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「台風クラブ」(1985)ネタバレあり


基本情報

台風の襲来をきっかけとして、日頃の鬱屈した感情を爆発させる少年少女の姿を通して、思春期の少年少女たちの危うさ・脆さを表現している。一見理解しがたい表現や、今日では規制の対象となるであろう過激な表現が散見されるが、それがかえって登場人物の心情の複雑さを浮き上がらせている。イタリアの映画監督であるベルナルド・ベルトルッチもこの作品から創作意欲を刺激されたと語っている。また、この作品で体当たりの演技を見せた工藤夕貴が注目されるきっかけともなった作品であり、これまで優等生的な役柄が多かった三浦友和が、それまでのイメージを180度転換させるような演技をしたことでも注目された。-Wikipedia


ログライン
台風が接近する中、学校に残った中学生たちは日ごろの鬱憤を爆発させ、狂乱状態となっていく。

ストーリー
ブレックファストクラブとか、リンダリンダリンダみたいな映画を想像していたが見事に裏切られた。明確な動機がないまま、群像劇的にストーリーが進んでいく。ゴールや原因が見えない中で三上が「みんなが狂った理由がわかった」というところは、説明になってないものの、「ああ、みんな狂ってたのね、ですよね」という、謎の納得感を得られる落としどころであった。

演技・演出
・冒頭、プールサイドで踊り狂う少女たちと、溺れて死にそうになっている少年、野球ユニフォームで駆けつける少年たち、と、既にカオスで目をくぎ付けにされる掴みだった。
・下着で走り回る少年少女たち(主に少女たち)は現代ではいろいろ規制があってできないのかもしれないが、それを見させられることでどこか、観ている方も共犯者のような後ろめたい、だがとても生命力を感じる気持ちになった。
・当たり前のように煙草を吸っている少年たち、今だと同じくできないんだろうなあ。
・大町を襲おうとした清水が「ただいま、おかえり」と言いながら黙々とドアを蹴るところは本当に狂気じみてた。でも怖いというより悲しさを感じた。
・梅宮先生は先生で、彼女のおじさん、母親とカラオケ騒ぎ、やはりこちらも狂っていて、その対比がよかった。三上に電話で「お前も15年経ったらこっち側だ」という梅宮先生の哀愁が感じられた。

撮影
・相米監督らしい、大胆な長回しが多かった。小津安二郎的なヒキのfixショットもあれば、被写体を手持ちやドリーで追い回す長回しが使い分けられており、緩急がうまくついていた。
・体育館で少年たちが踊る中で寝っ転がっている少年のカット、そこから徐々にドリーインしていくショットはよかった。
・雨の中で少年少女が踊るシーンもとてもよい。

好きだったところ
・教室にたくさん折り鶴を吊るすところ。

自分だったらどう撮るか/盗めるポイント
・土砂降りの雨を降らせるだけで一気にエネルギー、狂気さが増す。
・支離滅裂なストーリーでも「狂った」ということであればOK。

画像引用元:https://cinefil.tokyo/_ct/17030288

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