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リスクマネジメント

リスクとは、「プロジェクトの目標に影響を与える不確かな事象あるいは状態のこと」というのが定義ですが、私はわかりやすく「このまま行ったらまずいと思っていること=心配事」と言ってます。

一番分かり易い身近な例としてよく使うのは受験です。
※このままの学力だとA大学に入れそうも無いなぁ・・・【心配事】

では、前回に引き続きリスクマネジメントの最初の一歩である、リスクマネジメント計画の作成手順で重要なポイントを押さえておきます。

手順1:メンバー全員でリスクを洗い出す
⇒タイムマネジメントのWBS作成と同様に、マネジャーが一人でやるとマネジャーが心配していることしか抽出できません。メンバーを集めて、「このまま行くとまずいと思っていること無い?」とか、「あえて出来ないことがあるとしたらどんな事がある?」と聞いて下さい。

手順2:抽出したリスクを、「発生確率」と「影響度」で評価する
手順3:「総合点」を付けて点数の高い順にソートする
⇒「発生確率」とはその心配事が顕在化する可能性、「影響度」とはその心配事が顕在化したときにプロジェクトに与えるインパクトの大きさです。
3段階でもいいし5段階でもいいですが、点数付けしてください。感覚的・相対的で大丈夫です。総合点は発生確率と影響度のかけ算でもいいし、どちらかに重み付けしてもいいです。

手順4:どこまでやるか線引きする
リスクは数百項目になることもあります。こんなの全部やってられませんので、まずはここまで考えようと線引きします。どのあたりで線引きするかは結構経験則であり組織のナレッジです。最初は分からないので、”だいたいこのあたり”で結構です。

手順5:総合点の高い順番に「対応策」を考える
⇒対応策には回避・転嫁・軽減・受容、の4種類あります。
・回避:その心配事を完全に無くしてしまうこと【A大学はやめて安全なB大学に志望変更する】
・転嫁:発生した時の代替策を用意する【滑り止めを受験】
・軽減:発生確率または影響度を減らす【学力アップのために予備校に通う】
・受容:そのまま受け入れる【ダメならダメであきらめる】

手順6:リスクが顕在化した場合のトリガー条件とコンテンジェンシー計画を作成する
⇒いつどうなっていたらリスクに対して追加施策を発動すると決めておく。
【10月末で合格予測が50%未満の場合、11月と12月は家庭教師を付ける】
やると決めた作業はWBSに入れ、予算はコンテンジェンシー計画まで含めて確保し、プロジェクトオーナーの承認をもらう。
【家庭教師2ヶ月分の予算はプロジェクト予算として確保しておく】
リスクが顕在化しなかったら、”予算は使わなくてすんだ”となります。

手順7:手順4で線引きしたけど本当にそれでいいか再考する
⇒線引きした下にもやっぱりもう少し考えた方がいいというものがあれば救ってあげましょう。ただし欲張りは禁物です、コストが膨れ上がります。
線の下にあるリスクはすべて「受容」です。その時考えるということ。

上記手順で重要なポイントは太字のところです。
中でも、
やると決めた作業はWBSに入れ、予算はコンテンジェンシー計画まで含めて確保し、プロジェクトオーナーの承認をもらう。
が最重要で、これは、
心配事が発生してインパクトを与えることを最小化するための活動を計画して予算化し、発生しなかったらよかったね
という方向に倒すということです。
これって日常の考え方ではあまり存在しません。
多くは顕在化した時に、どうする?
ですが、リスクマネジメントは顕在化させない・またはリスクを最小化するために何をする→それでも顕在化したらどうする、まで計画して実行することですのでまったく発想が違います。

次回は「監視コントロールプロセス」です。

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