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【ゼミレポート】第2回Zoom集会を行いました!

2月14日(水)に学友会ゼミの第1回Zoom集会を行いました。


学友会ゼミでは、毎週日曜日の対面集会と毎週水曜日のZoom集会をもとに研究活動を展開しています。水曜日のZoom集会には、研究領域の近い専門家の方や、学友会組織での活動の経験がある方などをお招きして、学友会ゼミの研究を根拠あるものにするよう努めています。

基軸|AGENDA


今回のゲストは以下の1名でした。
 ▶︎元 2020年度調査企画部長, 2021年度学園振興委員長, 情報理工学部自治会執行委員|現 情報理工学研究科博士前期課程 2 回生

今回のトピックは以下の3点でした。
 ▶︎学友会中央パートに送る質問趣意|書<注1>のファクトチェック
 ▶︎ゲストによるスピーチ
 ▶︎ゲストへのインタビュー


議論|DISCUSS


行われた議論を論題ごとに紹介します。

 - 登録団体審査の内規 -

中央事務局調査企画部によって毎年実施されている新規登録団体申請について、必ずしも実施要綱に記載されている条件のみによって審査されているわけでもないということについて、
 ▶︎総合的判断を行う局面は存在する
 ▶︎少なくとも2021年度については、実施要項の項目に存在している「幅」を限定する、つまり「公序良俗」とは何か、「締切を守る」とはどの程度か、といった具体的なボーダーラインについて規定するものが主だった
 ▶︎それを後悔しないのは、審査の手続きそのものを「攻略」されることで、実質的な審査が逆に難しくなってしまうのを防ぐためである
 ▶︎少なくとも2021年度の調査企画部の方針としては、そのような手続きが存在していることを公言していたし、そのような総合的判断は二次審査の段階で行うものだった

とのご説明をいただきました。

学友会ゼミから「調査企画部の部員と親しい間柄の一般会員が、その総合的判断の内容について聞かされる場合があると思う。その状況は、審査そのものの公平性の信頼を損ねるのではないか」とご質問したところ、
 ▶︎その問題があるので、かつては調査企画部への入部そのものに厳しい基準を課していた時期もあった
 ▶︎程度問題と考えるべきで、この場合は、基準を公開することによる信頼獲得のメリットよりも「攻略」される可能性というデメリットの方が上まっていると考える

とのご説明でした。

 - KHコーダーについて -

質問趣意書において、KHコーダーを用いると何がうれしいのかを質問するものがあり、これについてゲストから質問があったので、「一般論として何が有用なのかを聞きたいわけではなく、これを全学協議会の場で使うことによって、どのような効果があることを、学園振興委員会が期待しているのかという個別具体的な事情と経緯について知りたい」とご説明したところ、
 ▶︎2019年当時、全学協議会で行われた議論の中では「可視化」と「見える化」の2つを区別した。可視化は単にデータで示せば終わりだが、そこからもう一歩踏み込んで、データでの示し方そのものを改良する必要があるとした。その流れを汲んでいるのではないか
そのご見解を示していただきました。

 - 裁判について -

学友会ゼミから、話題として、OIC建設をめぐって裁判が発生していることについてゲストに共有すると、
 ▶︎OICに限らず、新たな校舎を建設するたびに、なんらかの法的トラブルが発生していることを承知している
 ▶︎しかし、それらは学友会から見て全く別次元の問題であるように思う

との認識を共有していただきました。

学友会ゼミから、立命館大学が抱えている法的トラブルについて、学友会の関与のあり方の認識をお伺いすると、
 ▶︎法理的には、学友会も、意見できる立場にはあると思う
 ▶︎しかし、実務的には選択肢に入ってこない
 ▶︎ここは、議論が不足している点だと思う

とのご見解でした。

 -「自治組織の領分」について -

その話題をうけて、学友会ゼミとして、立命館大学学友会の自治組織としての「領分」をどのように捉えるべきかの議論を行いました。
 ▶︎「領分」を縮小させてしまうと、縮小させた分だけ会員への利益の還元が減り、その分だけ学友会への関心も減るという悪循環に陥る。学友会が自ら「領分」を縮小させるような動きはするべきではない
という意見や、
 ▶︎時代の変化にあわせて「領分」が変化していくなかで、その一部が後退するのは当然のことである。しかし、それはつぶさな状況観察と長期的戦略を前提とするべきであって、縮小にあたっては特に慎重になるべきだ
という意見が出ました。

 - コロナ禍について -

学友会がコロナ禍により大きな打撃をうけたことについて、
 ▶︎当時、学友会の主な人員獲得ルートは、中央パートリーダーズキャンプや忘年会といった対面活動であり、サークル活動然として、楽しいアクティビティや飲み会といった、人間的なつながりに頼って行われていた
 ▶︎単純に、対面活動が厳しくなったことにより人材獲得が難しくなった

とのご説明をいただきました。

その議論に関連し、いわゆる「衣笠型自治会」と「BKC型自治会」の違いについてゲストの方から
 ▶︎衣笠型自治会では、自治委員会と執行委員会とが別れている
 ▶︎BKC型自治会では、自治委員会は執行委員会の下部組織である
 ▶︎BKC型自治会は、自治委員を少人数クラスから選出し、そこから執行委員への昇格という形での人員確保が可能であった
 ▶︎しかし、そもそもサブゼミが開けない状況下では自治委員の選出すらも困難であり、自治委員会の人員不足に引きずられるような形で執行委員会も打撃をうけた
 ▶︎また衣笠型自治会の執行委員会に関してはBKCとは違い独自の人員獲得活動をしていたものの、コロナ禍において制約を受けたことには変わりなく、BKCでは発生しえなかった「自分でやらなきゃいけない負担感」に耐えられない自治会は大きな打撃を受けることになった

との見解をお示しいただきました。

 -「自治会のかたち論」について -

これについて学友会ゼミとしては、
 ▶︎「自治会のかたち論」についてはこちらでも考えてきたところではある
 ▶︎一見すると、立法と行政の2権分立の観点から、衣笠型自治会の方がより「民主主義」のためには理想的なように思える
 ▶︎しかし実態としては、入力過程と出力過程を組織ごとそもそも分けてしまってもうまく機能させられるほど、現代の自治意識は高度な政治的土壌を有していない
 ▶︎加えて、自治委員会と執行委員会が2つ存在し、単に自治委員会が「意思決定機関」と書かれている規約を読んだだけでは、それが決定過程と実施過程の分担であるという理解には至りづらい
 ▶︎そこで、自治委員会と執行委員会の役割についてもっとわかりやすく明記し、かつ、入力過程と出力過程による分担ではなく、実行者と監査役というより現実的な分担へとシフトさせることにより、衣笠型自治会の深化を図れると考えてきた
 ▶︎「縛る規約」ではなく「マニュアルとして参考にできる規約」への改良である
 ▶︎しかしながら、今の論を聞いて、人員確保という側面ではBKC型自治会に大きく軍配が上がっているように感じる。「無理のない、身の丈にあった自治会組織」を考えるならば、そちらの方がいい気もしてきた
 ▶︎これについて、ゼミで検討を続けなければいけないと思う

との見解を共有したところ、ゲストの方からは
 ▶︎形として正しいのはまさにそのモデルだと思う
 ▶︎しかし、そのモデルへと変化させようという機運が無い
 ▶︎加えて、自治委員会があり執行委員会があるという格好は維持しなければならない。それは、五者懇談会などの前提になっている
 ▶︎それらの兼ね合いをどうつけるか、という議論をしていると、すぐに任期が終わってしまい、振り出しに戻ってきた現状がある
 ▶︎「人を入れてから形を整える」か「形を整えてから人を入れる」か、その選択を迫られていると思う

との見解をお示しいただきました。

 - 学生大会の不成立について -

その議論をうけて、学友会ゼミのメンバーのうち産業社会学部の生徒から、産業社会学部自治会の規約改正のための学生大会が成立しなかったことについて話題に挙げられ、ゲストの方と
 ▶︎規約を変えるためには人を集めなければいけない
 ▶︎人を集めるためには今の規約では難しい
 ▶︎その2つの間でデッドロック状態である
 ▶︎リソースが先か成果が先かという状況を、裏技的に打開する必要がある

という見解で一致しました。

 -「理系」と「文系」について -

また、ゲストの方から、学友会ではなく、院生協議会について、
 ▶︎情報理工学研究科は、院生協議会に参加していない
 ▶︎これは、院生協議会が座席比率に関する課題に執心しているためである
 ▶︎文系の院生にとっては重要な問題だが、理系の学生は実験の兼ね合いからそもそも研究室がすでにある
 ▶︎「上」がみている課題意識が構成員に「広く共有されている」部分から乖離してしまうと、構成員の参加意思がなくなってしまう、というのは普遍的な問題である

とのご見解を共有されました。

これに関して学友会ゼミからは、
 ▶︎似たようなことは学部生の自治意識にも発生していると思う
 ▶︎そもそも、自らの興味関心と情熱を発揮する手段が「実験機器」に依存しがちないわゆる「理系」の学生と、そうではなく、課外自主活動においても自己実現の余地がある、古い言い方をすれば「紙とペンで活動する」いわゆる「文系」とでは、学生自治にリソースを割こうと思う熱量が異なるのではないか

という見解を示し、ゲストの方と認識の一致をみました。

 - 全学自治会の役割について -

ゲストが自らご用意してくださったスライドから、学友会がI部・II部に分かれていた時代から現代に至るまでの組織図の変遷をご説明いただきました。そのなかで、全学自治会の特殊な設立経緯をして
 ▶︎中央委員会の役割と全学自治会の役割が若干重なるところがある
 ▶︎このため、今は全学自治会と中央委員会の役割分担について模索する時期であると承知している

とのご見解をゲストの方よりお示しいただきました。

これについて学友会ゼミから、
 ▶︎各学部自治会の意思をまとめて代表する組織としての役割が重複しているとの指摘だと思うが、2023年度学友会においては、全学自治会は、各学部自治会の合議機関というよりは、各学部自治会の執行する活動に際して助言と支援を行う、コンサルタント的な役割へとシフトしていったという認識である
 ▶︎これまで意識していなかったが、確かに現状では、名前からイメージされる役割は中央委員会と全学自治会ではかぶっている。これは、裏を返せば、中央委員会は「自治会」というわけではなく「自治よりさらに“上”のことをする」組織である、というような誤解をすら生むかもしれないと思った
 ▶︎であるならば、この際、全学自治会の役割を「学部自治会のサポートをする執行機関」ということで確定し、そのように規約を改正し、名称も変更して、見かけ上大幅に改組してしまうのもいいのではないか

とお伝えすると、ゲストの方からは
 ▶︎構想としては面白いと思う
 ▶︎実態としては、今はその2つの中間地点にあると認識している
 ▶︎あえて中間というのは、コンサルのような出力過程だけではなく、キャンパス懇談会の実施という入力過程もまた現状は全学自治会が担っているためである
 ▶︎これはBKC自治会を吸収合併した名残である
 ▶︎これを全学自治会ではなく、学振といった常任委員会系中央組織が担うという発想もる
 ▶︎ただし、キャンパスごとの個別具体的な課題についてはより現場に近い組織が担うべきという認識と、学振の負担が大きくなりすぎるという問題がある
 ▶︎しかし現状の流れとしては、確かに、よりサポーター的役割に特化していく方向性にはあると思う

とのご見解をお示しいただきました。

 -「名門パート」について -

学友会ゼミから「当代の一般学友会員としては、最近の全学自治会は“盛り上がり”があるように感じる」とお話ししたところ、
 ▶︎パートが盛り上がるかどうかというのは、難解な組織論というよりは、単に「やる気のある人」がその時期そのパートにいるかいないかの問題である
ということで意見が一致しました。

いわゆる「名門自治会」についても、前回のZoom集会のレポートを踏まえて
 ▶︎最近の学友会の歴史上、いわゆる「名門パート」は以下の順に変遷してきた
 ①法学部自治会  (現在も)
 ②生命科学部自治会(5年ほど前)
 ③新歓実行委員会
 ④映像学部自治会
 ▶︎逆に言えば、これらの人々が高度に専門家しすぎて、それ以外からするとついていけず、それが分断に繋がっている側面もある
 ▶︎そのひとつの現れとして、かつては学園祭実行委員長は学部自治会経験者から任命されていたが、最近は特別事業部系の人材が担う場合が多くなった
 ▶︎これは本来「特別事業部系人材は“官僚”であり、学祭実の委員長という“政治家”になるべきではない」というふうに学友会内でタブー視されることだった

とのご見解を共有していただきました。

 - そのほか -

それらの他にも、
 ▶︎学生大会を「中央からの人員派遣」によって成立させる可能性について
 ▶︎学部自治会の最高意思決定手段を「大会」ではなく「投票」にする可能性について
 ▶︎中央常任委員長の立候補者がどのような事情で立つのかについて
 ▶︎2018年の中央事務局長が中央パートでのキャリアのない人物であったことについて
など、さまざまなことが議論されました。

総括|CONCLUSION


今回のZoom集会は、ゲストの方から課題意識を共有していただくのはもちろん、学友会ゼミとして考えていたことに関する見解をお示しいただき、理論的に洗練させるということが多くできた回でした。

学友会ゼミでは、Zoom集会に出席するゲストの方を随時募集中です。知見を共有していただける方や課題意識をご提示いただける方など、お待ちしております。

また、学友会ゼミのメンバーとして議論に参加していただける方も強く募集しております。少しでもご興味のおありの方はぜひ下記の連絡先からご一報ください。


立命館大学|未来共創リベラルアーツゼミ
もういちど、立命館民主主義を話し合おう
- 立命館大学学友会を研究する -
連絡先:varsu.lab@gmail.com

「みらいゼミ」についてはこちらから!
▶︎https://www.ritsumei.ac.jp/liberalarts/mirai/

注1
ここで「質問主意書」ではなく「質問趣意書」というのは、「質問主意書」とは一般に国会法第74条に基づき国会議員から内閣へ提出されるものを指すので避けたかったのと、主意というのが議論の核となる記述そのものを端的に示すのに対し、趣意というと議論そのものの概略を包括的に示すことができる為。また、「趣意書」に関する立命館大学学友会の伝統的書式に準じて「ご質問およびご回答のお願い」と題し作成した為。

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