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【パリッコ&スズキナオの本】
話題の新アウトドア〈チェアリング〉を生み出した、酒場ライターのパリッコとスズキナオによる飲酒ユニット「酒の穴」。
スタンド・ブックスからは単著がそれぞれ2冊と、共(編)著2冊、計6冊を刊行しています(2022年11月時点)。他社版元のものを含めご紹介します。
◎◎◎【共(編)著】◎◎◎【スタンド・ブックスから(パリッコ・スズキナオ)】
◎noteマガジン「パリッコ/スズキナオ「のみタイム」」
寺尾紗穂「天使日記」より⑤
寺尾紗穂『天使日記』収録「天使日記」より一部転載
4 月23日
しばらく会わない日が続いたので、「どうしてるかね」と子供たちと出かける。近所のテニスコート付設の小さな公園に行ってみるがここでは会えない。やはり桐の木の公園でないと会えないのかもしれず、向かう。しばらく現れない。今日はもう会えないかな、ときぬに言うと、きぬが少し動いた。現れたようだ。
「初級の合格おめでとう、と伝えて」
きぬが
寺尾紗穂「天使日記」より④
寺尾紗穂『天使日記』収録「天使日記」より一部転載
4月13日
子供たちが家に帰ってきたとき、この日は私も家にいたので、「ねえ、連れて行って」ときぬに頼んで四人で公園に行ってみる。児童館の前の道を挟んですぐの、大きな桐の木のある小さな公園だ。狭い公園はサッカーをする子たちで騒がしかったので、しばらくは現れない。今日は無理かなと思いかけたとき、きぬが目で現れたことを教えてくれた。見えない。私は昔
寺尾紗穂「天使日記」より③
寺尾紗穂『天使日記』収録「天使日記」より一部転載
2017年4月13日
ゆいときぬで校門を出ると天使が待っていてくれて、途中まで一緒に帰ってきたという。ゆいはこの日も手だけ見えたという。きぬ曰く、「歩いているのであまり落ち着いて話せなかった」らしいが、天使は天使ミカエルの下で修行をしているそうだ。途中で「神様が呼んでる」と言っていなくなったという。
ホサナとは、「主に栄光あれ」という意味
寺尾紗穂「天使日記」より②
寺尾紗穂『天使日記』収録「天使日記」より一部転載
4月6日
「見つけてくれるの待ってたって言われた。自分のことを信じてくれる人に会いたかったって」
昨日と同じ公園に三女のさきも次女のゆいも、友達のつきちゃんも連れて行ったところ、やはり会うことができたという。きぬが説明すると、つきちゃんにも白っぽい影が見えたようだ。この日の天使はシロツメクサの髪飾りをしていた。毎日花を取り替えているなんておし
寺尾紗穂「天使日記」より①
寺尾紗穂『天使日記』収録「天使日記」より一部転載
天使日記
もうあの日から一年が過ぎた。二〇一七年四月五日。二重の意味でこの日は忘れられない日だ。加川良さんが死んだ日。そして、長女のきぬが天使に出会った日だ。まさか良さんが天使になったわけではあるまいが、良さんを迎えに来た天使が、たまたまきぬと出会ったのかもしれない。
2017年4月5日
「おかあさんは信じてくれないかもしれないけど」
「スーさんのこと」 (寺尾紗穂『天使日記』より)
寺尾紗穂『天使日記』(スタンド・ブックス)より転載
スーさんのこと
映画のコメントを求められることが多く、試写でもDVDでもなく公開前にリンクを送ってもらうことも増えた。國友勇吾監督の『帆花』もそうだった。布団に入ってiPadで視聴を始めた。帆花さんは、生まれるときへその緒が切れ、脳に酸素がいかなくなったことにより、心肺停止の状態で生まれ、脳死に近い状態で生き続けている少女だ。目は見開き、ま
寺尾紗穂『天使日記』に関するお知らせ
福岡 降り止まぬ雨(修正版)
先日ある大学で4日間の集中講義をした。外部からの受講生のなかに、私がその土地でライブをするとき、必ず来てくれては終わったあと、直接感想を伝えてくれる人がいた。彼女は研究者でもあって、いくつかの大学で授業を持っているということを授業最初の全員の自己紹介のとき知った。参加メンバーは授業中何か感じたことがあると、それぞれよく発言してくれたが、彼女のある発言は印象的だった
〈まえがき〉公開 『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』(スズキナオ著)
2021年12月発売、スズキナオ『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』より、「まえがき」を公開します。
まえがき
私の最初の著書『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』がスタンド・ブックスから刊行されたのは2019年11月のことだった。続編にあたる本書に収めた文章の多くは、その後に私がいくつかのWEBメディアに向けて執筆したものや2019年以前に執筆していたもののなか
パリッコ・スズキナオ『月刊のみタイム』 011 ライター・トルーさん/與座ひかるさん「熱が出たとき何時に何を食べても許される」( 2021.09.10)
皆でお酒を飲むことの楽しさを忘れちゃいそう。くじけそう。それでも頑張って酒を飲むのが酒の穴。
今回は我々のなかでやたらと話題になる、面白い記事を書きつづけているヤベエおふたり、WEBメディア『デイリーポータルZ』の神ライター、トルーさんと與座(よざ)ひかるさんをお招きしました。
トルーさんのあの名作記事はどのように生まれたのか。與座さんの「鬼束ちひろ聴きどき」とは。過去最高に神々しい回をお届けしま もっとみる
日常のなかにまだこんな冒険が残っていたなんて 〜『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』 《はじめに》
2021年7月発売、パリッコ『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』より、「はじめに」を公開します。
はじめに
僕は「酒場ライター」なる酔狂な肩書きで仕事をしています。なので、日本が本格的なコロナ禍に突入して以降、「仕事がなくなって大変じゃないですか?」と心配してもらうことも増えました。ところがありがたいことに、今のところまったくそんなことはないんですよね。
最初の緊急事態宣言が発
パリッコ・スズキナオ『月刊のみタイム』 008 プロコレクター/ライター・とみさわ昭仁さん「自分が食べたいものは自分で頼む」 (2021.05.27)
お待たせしました「月刊のみタイム」。
今日は酒飲みの大先輩、とみさわ昭仁さん(@hitoqui_ponko)が登場!
若い頃から飲み方がどのように変わってきたか。とみさわさんの現在の飲み方から毎朝の読書散歩まで。酔っている時ダジャレをツイートしたくなったらどうするか。相手が真剣に話している時に届いたつまみをいつ食べるか。「酒温度」の近い3人による、名言連発の「無駄話」。
パリッコ/スズキ もっとみる