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やればできる

職場でのコミュニケーションの難しさを題材に、上司と部下の会話あるあるから、主に上司のあるべき姿を考えてみようというマガジンの14回目です。
【】は心の声、つまり言えないけど心の中でこう思っているという意味で読んで下さい。

あるある#13:

(部下)課長、今回のこのプロジェクトの計画を作ってみたのでが、現状では受注した時にお客様に提示した納期に対して、2か月ほど遅延しそうです。
(課長)何だって! そんなことが許されるわけないだろう!
(部下)ですのでこのリスクに対して、私なりにリスク計画を作ってみましたので確認していただきたいと思います。
(課長)よし、分かった。
【提案には当初予算の2割ほどにあたる追加予算が計画されている】
(課長)いやいや、これじゃあほとんど利益がなくなっちゃうじゃないか、こんな対策ではなくて他に手はいくらでもあるだろう。君ならやればできる!
(部下)【でたぁ、精神論では何も解決しないのに】わかりました、もう少し考えてみます・・・

以前、「やればできるじゃないか!」というタイトルで投稿しましたが、これの趣旨は「部下を信頼していない」でした。

言葉は似てますけど今回の「やればできる」はまったく意図が違います。
上記の会話では、部下がプロジェクトのリスクについて検討し、その対策と万が一顕在化した時の対応を計画したことに対して、「やればできる」の精神論で返しているので、これは直面したリスクに対して逃げているだけなのです。

リスクとは ”顕在化していないがこのまま進むとまずいと思っていること” です。
上記の例では「2か月遅れそう」がそれにあたりますが、もしかしたら何もしなくてもうまく行っちゃうかもしれません、みたいなことです。
プロジェクトマネジメントでは、リスク計画を作ります。これには、
・対応策(回避、軽減、転嫁、受容、のいずれか)を練る
・コンテンジェンシー計画とトリガー条件を決める
が含まれており、
・対応策は、顕在化しないように、または発生しても影響度を小さくするためにやること、です
・コンテンジェンシー計画は、「もし顕在化したら何をするか」で、トリガー条件はそれを発動する条件(日程や状態)のこと、です。

何か難しそうですが、日常でもよくあることです。
例えば、自分の子供が大学を受験する年齢になって、
・なんかこのままだと志望校に入れなそうだなぁ(リスク)
・学力アップのために塾へ行かせよう(対応策・・軽減)
・10月の学力テストで合格可能性が50%以下だったら、家庭教師をつけよう(コンテンジェンシー計画とトリガー条件)

この時、塾に行く費用と、家庭教師の費用を、あらかじめ用意しておきます。実際には塾に行く費用はすぐに費消開始、家庭教師費用はプールしておく、となりますが、この家庭教師費用をプールしておくことが重要です。

上記の課長と部下の会話で、”2割追加”がこれにあたるわけですが、「プールしておいて使わなかったらラッキー」、という管理が求められます。

プロジェクトマネージャーは、「やればできる」という精神論から解放するのが仕事なのです。

辛いですよね・・・

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