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【経理】上司や経営者に言いにくいことは、他の人に言ってもらったら良い。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

経理さんは、会社の仕組みの中で「おかしいな?」ということに気づくことが多いと思います。今日は、自分が上司や経営者に言いにくいことは、他の人に言ってもらったら良い、ということについて書きます。


疑問・問題に気づくが、言いにくい。

経理には会社のあらゆる情報が集まる上、経理さんは記憶力・記録力に優れた方が多いので、「おかしいな?」と思うことが非常に多いと思います。

一方で、それをすぐに言ってしまうことを避ける傾向も顕著です。1週間→1か月→半年→1年と経過した後に大問題に発展した後、「気づいていたけど、怖くて言えなかった」ということも、しばしばあります。

会社の顧問税理士として話を伺うと、同じような理由が並びます。
・他の人が言わないので、自分がおかしいのかと思っていた。
・すぐに気づくようなことなので、特別な理由があるはずと思っていた。
・同僚に相談したが、「それは触れない方が良いと思う」と言われた。
・忙しすぎて、相談する暇もない。相談する時間がもったいない。
・会社に居ずらくなるのは嫌だから言わなかった。

自分も経理部員だったことがあるので、非常によくわかります。ただ、「何も言わない」という選択肢は悪い結果しか生み出さないので、何らかのアクションをすることをおすすめします。

皆が同じように感じているわけではない。

例えば、自分の疑問を口にすると、諸先輩方が丁寧に説明をしてくれます。

面白いのは、それぞれの方の説明が、それぞれ異なることです。ある方は「それは、部長の個人的な好みです」とこっそり説明してくれますが、ある方は「違います、それは会社が決めたルールで、ここに書いてあります」と書類を見ながら説明してくれます。また別の方は「いやいや、それは税法に定められているルールで、この条文が根拠です」と説明してくれます。結局は、「税法を根拠に会社が設定したルールで、それを部長は好ましいと思っている」というのが正しそうですね、という結論になったりします。

同じ場所で毎日一緒に働く仲間が直面する同じ事象であっても、人によって理解が違うことがほとんどです。

他の人に話すことにより、論点が明確になる。

疑問点や問題点は、むやみやたらに口に出す必要はありませんが、自分ひとりで抱えている必要もありません。自分の視点だけで問題を解決できないからこそ、今、自分の中で「疑問」「問題」なので、守秘義務の範囲内で、他の人に相談しましょう。

①疑問・問題の原因は何かを特定する。

まず特定しなくてはいけないのは、疑問・問題の原因です。よくあるのは、下記のようなことです。

・自分がアクセスできない情報によるもの
・自分が未熟だから知らないもの、理解できていないもの
・会社の悪しき慣習となってしまっているもの

これらの原因ですが、ひとりの人に言われたことを妄信的に信じるのは危険なので、やめましょう。例えば「あなたが未熟だから理解できないんだよ」と言われた場合、実際にその通りであることもありますが、残念ながら、本質は「会社の悪しき慣習」であることも非常に多いです。

守秘義務の範囲内で、心を許せる範囲で、複数の方に相談することをおすすめします。

②どのような手順で、誰に言ったら解決するかを考える。

転職が多い方は身に染みていると思いますが、「会社の社員数が多いと、いろいろな考えの人がいるから良い」と考えるのは、誤っていることが多いです。一つの会社に長く勤務する人は、良くも悪くも同じような考えになりがちだからです。100人の社員が居ても、似たような価値観の100人がいるだけです。

機会があるのであれば、社内で解決しなかった疑問・問題は、顧問税理士などの外部の人に相談することをおすすめします。なぜなら、会社に関与があっても、毎日会社にいるわけではない人は、客観的な目を持ちやすいからです。(場合によっては客観的な目を持てない場合もあるので、異論は認めます。)

例えば、顧問税理士は、何も知らない体で「あれ?これって、なんで、~なんでしたっけ?」と社長に質問をするのが非常に得意です。そして、その質問に対する社長の回答が適切でない場合には、その是正を求めることができます。

社長が顧問税理士を信頼していない場合は役に立ちませんが、効く場合もありますので、よろしければ試してみるもの良いかもしれません。

③その疑問・問題に対して、自分が気になる理由を考える。

もう1点、その疑問や問題に対して、自分が気になる理由は突き詰めておいた方が良いと思います。

なぜなら、その疑問・問題は、自分のコンプレックスや苦手なものが潜んでいることがあるからです。

自分が変わらなくていけないという意味ではなく、生きる上で、自分のコンプレックスや苦手なものは、知っておいた方が良いことだと思います。自分を客観的に見るのは非常に難しいですが、問題が起きたとき、気になるか・気にならないか、というのは、わかりやすいポイントになります。

自分が言えなければ、他の人に言ってもらえば良い。

顧問税理士の契約期間が長くなると、経理さんや他の部署の方からも「~ということを、何かの機会に社長に言ってもらえるとすごく嬉しいのですが」というご相談を受けることが多くなります。

自分自身が上司や経営者に物申さなくても、他の人に言ってもらえば良いので、顧問税理士以外でも、もし信頼できる外部の関係者がいれば、相談してみてはいかがでしょうか。

ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。