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習い事としてのバレエの落としどころ

7年前の今頃、汗を拭きながら3歳の娘と二人で子ども向けバレエ「シンデレラ」を観に行きました。

私自身もバレエらしいバレエを見たことがなく、どんなものなのかもわかりませんでしたが、娘も私も舞台のすばらしさの虜に。
帰り道、「面白かったねー!」「また見たいねー!」「娘ちゃんも踊ってみたいんだったら、お教室があるんだよ。」と声をかけたことをきっかけに、ちょうど4歳から習い始めました。

習うからには目標を立てる

ただ、4歳相手でも「楽しそうだから」「フリフリの衣装が可愛いから」という理由で習わせるのは嫌だったので、「習ってどうなりたいのか」を話し合いました。

4歳の娘は「王子様と踊りたい」ということでした。
しかし、王子様と踊るということはお姫様。つまり主役です。お教室の中でも一番上手じゃないと踊ることはできません。

「いつか王子様が」的な夢見心地で踊るなら、家で踊っていればよろしい、ということで、「習うからにはお教室で一番になること、それまではクラスで一番上手であること」を約束して入会しました。

幼稚園のうちこそ、その約束は有効でしたが、小学校に上がるころには「一番であり続けることが難しい」ということが分かってきます。クラスで一番を取っていても、進級したら新しいクラスでは一番下っ端からの再スタートですからね。

目標立てはしないよりはした方がいい、ただいつまでも「王子様と踊るんでしょ?」「一番上手じゃないとだめじゃない」と言い続けて縛るのはかわいそう。私も徐々に言わないようにしていました。

モチベーションは舞台鑑賞から仲間意識へ

ちょっとモチベーションが落ちている様子のころにはバレエを観に連れていくこともしていました。
幼稚園後半から小学校1年生くらいまでは子ども向けの舞台を見て「私がやりたかったのはやっぱりこれなんだ!お稽古頑張る!」みたいな。

しかし、小学校2年生くらいになってくると、全幕を見るようにもなり、自分のレッスンも本格的になってきて、主役の女性がどれだけつらいレッスンをこなしているのかが見えてきたようです。
「どーせ、あんなふうには なれないし」という感想を持つことも増えてきました。ある意味現実的。

でもこの頃には同じクラスの子たちと会う機会も増え(レッスンの回数が増える)、学校や学年が微妙に違っても連帯感が生まれて楽しそうにしていました。
目標も「王子様と踊る」ということから「この仲間で舞台に立つ!」というものに変わっていった時期に感じました。

トゥシューズは分かれ道

教室や先生の方針にもよりますが、小学3~5年生になるとトゥシューズを履き始めます。
トゥシューズを履き始めると週2回だったレッスンが週3回になることが一般的なので、塾を優先して辞めていく子や、みんなと同じ時期に履けず辞めていく子など、ちょっとふるいにかけられる時期です。

みんなと同じ時期に履けない、先生のお許しが出ない、というのは、足の成長(特に骨)がまだ履く時期になっていないことが大きいです。
私も専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、骨が柔らかいうちにトゥシューズを履いてしまうと、骨の変形のきっかけにもなってしまうようです。やはり履き始めのうちは少なからず痛いですし、足に負担もかかりますからね。
成長に個人差があるのは仕方ないですが、この時期の数か月や半年は大きく感じますよね。難しい問題です。

さらには、先生の方針も大きく左右します。
つまり、「下手くそには履かせない」というやつです。娘の教室でも散々聞いてきました。「トゥシューズテスト」を設けている教室もありますね。合格したら履ける、というもの。
そもそも、体幹がしっかりしていないのに履かせると転倒してケガの元になることもありますから、どれだけ真剣にお稽古に励んでいるのか、体がしっかりしてきたか、というところが大切にもなってきます。

幼稚園から習っていると、やはり小2くらいでだらける時期がやってきます。そんな時、「辞めたいな~と思っているんですけど」と相談すると、トゥシューズをちらつかせる先生がいます。
「もう少しでトゥシューズ履けるなら続けるわ!」という運びになるのですが、体も足も成長しきってない時に履くのはちょっと心配ですね。

親がバレエに思い入れがある場合が多い

少し前(私が子どものころ)なら、「女の子が生まれたらピアノを習わせたい」という概念が広まっていましたよね。
我が家も母がまんまとその考えだったので、私は習っていました(妹は全力拒否で免れていました)。

それと同じ感覚で、「女の子が生まれたらバレエを習わせたい」と思っているママさんが多いような気がしています。自分が習いたかった、という思いの方も多いですね。

今はおそらく自分が子どもの時よりも教室が増えて習わせやすくなっています。ゆえに、バレエ教室は衣装を着て、メイクをして舞台に立つ我が子を見たい親(マイルドなステージママ)の集まりです。
たまに面倒くさい人もいますね。

子どもが習いたくて習っているのか、親が見たいから習わせているのか、だんだんよくわからなくなってきている家庭も多いのでは?

結局、バレエ歴7年の娘の着地点

もちろん、私も娘がステージで踊る姿を楽しみにしていますし、なかなか踊りも上手いんじゃないかとすら思っている親バカです。

しかし、娘は小3の終わりに一旦バレエを辞めています。転校がきっかけではあったのですが、新しいところではバレエをやらないかもしれないと話すと、それまでの先生にも、周りのお友達やお母さんたちにも「勿体ない」「うまいのに」と散々言っていただきました。

でも、思春期の入り口になる年頃ですし、引越しの直前にあった発表会で燃え尽きていることもあって、娘が自分で「また習いたい」というまでは放っておくことにしました。(まずは学校という思いもありましたし)

すると半年後、「今までのように週3回も通いたいほどバレエに情熱があるわけじゃない。でも完全に辞めちゃうのは少し物足りない」と言ってきました。そんなこともあり、今は、ちょっとしたところで週1回習うに留まっています。

家にいても、ずっと読書をしているような子なので、ちょっとでも運動してくれるだけで母は嬉しい。
レオタードから伸びる長い手足を見るたびに「容姿も悪くないから本気でやったら伸びそうだけどな」とは思うし、新しい教室の方々からも言われるのですが、きっとこれが本人の落としどころだったんだと思います。

そんな娘に私ができることといえば、何かの折に、前の教室で使っていたボロボロになったトゥシューズを見て、「また本気でやってみようかな」と思ったら、気兼ねなく相談してもらえるような親子関係を作っていたいなということくらいかなと思っています。

記事を読んでいただき、ありがとうございます。