アメリカ大企業のSTEM教育投資ーロッキードマーチン プログラミング大会から奨学金、ロケットコンテストまでいろいろ。

前回のノートでは、Chevronというアメリカの石油関連企業のSTEM教育サポート内容を記載しましたが、今回はワシントンDCエリアのメリーランド州ベセスダに本社があるLockheed Martin(ロッキードマーチン)社のSTEM教育の取組を特集しようと思います。

ロッキードマーチン社とは

ロッキードマーチン社はアメリカの航空宇宙、防衛産業、テクノロジー業界で活躍する世界最大の企業の一つです。1995年3月にロッキードコーポレーションとマーチンマリエッタ社が合併して現在のロッキードマーチン社が生まれました。世界でおおよそ10万人の従業員を雇用しています。(2017年12月時点)

ロッキードマーチン社のSTEM教育サポート内容

ロッキードマーチン社は年間1万ドルの奨学金を200名のSTEM分野を専攻する学生にそれぞれ奨学金として支給していますが、このSTEM奨学金だけではなく、STEM教育の普及のための取組みが多岐に渡っています。

まずは、Code Quest.

高校生がコンピュータープログラミングのスキルを競う大会を開催しています。
一年に一度開催されるこの大会では、1チーム2名〜3名で構成された高校生のチームで競われます。与えられた2.5時間で、ロッキードマーチン社の技術者およびコンピュータープログラマーにより作成された15〜20題の問を、JAVA, Python, VB.net, C, and/or C++ といったコンピューター言語を用いて問題解決に導きます。
2019年は、4月27日(土)にイギリスやプエルトリコをはじめ、メリーランド州のアナポリスやベセスダ、ヴァージニア州のアーリントン、テキサス州ヒューストン、カリフォルニア州スタンフォード、ニューヨークなど多数の都市で開催されます。

この動画を見て頂ければわかるのですが、参加している高校生たちの真剣な眼差しったらすごいのなんのって。第4次産業革命が起きグローバル社会の発展の影響をいい意味でも悪い意味でもモロに受けていく日本の高校生は、こういう目をした高校生達と競争していかなければいけないのです。

競争する準備、できていますか?


次に、Team America Rocketry Challenge

STEM分野を専門とする優秀な人材育成強化のための航空宇宙産業・防衛産業戦略の1つのキーとして知られている、世界最大のロケットコンテストではアメリカ全土から集まった5000人にのぼる学生が参加し、毎年腕を競っています。

ロッキードマーチン社は、このコンテストの参加者のロケットデザイン・制作・発射といった課題への挑戦を通して航空宇宙分野を学ぶサポートをしています。

この大会は、航空宇宙工業協会(the Aerospace Industries Association (AIA))やロケット工業会(the National Association of Rocketry (NAR))がスポンサーをしています。ライト兄弟の世界初動力飛行成功から100年を記念して、2002年秋に1度きりの予定で開催されましたが、すぐさま人気となり再度開催を要望する声が多く寄せられ、毎年開催される運びとなりました。

コンテストのルールや採点基準は、学生の独創性や創意工夫、また、ロケットデザインの斬新なアプローチを引き出すため、全てのサイクルで変更されます。

今年のコンテストでは、アポロ11号の月面着陸から50周年を記念して、学生達には次のような課題が与えられます。

ロケットをデザイン・制作し、カプセルに入れた3つの生卵を搭載し高度856フィート(約261m)まで飛ばし、43秒ー46秒以内に地上へ着陸。この時生卵は割れていない状態であることが必要。

みなさんは作れそうですか?
正直私は今すぐ作れと言われても、頭が真っ白になって作れないと思います。。

(写真は全てTeam America Rocketry Challenge 2018 Photo Galleryから転載。
https://rocketcontest.org/gallery-2/2018-photos/

お次は、The USA Science & Engineering Festival

アメリカ科学・エンジニアリングフェスティバル(The USA Science & Engineering Festival)は、アメリカで最大のSTEMイベントです。
隔年で開催される参加費無料のこのイベントでは、1000以上のSTEM団体にフォーカスをあて、それぞれの団体がインタラクティブ且つ教育的なアクティビティを提供しています。ロッキードマーチン社はこのイベントの創設から関わり、ホストも務めています。

(The USA Science & Engineering Festivalサイトより)

このフェスティバル(The USA Science & Engineering Festival)は2018年に開催されたので今年の開催はないものの、Southern California science and engineering festival(南カリフォルニア科学・エンジニアリングフェスティバル)がNBAのLA Clippers(クリッパーズ)の協力を得て、ロサンゼルスのコンベンションセンターで2019年3月に初開催予定となっています。ワシントンDCでされるThe USA Science & Engineering Festivalに比べると規模は小規模ですが、The USA Science & Engineering Festivalの成功要素全てを組み込み成功に導くと主催者は気合い十分。LAに3月に渡航予定のある方は是非覗いてみてはいかがでしょうか。

今回はロッキードマーチン社の取り組み3つをご紹介しましたが、これはほんの一部でロッキードマーチン社はこの他にも沢山のSTEM教育に取り組んでいます。
STEM教育を推進する理由は、「アメリカの国力を利するため、また、STEM分野に精通している高度な技術力を備えた人材を継続的に採用するためにSTEM教育に投資しSTEM分野に興味を持つ若年層を増やし、STEM人材の裾野を広げる重要性を認識しているため」とホームページに記載があります。

アメリカでは様々な団体・企業が、子供たちがSTEM科目を興味を持って楽しく取り組めるよう色々な仕掛けをしています。アメリカが今もInovationの中心地であることは、それだけが要因ではないですが、様々な団体・企業の長きに渡る取組みがあるからかもしれません。

最後に、Career Predictor

ロッキードマーチン社のホームページにキャリアプレディクターなるサイトがあります。どういったSTEMキャリアがいいのか?といった適職診断できるサイトです。このサイト、私は東京ディズニーランドにあるスペースマウンテンを連想してしまいました。効果音がそんな感じの雰囲気なのです。
適職診断、子供も大人も楽しめそうです。ぜひお試しあれ〜!




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