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細部は持ち物に宿る。

物には、持ち主の個性が息づいていると思っています。

例えば、僕が愛用しているベトナムコーヒードリッパー。
シンプルなパーツで、細かく挽いたコーヒーの粉をセットし、
上からお湯を注ぐだけで、コーヒーができあがります。


フィルターには小さな穴が開いているだけ。
お湯に押し出されて落ちてくるコーヒーのカスを、練乳で味わいながら楽しむのです。

なぜ、ペーパーフィルターを使わないのか?

それには2つの理由があります。
まず一つは、ベトナムのコーヒー豆の特性です。
ベトナムで生産されるコーヒー豆の殆どは、ロブスタ種という品種です。
この品種は、成長が早く環境に強い特徴があります。
ただし、成長がはやく、大量生産できる代わりとして、
味わいがシンプルで、奥行きがありません。
そのためロブスタ種のコーヒー豆は、缶コーヒーやインスタントコーヒーに使用されています。
アラビカ種と比べて複雑な風味は少ないことは、ベトナム人が
味わいを深く気にせずにコーヒーを楽しむ理由の一つだと思います。
そしてもう一つは、ベトナム人のおおらかで大胆な性格が紐づいていると思っています。
もちろんベトナム人が全員そうかというと、そんなことはないんでしょうけど、きっとコーヒーのカスが多少口に入っても気にせず、
味わいにこだわらずにコーヒーを楽しむ姿勢が、
ベトナムコーヒードリッパーの使い方にも表れていると思っています。

珈琲の味わいの面白さに気づけていなかった時、コーヒーって面白いんだな〜と気づくきっかけになった事実のひとつです。

すこし話は変わりますが、
僕は革製品が大好きです。
革の場合は、その素材の個性が出ると
思うんですよね。

動物の皮から作られる革は、その動物の個性や生き様が感じられます。

馬革は丈夫で強靭、鹿革は柔らかく通気性があり、豚革は保温性があって柔らかい。

草原を駆け抜ける馬、顔だけ出して湖を泳ぐ鹿、寒冷地でもたくましく生きる豚…。それぞれの生き物の特徴が革製品に宿り、
その個体の生き様を物語っています。

これらのことから、僕は物には、
生まれ育ったその地の土地柄や、素材の個性が宿ると思っています。
そしてまた、物に、その生き様が現れることと同じように、使っていくその人の個性が宿るとも思います。

相手が履いている革靴の扱い方を見れば、その人の性格がなんとなくわかるもの。有名ブランドを履いているか、埃一つついていないか、傷があるか。普段接する人の持ち物や靴を観察すると、新たな発見があるかもしれません。

では、今日はこの辺で。

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