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嘘でしょ! お正月から大失敗 数の子を熱湯で

2023年元日、朝、数の子が大変なことになっていた。
 ことの発端は、年末に近所の魚屋さんで国産の数の子を手に入れたことだった。これまで数の子は、うろ覚えではあったが実家の母がやっていた処理方法、すなわち晦日に水に入れて塩抜きして、大晦日に醤油出汁に漬けて、一晩置いて元旦に食べるという方法でやってきた。しかし、今回はせっかくだから無手勝流にやるのではなく、セオリーに則ってきちんと処理と味付けに取り組んでみようと思ったのが失敗の始まりだった。

 ネットに情報は氾濫しているが、私が信頼を寄せているオイシックス・ラ・大地が運営するサイト「Oisixおせち2023」のなかの「数の子の調理方法」を参考にした。オイシックス・ラ・大地は無農薬野菜や無添加食材を扱っていた旧・大地を守る会を母体にする会社で、ここならば間違いないと盲目的に信じていた。   
 「Oisixおせち2023」によると、塩抜きをした後の数の子の味付けは、「煮立てた醤油出汁で5分煮込み、火を止めてそのままの状態で一晩放置する」というもの。私が自己流でやってきた方法と全然違うのだなと思ったが、自分のこれまでのやり方が間違いであったのだと反省をした。そして掲載されていたレシピ通り、寸分違わず手順を踏襲した。

 ところがどうだろう、煮立てた瞬間、透明感のある黄色をした数の子は白く濁った。たらこを焼いた時のあの感じである。冷めれば元の透明感に戻るのだろうと思って一晩おいた翌元日、キッチンに行ってみるとパットに入れた数の子は白く濁ったままだ。微妙にショックを感じたが、出汁が染み込んで味が美味しいならば見た目は諦めようと一口食べたその瞬間、身体中に衝撃が走って、思わず数の子を吐き出した。なんともいえないエグみと生臭さが口の中いっぱいに襲ってきたのだ。渋柿や山菜どころの騒ぎじゃなぐらいにエグい。こんなまずい食べ物はそうそうお目にかかれない、いやお口にかかれないというくらいのまずさと不快感なのだ。急いで洗面所に走ってモンダミンでうがいをしてから歯を磨いた。

一晩おいても白く濁ったままの数の子
「Oisixおせち2023」(引用元 https://www.oisix.com/shop.osechi--cont-kazunoko__html.htm)
に掲載されている数の子の味付け方法
「Oisixおせち2023」(引用元 https://www.oisix.com/shop.osechi--cont-kazunoko__html.htm)の「数の子の調理方法のご紹介」

 そしてもう一度ネットで調べると、数の子を熱々の出汁で味付けしたり、ましてや煮立てるといった調理方法はオイシックス・ラ・大地のサイト以外にはなかった。一体どうしたというのだオイシックス・ラ・大地、あんなに信頼していたのに。いわゆる一文字一円の在宅ライターが書いたものを本部の人がチェックしないでアップしたのだろうか。
 さすがにこの数の子はもう食べられない。「おせちの中で一番楽しみにしてたのに」と夫はポツリと言った。私だって、甘くておかずにならないものがほとんどのおせちのなかにあって、数の子が一番の好物なのに。

 2023年元旦早々、私が肝に銘じたこと、それは案外自分を信じていいということだ。

透明感のある黄色が懐かしい白濁した数の子
「Oisixおせち2023」(引用元 https://www.oisix.com/shop.osechi--cont-kazunoko__html.htm)にある数の子の塩抜きと調理方法
幻に終わった2023年正月の数の子

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