出を規制するためのもの
対象製品は非常に広範であり
*リスト規制対象品のように
即座に軍事転用可能では無いが
使途によっては大量破壊兵器や
通常兵器の開発に寄与する可能性
がある
食料や木材以外の軽重化学工業製品全般となる

キャッチオール規制は二種類
・大量破壊兵器キャッチオール規制
・通常兵器キャッチオール規制

大量破壊兵器キャッチオールについては
グループAの対象国以外となり
グループAに指定される国は
キャッチオール規制の対象外
となり
兵器の拡散を行わない事が明白である
ということが条件とも言える

*リスト規制
リスト規制とはその名の通り輸出に関して
許可が必要になる製品や技術をリスト化したもの
武器、化学兵器、センサーなどの15項目ほどあり
各項目で更に細分化されている
これは海外の自社工場や日系企業への輸出だとしても
届出をし許可をもらう必要がある
このリスト規制に該当しない製品や技術の輸出に対して
大量破壊兵器や通常兵器の開発に使用される可能性のある物を
キャッチオール規制で補完するということ

ホワイト国を除外に話を戻すと
韓国向けに輸出される軍事転用可能な
一部の半導体関連物品について日本政府は
企業毎に一定期間包括的に許可する方式から
契約毎に個別審査する方式へと変更する事を表明
通常であれば個別輸出許可の手続きに
約90日以上を要するもので
半導体製品の輸出が経済を支えている韓国にとって
日本からの円滑な資材調達が企業間で困難になり
特に規制品は日本企業からの輸入がシェアを占め
韓国企業や韓国経済に大きな影響が出る事が見込まれた

日本政府としてはこの措置に対して
日本国内における制度運用の問題であり
韓国と積極的に協議する必要は無いと判断
また『徴用工問題に対する措置ではない』
と表明したものの、実際には
『韓国との信頼関係が損なわれ輸出管理に取り組む事が困難になった』
と一定の因果関係は認めている

規制品目の輸入の多くを日本製品に依存している韓国
サムスンなど世界的なメーカーが製品の製造困難になり
韓国はWTO(世界貿易機関)への提訴と同時に
国家総力を挙げ規制品目の国産と脱日本を目指すこととなる

次回は更に徴用工問題が絡む内容となる
GSOMIAやホワイト国を語る中で
ややこしくなるのがこの問題であり
アメリカをも巻き込む形となっていく

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