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ジェームス・ハーデンのチェンジオブペースの鋭さも、メッシのキレキレのドリブルも、そこには必ず「加速と減速」が存在しています。

上記の例はアスリートのプレーで例えましたが、一般的の方であっても無視はできません。

例えば、歩行動作でも歩き出すときに加速をし、止まる時に減速します。

信号が赤なのに減速ができないからと言って無視して直進する人はいませんよね。

加速と減速のコントロールは動きのキレをうみプレーを格段に飛躍させることに繋がります。

●軽視されがちな減速


加速も非常に重要な要素ではあるのですが、加速については追及されることは多く重要性については誰もが認知しています。

しかし、減速については、軽視されがちです。減速の重要性は大きく分けて2つあります。

1つ目は方向転換をするためです。

例えば、直進している時に左へ曲がるとします。
この時、地面反力ベクトルはは直進方向へ向かっています。左に曲がる時は直進方向に向かっている地面反力ベクトルよりも左方向への地面反力ベクトルが大きくならなければ曲がることはできません。

どれだけ緩やかに曲がったとしても、直進方向への地面反力ベクトルを小さくするために減速する必要があるのです。

多くのスポーツ(特に球技)でこの減速の動きが要求され、バスケットボールやサッカーのドリブルのキレがある選手も野球の内野で捕球してからスローイングまでが早い選手も、減速がうまくコントロールできているからです。

2つ目の理由は「脳機能」にあります。脳機能の詳細については以前別の記事で紹介させていただいていますが、ハイパフォーマンスを発揮するための脳の状態として

“脳が安全だと認知している状態・状況下において最大のパフォーマンスが発揮できる”



分かりやすく例にすると、綱渡りを50mするのと単純に地面で50m走をするのとではどちらがゴールに到達するのが早いか、50m走の方が当たり前に早いですよね。

これはかなり極端な例ですが、脳が安全を認知しているかどうかというのはパフォーマンス発揮、筋出力の発揮に物凄く大きな影響を与えます。

ここで言う脳が安全である状態とは体性感覚や視覚の能力の高さなどが直結してきますが、減速ができるというのも1つの要因になります。

脳機能と減速に何の関係があるのか

例えば、最高速度360km/h出るがブレーキがしっかりと整備されておらず、しっかり止まれるか定かではないスポーツカーに乗るとします(普通はあり得ませんが)。

躊躇せずに思いっきりアクセルを踏めますか?

人間の身体も同じことです。

いくら100mを10秒フラットで走るポテンシャルがあっても、ジェームス・ハーデンのようなキレキレのドリブルをするポテンシャルがあっても、不安全な状態ではその能力を発揮することはできないのです。

実際に全身の爆発的な瞬発力を高めるプライオメトリクス・トレーニングでも減速の局面(償却局面) が非常に重要視されています。

●加速と減速に必要な考え方

重心位置とパフォーマンスと重複する話にもなりますが、床反力ベクトルについて考える必要があります。

私たちは前方に進むときには後方に、後方に進むときには前方に地面を蹴ります。

例えば、前方に進むときに床反力ベクトルが後方に向かってしまっていては身体は前に進まず、一生その場にとどまることになります(トレッドミルがそんな感じです。正確には床反力ベクトルが後方に向かっているわけではないですが)。

基本原則は運動方向にベクトルが向きます。

床反力ベクトル(run)

※かなりざっくりした図説ですが、イメージはこのようなかんじです。
床反力ベクトルは進行方向とは別の方向にも発生していますが、合力が大きい方に進んで行きます。

そして、減速から加速、加速から減速をスムーズに行うには床反力ベクトルの方向に対して以下に早く、正確に安定重心の支持基底面上に移動させることができるか否かです。

その第一歩としてジャンプして着地するときにいかにピッタっと止まれるか練習してみてください。

そこから前に飛んでみたり、横に飛んでみたり、繰り返し切り替えして飛んでみたりと難易度を上げてみてください。


●まとめ

今回は「加速と減速」についてご紹介させていただきました。正直言ってあまりおもしろい内容ではないかもしれません。

しかし、地球上で生きている限りは重力を無視できないように、加速と減速は無視できない物理の法則です。

これを現場で活かすヒントは「減速時の姿勢」です。

どんな姿勢が一番早く減速ができるのか身体と頭を使って探してみてくだいさい。

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