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『中間管理録トネガワ』『食糧人類』などヒット作を生み出した編集者が次に選んだ場所とは_後編

こんにちは!
株式会社CyberZが昨年より参入したWebtoon事業『StudioZOON』担当広報の城戸(きど)です!
「マンガ編集者が足りない!!」ということで連載をスタートした編集長インタビュー。

前編に続き、『中間管理録トネガワ』『1日外出録ハンチョウ』『食糧人類』など数々のヒット作を講談社で生み出し、20年の編集者経験を経て現在『StudioZOON』の第二編集部の編集長を務める村松 充裕さんのインタビューの続きです!
それではどうぞ!

ー転職を決め、色んなWebtoonスタジオを検討されたと思いますが、CyberZの『StudioZOON』に入社を決めた理由を教えてください。


コンテンツ事業をやりきる覚悟とそれを支える資金と働いている人の本気度があるところがいいな、と思っていました。そんな中『StudioZOON』を紹介されて「サイバーエージェントかぁ…」とABEMAやCygamesのことを思い浮かべた時に「やると決めた時のやり切り力がすごい会社だよなぁ」と思ったんです。

「なんとなく流行ってるっぽいからWebtoonやろう」って感じのところだとちょっと風向きが悪いとすぐ「違ったな、縮小しよ」ってなると思うんですけど、サイバーエージェントからは「コンテンツ企業に生まれ変わるぞ!」っていう覚悟を感じて信頼できるな〜と。
実際に現場の人に会ってみたらさらに本気度を感じたし、しかも今からスタジオを作るってタイミングで、作家さんに提示する契約書を自分が納得する形でイチから作れる段階だったので、タイミングが良かったです。

もし1年後とか、もっと事業が固まっていた段階だったら違ったかもしれないですが…いやでも、そうだとしてもそれを変えられちゃうくらい柔軟な組織や体制だと思いますね。なので「よっしゃ、ここにしよ!」ってなりました。

ー講談社を辞めることは迷いましたか?

辞めることについて迷ったことも、迷った期間もほぼなかったです。去年の8月末に転職を決意して、転職先を検討するために9月に色々な人と会って、10月にZOONへの転職を決めていました。
というのも「Webtoonをやりたい」と思って情報収集していた時に、得た情報とか自分の考えをノートにぶわーっと書き出してまとめてみようとしたんです。書き始める前は、講談社で編集部作るか子会社作るかかなぁ…と思って書き始めたんですけど、書いているうちに「あれ、これWebtoonやりたいなら転職するしかないじゃん!」となったんです。その時に初めて転職を決意したって感じですね。

ーなぜそう感じたのでしょうか?

そもそもWebtoon事業をやる上でクリアしないといけないことが15個くらいあるんですよ。例えば、クリエイターを集められるかとか、いい編集者がいるかとか、カラーの制作体制が作れるかとか、いい契約書が作れるかとか、事業を続けていく資金があるかとか…あんまり具体的には言えないんですが(笑)、まあそういうポイントが15個くらいある。今、色んな業態の会社がWebtoonをやろうとしていますが、会社のバックボーンや立ち位置によってこのポイントの何を何個取れるかが決まってくる訳ですが、そう考えた時にサイバーエージェントって全部とれるな、と思ったんです。

ーマーケティングもできるし自社内にメディアミックス先があったりとかですね!

そうです。例えば着彩体制を作るのって出版社だと意外と難しい。編集者とマンガ家はいるが、カラー作品を大量に生産するノウハウも繋がりもない。アートディレクターとかもどう立ててどう雇用したらいいかわからない、みたいになるんですが、サイバーエージェントだと社内にゲーム事業とかがあってイラストレーターやアートディレクターとの繋がり、そのマネジメントをどうするかみたいな蓄積があるんですよね。そんな感じで15個全部とれるんじゃないかと思ったんです。

さらにサイバーエージェントは採用に関しても真剣で、他の2人の編集長を始めすごいメンバーが集まっているんですよね。「これは半端じゃないぞ。よくこのチームを作ったな」と入ってから思いました。

ーなるほど、今のお話を聞いて他の2人の編集長についてはどんな印象なのかを伺いたいです

鍛治 健人・村松 充裕・萩原 猛

鍛治さんは『すごい人』だと思っていて、ご自身がマンガ家なのもあってクリエイターの気持ちがわかるので安心感があります。
僕はコンテンツ事業をモノにするならクリエイターの利害と自分たちの利害が一致してないといけないと思っていて、その感覚なくクリエイターをビジネス上の発注先や交渉相手と思うとうまくいかない。その点、鍛治さんは自分がクリエイターだからその気持ちがわかるし、さらにマネジメントもできて人格もよく、編集者としても動けて、アートディレクターの経験もあるから着彩のこともわかるし、異常なコミュ力ですごい人連れてきたり…能力も人徳もすごいなと思いますね。最初は編集経験がなくて苦労はあったと思いますが、言語化能力が高いので編集者は向いてるんだと思います。

萩原さんは、業務の幅も交友関係も広いし経験も豊富。僕はマンガのことしかわからないし萩原さんと比べると幅の狭い職人だと思うんですが、萩原さんは作品を熱量持って作れる職人っぽさもありながら、色んな局面のビジネスのことも熟知している超優秀なプロデューサーでもある。あと寝る時以外全身スーツで、一度話し出すと止まらない(笑)。作品にピュアで、作家へのリスペクトがあって、とにかくパワフル。これまた『すごい人』です。

ー以前の職場と比べて職場の雰囲気の違いはありましたか?

出版社って文化系の集まりなんで照れ屋なおじさんが多いんですよ(笑)人と違う着眼点を持っていたりして、いい意味で癖の強い個性的な人が多いんです。かたやサイバーエージェントの人って真っ直ぐないい人が多くて、いい意味で照れがないなと思います。

ー職場の働き方に違いはありますか?

ギャップはそんなに感じてないんですが、色んなシステムが完備されてるので、最初は社内システムとか登録とか大変だなと思ったんですが、登録しきってみたらスムーズで快適だなぁと。事務作業や手続きで時間をとられることを極力減らしてあるのでそこはいいなと思いました。
あととにかく若者をめっちゃ大事にするなと思いました。社員同士のコミュニケーションも非常に力を入れてるなと思いましたね。いきなり知らない人と昼食のスケジュールが入っていたり(笑)自分としてはこういう文化は良いと思うし働きやすいですね。

ー普段の事務作業ではなく、マンガ編集者としての雑務が減ったとか、そういったことはありましたか?

それはあると思います。バックヤードの人が充実しているので、マンガ編集作業から離れたことはやってくれる人が別にいて、今はほんとに純粋にマンガの打ち合わせをやったり、契約内容を決めたりとか、事業部の形を決めていったりというところに時間を使えていて、そこからこぼれることは誰かが巻き取ってくれるんです。

出版社の編集長って雑誌の編集をしつつ編集部員のマネージャーもやるんですけど、今僕は編集長をやらせてもらってますが、マネジメント業務は別の方がやってくれて本当に編集業務しかしていないです。
若手を見ていても雑務が少ないので打ち合わせの回数が単純に多くて、編集者としての成長速度は出版社以上だなと思いますね。実際に、普通のマンガ編集部の3倍の速度で若手が育つ編集部にしたいと思っていて、ノウハウは可能な限りドキュメントにまとめてますし、各々の発見もどんどん追記していっている。とにかく打ち合わせ以外の仕事を極力発生させないようにしているので、どこの編集部より雑務が少なくて作品のことだけを考えられる体制は整っていますね。

ーWebtoon作品を制作する上で、作家さんとのやりとりやコミュニケーションについて気を付けている点はありますか?

Webtoonだからといってコミュニケーションが変わることはないですね。ただWebtoonについてマンガ家さんもわからないことが多いと思うので説明は丁寧にしますね。マンガだと「業界の常識」がありますがそれがまだないし、会社によってやり方も契約もバラバラ。なので、我々は今Webtoonをこう考えていて、契約はこうで、こうやって制作しています、みたいな概要はなるべく共有しています。

ーnoteで「マンガ編集者4タイプいる説」すごく面白かったんですが、作家さんも同じく何タイプかに分かれるのでしょうか?

まあ、この4タイプはわかりやすく言ってるだけで、くっきり4つに分けられる!という訳ではないんですけど、あえて言えばマンガ家さんと編集者はデコとボコの逆と考えるとわかりやすいかもしれません。例えば、マネージャー型の編集者が合う作家さんは、作品は自分一人で描けるけどちゃんと盛り立てて欲しいタイプだと思うし、企画型の編集者が合う作家さんは何をどう描いたらいいかを相談していきたいタイプだと思います。

ー韓国のWebtoon作品が多く実写化され、世界中で見られるコンテンツとなっていますが、Webtoon作品がグローバルで人気を博す要因は何だと思いますか?

Webtoonそのものに限って話すと、読みやすいことに尽きると思います。次に実写化されて人気を博している理由としては、Webtoonがメディアの特性上、実写化に向いた作品を作りやすいのに加えて韓国が実写コンテンツ大国である、というのが大きいと思います。逆に韓国はアニメ産業が弱いので、Webtoonがヒットしたら実写化する!というフローは得意なんですが、Webtoonをアニメ化する流れはまだそこまで広がってないですね。

ー最後にStudioZOONでは現在編集者やアートディレクターなどを募集していますが、StudioZOONで働く魅力はなんですか?

楽しいです。楽しいことですね。本当にそれに尽きるというか、楽しいのは絶対楽しいと思います。

ー嬉しいですね。特にどういうことが楽しいと思いますか?

楽しいポイントはいっぱいあるんですが、日々新しい発見がある楽しさもありますし、未知のことをやっていると日々なんらかの問題が発生するんですが、それを速攻で討ち取れる優秀かつ熱いメンバーが揃っている。だから新しいこと、未知な部分に踏み込んでガンガン解決していく楽しさもありますし、単純に楽しい人たちも集まっているし、業務の幅が広い楽しさもある。例えば社内に映像制作会社があって映像の人と距離が近かったりとか。
転職後の方が世界が2.5倍くらいに広がった感覚があります。色んな人と関われて知らないことが知れて、自由に色んなことができています。

ー今後の展望として一番挑戦してみたいことはありますか?

まずはWebtoon作品をヒットさせること。あとは映像化の企画にも関わっていきたいですし、AIの研究もしたいです。いっぱいありますね。

以上、村松さんのインタビューをお届けしました。

経験のあるマンガ編集者を募集中!

現在『StudioZOON』では、経験のあるマンガ編集者を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。


不明点などがあれば以下までお気軽にお問い合わせください。

株式会社CyberZ 広報:城戸
kido-risa@cyber-z.co.jp

あとがき

村松さんのインタビュー、いかがでしたでしょうか。
私自身、広報として多くの取材現場には立ち合ってきましたが、自分がインタビュアーになるのは初めての経験で内心ドキドキだったのですが、さすがの村松さんの話術と汲み取り力で滞りなくインタビューすることができました。
村松さんは、一見物静かで少し何を考えているのか?分からないような雰囲気はあるのですが、「これってどういう方法がありますかね?」「これどう思いますか?」と私が聞くと、「なぜそれを今、村松さんに聞きたいのか」という背景まで瞬時に汲み取ってくれ、さらに言語化能力が半端ないので一言で「なるほど!」という答えをもらえていつも感謝をしています。
人の特徴を捉えるのが得意なのか、モノマネが得意だったり、冗談を飛ばしたりとユニークな面もありでよく笑わせてもらっています。
この記事で少しでも村松さんの人となりや、『StudioZOON』の魅力が伝わっていれば嬉しいです。

次は第一編集部編集長の鍛治さんにインタビューします!お楽しみに!!


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