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【経理】"得意"を増やすより、"苦手意識がない"を増やす。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

中小企業の経理さんは、経理業務だけでなく、総務や他の事務作業を兼任することも非常に多いと思います。すべてを完璧にこなすために無理な努力を重ねがちな人も多いと思いますが、今日は「『得意なことを増やす』ことを考えるより、『苦手意識がないものを増やす』ことを考える方が、無理なくステップアップしやすい」ということについて書きます。


苦手意識がないものは、いつの間にか得意になる。

その会社での役職に関わらず、優秀な中小企業の経理さんに共通することなのですが、ご自身は「得意ということではなく、苦手意識がないだけです」とおっしゃる分野で、専門家級の理解や知見をお持ちだったりします。単純に言ってしまえば「気持ちの持ちよう」ですが、苦手意識がないと心理的負担がないので、意識することなく上達します

例えば、法律を読むことに苦手意識がない方は、知らないことを調べるときに、「法律を読む」or「法律を読まない」という選択肢に悩まずに法律を読むので、自然に法律に詳しくなり、理解が深まります。

また、英語がそれほど得意でなくても、オンラインで海外の講師と英語を話すことに苦手意識がなければ、毎日30分ずつ英語で話しているうちに、2~3か月でビジネス英語が話せるようになっていたりします。

新聞を読むことに苦手意識がなければ毎日欠かさず新聞を読めるので、当然、自然に時事に詳しくなり、知見も深まります。

”意識せずとも勝手に上達する”というのは、どんなラーニングシステムよりも強い、と考えています。

「得意」のレベル設定が、高すぎる。

自分の経験のみで定義すると、中小企業の経理さんにとっての「得意なこと」のレベルは、驚くほど高いことが多いです。なぜなら、超優秀な特定の個人や、複数の優秀な個人の能力の組み合わせを目標としていて、「そのレベルでないと『得意』と言ってはいけない」という無意識の縛りがあるからです。

例えば、ある経理さんは「税務が得意=最低でも税理士資格を持っていること」と考えてらっしゃいますし、ある経理さんは「英語が得意=TOEICで毎回満点&外資系企業でのマネージャー経験がある」と考えていらっしゃったりします。

だからこそですが、経理さんが「苦手意識がない」と考える時点で、既に「得意なこと」になることが決まっているものと思います。

「苦手意識がないこと」を増やすには。

そもそも「苦手意識がある」ものに対しては、できれば取り組みたくないものです。

無理に苦手意識をなくそうとしなくても良いと思いますが、業務上、どうしてもやらなけらばならないことが苦手なことであれば、とりあえず「試してみる」ことしかないと思います。

ただ、どんな方法が良いかというのは人それぞれなので、自分に合った方法を選ぶことが非常に大事です。苦手なことのうちには、「過去に方法の選択を誤ったことが理由で苦手になった」ことが含まれているからです。

自分の場合は、「お金がかからない、かつ、別に時間を取る必要がない」取り組み方が功を奏しやすいです。例えば「苦手な英語のリスニング能力を上げるために、英語の無料ポッドキャストを通勤時間で毎日4時間聴く」を2か月継続し、「今の仕事で普通に英語を使えるようになること」という目標を達成しました。

一方、多額のお金をかけて自分にプレッシャーを与えることで、短期間でステップアップする」タイプの方もいらっしゃるでしょう。

最初は苦手意識があっても、やっているうちに面白さを感じて苦手意識はなくなることもあるので、その場合は「得意」への道につながります。

それでも苦手意識が消えないものは、同僚や専門家に任せる。

試してみた結果、「その時は良い結果が出ても苦手意識は消えない」こともあります

どんなに努力しても苦手意識が消えないものはあるでしょうし、「得意になったけど苦手」ということすら存在します。場合によりますが、それをやるのが自分でなくても良いものであれば、苦手なことに無理に時間を使うことはありません。無理なものは無理なので、それはお願いできる同僚や専門家に任せてしまいましょう

自分の「苦手意識」と向き合いながら、是非、自分の「得意」を増やしてみてはいかがでしょうか。

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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。

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