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成果から考える理想的なプロダクトとサービス、そして働き方改革

「仕事のペースをつくる」シリーズとして昨日書いた「休息する」ことで伝えたことは、仕事のやり方からさらに一歩突っ込んで、プロダクトやサービスを開発するときにもかかわってくる。

そもそも昨日の投稿ではQuoraの質問に対する次の回答の内容を話しのきっかけとして使った。

まず前提として知っておいてほしい事があります。多くのトップレベルの会社(特にテックカンパニー)は従業員がどのように会社で過ごしているか細かく管理していません。結果が全てだからです。

「頑張っている」の定義をアップデートする

自分の周りでも、自分の仕事に対して「自分は頑張っている」ということをことさらに主張する人がいる。

頑張ること自体は悪いことではないが、自分の頑張りを強調する人の中には「頑張っている=長時間やっている」という考えでこり固まってしまっている人が少なくない。

そういう人は、ぜひ、その考え方を次のようにアップデートしよう。

「頑張っている=あまり時間をかけずに成果を出した」

このアップデートをしない限り、つまり、長時間やっている人を頑張っていると見なすという考え方を変えない限り、いつまで経っても本当の意味での「働き方改革」は実現されないだろう。

組織の中には、あまり時間をかけずに成果を出した人を「要領がいい」「ズルい」という感じでネガティブにとらえる文化を持つところがいまだに多いが、本当の意味で働き方改革に取り組むのであれば、そういうところを見直すための取り組みから始めるべきだ。

アップデートしないと成果があがるプロダクトもサービスもつくることができない

「頑張っている=長時間やっている」を是とする組織が陥ってしまうのは、働き方改革の失敗だけではない。その組織がつくるプロダクトやサービスも成果を得られない可能性が高い。

Outcomes Over Output』というコンパクトな本には、プロダクト開発やサービス開発にかかわっている人が押さえておくべき成果(Outcome)と成果物(Output)の違いがわかりやすく紹介されている。

この本の中に、プロダクト開発やサービス開発にかかわり方の「頑張り方」を見直すきっかけとなる文が出てくる。

Outcomes, or the human behaviors that drive business results, are what happen when you deliver the right features. Ideally, they happen when you’ve delivered as few features as possible.
(意訳:成果、言い換えれば、自社に良い結果をもたらすことにつながるユーザの行動は、ユーザが求めている機能や特徴を提供できたときに達成される。なるべく少ない機能や特徴で、成果を達成することが理想である。)

ここで出てくる right features というのは、自社が提供するプロダクトの機能、あるいはサービスの特徴のうち、ユーザが求めているもの、ユーザの困り事を解決する「これだっ!」という機能や特徴のことを指している。

この本では、同じ成果を達成する、結果を出すのであれば、そういう right features はできるだけ少ない方が良いよねと言っている。

つまり、アレもコレもとたくさんの機能や特徴、特典なんかを盛りだくさんにする労力をかけずに、たったひとつの機能や特徴であっても、それでユーザの困り事が解決されて、それによってユーザが増えたり、売上が増えたり、利益が出ればいいじゃないということを言っている。

アップデートした「頑張っている」を確認するための問い

ここまでくると、10年以上も話題にされているiPhoneとガラケーの違いとかの話しにつながってくることがわかるだろう。

さんざん「頑張って」時間をかけた結果、ユーザが使いもしない機能や特徴でゴテゴテになっているプロダクトやサービスをつくるというのは、成果を達成できなかったにとどまらない。

そのプロダクトやサービスを使ったユーザが、そのプロダクトやサービス、ひいては提供している組織にネガティブな印象を持つという点で、マイナスの成果を出していることになる。

だからこそ無闇な「頑張っている」状態は改めなくてはいけない。

ここで言う「無闇な頑張っている状態」というのは、ユーザの成果に直結しない頑張りということだ。

冒頭でも紹介した「頑張っている=あまり時間をかけずに成果を出した」
というアップデートした「頑張っている」になっているか評価するためには、

「今のこの時間で、どれだけユーザの困り事の解決に近づいたのか?」

と問いかけてみることから始めるのが良いかもしれない。

その問いかけから自分たちの仕事のやり方を見直していけば、ただ長く働くことが良しとされるような文化も少しずつ変わっていくはずだ。

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Photo by Hal Gatewood on Unsplash

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