ショートショート小説(1)「夫婦喧嘩と性癖」

 ある晩、アパートの居室で、A子とZ男が、夫婦喧嘩をしていた。

A子はクローゼットを開ける。膝丈スカートを取り出す。スカートを履く。素足だった為、ベージュのストッキングも取り出した。ストッキングも穿いた。

「おい、お前、どうしたんだよ。」

「どうしたって、ジーンズと素足だったから、スカートに履き替えてストッキング穿いたのよ。」

「そんなの、見りゃ分かるよ。着替えてどうすんだよ、実家に帰るのか?」

「違うわよ。私、今からあなたを、存分に殴るのよ。あ、そうそう、時々、素手の他に、この竹刀でも殴らせて貰うわね。」

「そ、それとその服装はどう関係があるんだよ?」

「だってあなた、パンストフェチだって言ってたじゃない。スカートにストッキング穿いた女性からは何されても、どんなに怒られても殴られてもいいとかずっと前に言ってたじゃない。だから、数十発殴って、半殺しにしてあげる。覚悟なさいね。ふふ。」

A子は冷笑を浮かべている。

「ごめんなさい。俺が悪かったです。」

「反省してるの?」

「はい。だから許して下さい。」

「そう。じゃあ許すわ。じゃあ最後にこの足で顔面だけでも思い切り、踏ませてね。」

美人だが元スケバンの妻は、やはり怖かった。


                 了

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