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どんな長編も、短編の繰り返し。

読み切りの漫画なら描けるけど、連載となるとイメージが湧かない
…という方も多い印象を受けます。
短編の経験をどうやって連載という長編にいかすのか。
連載成功のカギはそこにあるのかもしれません。

先日、こんなポストを投稿しました。

ミッションとドラマについて

物語の構成のテクニックはいくつもありますが、おそらく大体のストーリー漫画にはこの「ミッション」と「ドラマ」が設定されているはずです。

ミッション。つまり、目的達成のための課題ですね。平和な世界にするという目的達成のためには、魔王を倒すというミッションをクリアしないといけない。

ドラマ。ミッションと同時に展開していく人間模様がなければ、読者はただの脚本を読んでいる気分になります。そのため、ミッションをクリアしていくまでの過程で、キャラクターの心情を描写していく必要があります。それがドラマというわけです。

つまり物語とはけっきょくのところ、このミッションとドラマの組み合わせだと思います。そして、これは短編でも長編でも同じです。

短編は当然ミッションとドラマで構成されています。
そして、長編もミッションとドラマでできあがっています。

では二つの違いはというと、ミッションの大きさです。
ここからは、ミッションに絞って触れていきますね。

長編と短編の違いは、ミッションの大きさ。

例にあげた魔王を倒すというミッションは、その作品の最大ミッションとなるでしょう。他にも、プロ野球選手になるとか、世界一の魔法使いになるとか、長編にふさわしい大枠のミッションが長編には存在します。
目の前で倒れた人を助ける、というだけのミッションがあっても、なかなか長編にはしづらいですよね。長編には、長編に合った大きなミッションが必要というわけです。対して短編には、大きなミッションは必要ないということになりますね。

いやいや、短編(読み切り)でも主人公が「世界一の◯◯になる」って大きなミッションを掲げてるのもあるじゃん。…と思った方もいるかもしれませんね。それこそが、今回の記事の核心に通じる点だと思います。

短編なのに大きなミッションを掲げている理由。そして、短編の作り方を知れば長編が作れるというのは、けっきょく長編は短編の繰り返しだからです。

どんな長編も短編の繰り返し。

細分化、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
大きな目標を立てたときや、大きな仕事をこなすときに、それらを細かく分けて取り掛かりやすくすることです。いきなり大きな内容で仕事を振られても、どこから手をつけていいかわからなくなりますよね。だから細分化して、一つ一つ小さくなった作業を完結させていくことで、最終的には大きな仕事を終わらせることができるのです。

さて長編の作り方ですが、この細分化と同じ考え方ができると思います。大きなミッションが設定されても、それだけではキャラクターたちはどこから始めてどこへ旅に出ればいいかわかりません。

そこで必要となるのが、小ミッションです。
魔王を倒すという大ミッションが設定されたら、それをクリアするための小ミッションを作っていきます。大ミッションを細分化していくというわけですね。
例えば、魔王を倒すには聖なる宝玉を手に入れなければならない…となったとします。この聖なる宝玉を手に入れるというのが小ミッションになるわけです。
さらに、聖なる宝玉を手に入れるには宝玉の在処を示す魔法の地図が必要であるとなったとします。
宝玉を手に入れるという小ミッションの中に、さらに小さなミッションが発生するわけです。
そして、大ミッションを細分化した小ミッションたちこそが、短編の物語になるわけですね。

大ミッションは小ミッションの集合体。つまり、長編は短編の繰り返しによって成立する物語というわけです。

短編には2種類あります。一つはその短編だけで完結する、大ミッションの存在しない短編。もう一つは、大ミッションを細分化した小ミッションによる短編です。先に触れた、読み切りなのに大ミッションを掲げている主人公がいる…というのは、そもそも漫画の読み切りが連載を想定した作品が多いからですね。小説の短編集などを読むと、短編だけで完結している物語も多いと思いますよ。

…というわけで、短編の作り方を学べばそれの繰り返しが長編となるので、短編を知れば長編を作れるということです。長編を作る感覚を身につけるのは中々難しいですが、その仕組みを知っておくだけでも、連載に臨むときが訪れたらきっと役に立つと思います。

連載ってどう作ったらいいの?と悩んでる方は、まずは主人公の最終目的と、それに必要な最大ミッションを考えてみましょう。それができたら、最大ミッションを細分化していくことで、主人公の旅路が見えてくると思います。ある程度の道筋が把握できるだけでも、連載は作りやすくなるはずです。


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