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第10話「ホストファミリーは牧師さん」

成田を出発してから、丸24時間が過ぎた。

留学先のメルボルンは、オーストラリア大陸の南東部にあるビクトリア州の州都だ。当時の人口はおおよそ300万人程で、同国ではシドニーに次ぐ2番目に大きな都市。1956年に南半級で最初にオリンピックが開かれた都市としても知られている。

カツヒロが留学先にオーストラリアを選んだのは、比較的治安が良く人々が穏やかな点と同じ英語圏のアメリカやカナダ、イギリスより料金が安かったから。

最終的にシドニーとメルボルンのどちらにするか悩んだが、先にメルボルンの語学学校から入学許可の知らせが届いたので、メルボルンに行くことにした。

・・・。

飛行機は定刻より20分程遅れの17時45分にメルボルン空港に到着した。

「あー、ホント長かったなー。」

オーストラリアの内陸は、大半が砂漠だから、窓から外の景色を眺めても、ほとんど変化がなかった。

カツヒロは、機外に出ると大きく背伸びをし、「よっしゃー」と気合を入れた後、Arrivalの標識を目指す集団を後追いした。しばらく進むと入国審査があり、無事に入国スタンプが押された。

「やったー、ついにオーストラリアに入国したぞー。」

「ここまで、本当に長かったけど、本当に良く頑張った。」そう心の中で強く叫びたくなったが、さすがにそんな勇気はなかった。

「とりあえず、あとはスーツケースだ。」

スーツケース

「あー、良かった。俺のスーツケース、ちゃんと出て来た。」

池田先生が海外添乗で、たまにロストバゲッジする事があるって言っていたから、ちょっぴり心配したけど、無事にスーツケースと再会出来て本当に安心したよ。

スーツケースを持ってゲートの外に出ると、たくさんの人が待ち構えていた。カツヒロはその中から日本語でムトウカツヒロと書かれた紙を持っている男性を見つけ、近くに行った。

すると、あと2人日本人がいた。一人は身長が170㎝ぐらいある女性で年齢は23~4歳ぐらい、神奈川県の出身。もう一人は、口ひげを生やした30代前半ぐらい男性。小学校の先生をしていたと言っていた。

カツヒロはこの2人と一緒に、迎えのマイクロバスに乗り、それぞれ別々のホームステイ先に送り届けられた。途中、口ひげの男性がオーストラリア人のドライバーに何度か英語で話しかけたが、

ドライバーは決まって「ノープロブラム、ノープロブラム」とばかり言っていた。

むかし英会話スクールのNovaが、TVコマーシャルで盛んに「ノープロブラム、アイアム、ノバ」とやっていたセリフを思い出しくすっと笑った。

カツヒロは3人の中で最後にホームステイ先に到着した。

迎えに出て来たのは、40代中頃の男性で、名前がレスと言う事が分かった。体系は少しぽっちゃりしていて、スラムダンクの安西先生やKFCのカーネルサンダースに似ている。

カーネルサンダース

レスは牧師さんで、それ以外に日豪協会という日本とオーストラリアの相互理解と友好・親善の促進を目的とした組織でも働いているそうだ。日本の事がとても好きで、これまで多くの日本人留学生を受け入れて来た。

ホストファミリーはレスさん一人だけだったので、恐らく独身のようだ。

カツヒロは、つたない英語で自己紹介をし、持ってきたお土産を渡した。相手に喜んでもらえるかどうか分からないけど、軽くて持ち運び易く、保存も出来ると言う理由で「雷お越し」を持参した。

レスはとても喜び、たくさん話しかけて来たが、「Thank you, Katsuhiro」と言う部分しか上手く理解出来なかった。だけど、表情は嬉しそうだったからお互いの気持ちは通じあった。

「カツヒロ、今日は移動で疲れただろうから、シャワーを浴びて、ゆっくり休みなさい。」多分、そんな風に言われたので、言われた通りにシャワーを浴びて、ぐっすり寝た。


つづく。

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