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幻想的空想的妄想的ジブリ解釈・ラスト(『おもひでぽろぽろ』編)1

『おもひでぽろぽろ』の謎 〜その1〜
 
《このシリーズは、すでに視聴されている方を対象としています。ご容赦ください。》
 
【はじめに】
 今回は、高畑勲監督の作品です。これ、ジブリの他の作品と比較して、あまり人気のある方ではないような気がします。内容が現実的ですし、しかも心理的に暗い部分がありそうな気がしますし。最初の印象は、そんな感じでした。
 ところが、最後の都はるみさんの歌があまりに内容にぴったりで驚きつつ、再度見直しますと、なんだか、かなり込み入った作りをしているように感じました。そこで、細かく時系列に従って、メモを取ってみますと、内容に偏りが見られ、それが主人公(タエ子)の心理と微妙に重なっているように見えたのです。
 以前に細かく調べた内容をもとに、今回は、たった一つの台詞から妄想を膨らませてみたいと思います。もっとも、アニメ全体で感じられる漠然とした雰囲気が、この妄想を支えているようにも思います。
 まずは、登場人物を下に示しましょう。そして、今回は、現在と過去の出来事の対比を時系列メモで確認します。過去と現在の対比のスタイルが崩れないように、このあと画像で投稿します。それを見ますと、前半から後半で、過去から現在へ重心が移動していることが分かります。ちなみに、この作品には、原作があります。その内容はアニメ内で忠実に回想の形で紹介され、時間的に紹介できない物語については、タエ子のナレーションで語られています。このアニメに関する妄想的分析は、次回からになりますが、その前に、特徴的な場面や疑問に感じる場面についてまとめてみました。
 まずは、この作品での特徴的な場面や不明点を以下に列挙してみます。
1.始まりが回想シーンで、小学5年生頃の建物であったこと(過去から始まっている。はじまりはものすごく地味である)。
2.全体の1/3近くは回想シーンであること。
3.27歳のタエ子は、映像の中では一度も過去の小5のタエ子ちゃんを見つめていないこと。過去の小5のタエ子ちゃんは、現在の27歳のタエ子を見たり、触れたりしています。
4.途中に出てきたタエ子のいくつかの質問の特徴は?
(1)「なぜ小学5年生なのだろう?」
(2)「なぜ一度だけたたかれたのか」
(3)「握手だけ?」
5.回想シーンで、タエ子ちゃんが父にたたかれた場面。また、タエ子ちゃんの演劇活動を父に否定された場面。
6.母の対応。
(1)おかずを残した場面。作文は誉められたが、パンに挟んだ玉ねぎで叱られています。
(2)タエ子ちゃんに外部から演劇の役が最初に来たことを言わないように、母から言われたこと。
7.劇でスターになれそうだと言ったことをタエ子は冗談で済まそうとした(トシオは、冗談としてとらなかった)。
8.回想シーンと現実シーンが主であるのに、回想でも現実でもないシーンが少なくとも2つあること。山形への列車の中にいた時に自分の部屋で寝ているシーンと、トシオの車の中にいるのにワラをつんだ馬車に乗っているシーン(28分55秒後、1時間52分6秒後)。
9.回想の阿部君が現実の雨の中と橋の上に現れたこと。(他のシーンで27歳のタエ子は過去の小5の自分を見ることはなかったが、阿部君は27歳のタエ子を見つめていた。1時間40分25秒後)
10.阿部君の話が27歳のタエ子から語られたこと(回想シーンの形式をとらなかった)。
11.阿部君のシーンでアニメ開始の音楽が鳴ったことに何か意味があるのだろうか(何かが始まるのか、それとも終わるのか)。
12.回想の小5のタエ子ちゃんと現実の27歳のタエ子が列車の中で出会うことの意味は?(列車に意味があるのか)
13.小5のタエ子ちゃんのこだわりのシーン(分数の計算、演劇での台詞)。
 
 以上の内容については、次回にその内容について素描します。

『おもひでぽろぽろ』時系列メモ

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