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北海の鎧魚「トクビレ」を捌く!

八角ことトクビレ。

旬の魚。

お久しゅう読者諸氏。
突然だがこれを読む皆様方には「毎年買う魚」というものは存在するだろうか?
意識はしてないと思うが季節のものとして味わう事はあるだろうし魚好きの人間はよりもっと明確に意識していることだろう。
最近の日本の気候は四季もへったくれもなく時として「日本には四季があるw」と嘲笑される事すらあるが私は毎年その時期に獲れその時期に美味しい魚を食べて日本の四季を実感するようにしている。

トクビレという魚。

私には毎年「これを食べなければその季節を終われない」という魚種がありなかでも秋〜晩冬にはこの魚を求めて魚市場を彷徨い歩く。それがこれだ。

今回は50cm程の大型のものが揃った。

この全身が鎧に覆われ背鰭、尻鰭、胸鰭が大きく発達しヒゲの生えた要素モリモリの魚は名をば「トクビレ」と申し晩秋から晩冬にかけ旬を迎える。
この魚はスズキ系スズキ目カジカ亜目トクビレ科トクビレ属に分類されており仲間もそこそこいる。有名なのでいえば「イヌゴチ」「ヤギウオ」だ。
…え?知らないって?それはまぁ、各々調べていただいてもらって…。

東北以南の人間にとっては馴染みは薄いが北海道や青森の人間には「ハッカク」や「ワカマツ」の名前で親しまれている。
最近は流通技術も発達したまに関東あたりにも並び知名度は以前より上がったがそれでも一般家庭や飲食店などには浸透しきっていない食材だ。
ちなみに新潟では秋から春先にかけて大きくても1匹1000未満で購入することができる。

トクビレを捌く。

この魚、最近少しずつ入荷が多くなってきたとは言え当地以外では消費が思った程されていない。
というのもご覧の通り、アジやタイ型の形状をしていないどころか全身を硬い骨質板で覆っておりどう調理したら良いか分からない人が多数なのである。
実に味が良いのにも関わらずよくよく売り場で余りがちになっている。
サクになっていればなっていたで元がどんな魚なのか検討がつかず余ってしまっているのだが…。
ということで今回は解体編と調理編に分けて先ずは皆に消費を促すため解体に際し知識を授けようと思う。
いや、さがせばyoutubeにも他の解体方法もあるんだけどね。

トクビレ解体編。

前置きも程々にして…。
尻鰭の付け根から左右の腹鰭の中間を切開して内臓を取る。(今回は頭も食べるのでこの段階で内臓は切除しておく)
骨質板の無いカマの後ろから刃を入れて脊椎を切断する。(下写真)
トクビレは外殻こそ硬質プラスチックのようだが脊椎を含めた骨はかなり柔らかい。

全身チクチクなので取り扱いには注意されたし。

頭を落としたら尻鰭に平行するように刃を腹腔から尾鰭の付け根まで切れ目を入れる。

切れ目が入っている部分は他の部位に比べ鱗が柔らかく容易に切れる。

この切れ目から腹開きの要領で丁寧に開いていく。
普通に三枚卸にしないのは切れ味が悪い包丁などは捌く過程で滑って危なかったり棘が刺さったりして鬱陶しいからである。↓

刃先が背の骨質板まで行くとカリカリと音がする。そこまでいくと中骨と身が切り離されているサインだ。

反対側の身も同様に加工して完全に開いた状態にしたらここから皮と同化した鱗を剥がしていく。
この際には包丁などは必要なく切り口から浮いた皮か肉を摘まみ身を傷つけないようにペリペリと素手で剥いでいく。

こんな風にペロンと剥ける。気持ちがよい。

これでトクビレの解体は終了だ。
刺身にするならこの状態から肋をすいたり、揚げるのならこのままぶつぎりにしたら良い。
ちなみに素手で捌くと棘のせいで手がいつの間にかボソボソになっているのでゴム手袋があると手が荒れなくてストレスが無い。

左右の身を剥ぐと勝手に皮と中骨に分離する。

ちなみにトクビレの異名である「八角」だがこれは「ぶつ切りにした時の断面が八角形だから」というものが有力だ。

「八角」

次回はトクビレを食べ「尽くす」お話にしたいと思う。

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