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短編小説 「私の図書館」



私の名前はハルカ。静かな街の図書館で働く、いたって普通の図書館員だ。でも、私にはちょっとした特技がある。それは、本を通じて人々の心を温めること。

冬の寒さが厳しいこの季節、人々は自宅にこもりがちで、図書館の訪問者も少ない。だけど、私はそれでも一人一人の訪問者に心を込めて、本の魅力を伝える。

「今日はどんな本をお探しですか?」私が訊くと、訪れる人々は少し驚く。図書館員がこんなに積極的に話しかけてくるなんて、珍しいからだ。

私の勧める本はいつも、人々の心を温める物語。寒い冬でも、彼らの心には暖かな太陽が昇る。

「あなたの推薦する本はいつも素敵ね」と、ある日、常連の老婦人が言った。彼女の笑顔が、私の心を温かくした。

図書館の中は静かだけど、その静けさの中で、本と人との出会いが静かに織りなされている。本のページをめくる音が、冬の静寂を穏やかに満たす。

「ねえ、ハルカさん。なんでこんなに人を暖かくする本ばかり選ぶの?」ある日、若い女性が訊ねてきた。

私は笑顔で答えた。「だって、本は私たちに夢を見せ、心を温めるもの。外は寒くても、心の中にはいつも太陽があるから」

彼女は少し驚いたように私を見つめ、やがて小さく微笑んだ。「そうかもしれないね」

その瞬間、図書館の中にほんのりとした暖かさが広がったように感じた。彼女の微笑みが、冬の寒さを和らげてくれるようだった。

この図書館で過ごす日々は、時に寂しく、時に喜びに満ちている。でも、私はこの場所が大好きだ。ここで私は、冬の太陽のように人々の心を温め続ける。

「また来てね」と私はいつも言う。私の言葉は、冬の寒さの中で小さな光となり、訪れる人々を温かく包む。

図書館の外には冷たい風が吹いているけれど、ここにいる限り、私たちの心はいつも温かい。それが私の信じる魔法だ。

だから、「心を温めようじゃないか」これが私の口癖で、私の信念。

私はこれからも、冬の太陽として、この小さな図書館で人々の心を温め続ける。

それが私の存在意義であり、生きる道だと信じているから。




時間を割いてくれてありがとうございました。

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