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なかなか落ち着かない日が続いていて、いつもとは違う環境で仕事をしなくてはいけない人も増えている。自分の周りでもそういう人が増えてきた。

かくいう自分は、会社勤めの頃から翻訳や執筆の仕事は会社ではやらず家でやるようにしていたし、自分の会社を始めてからは、一応オフィスは持っているものの、自宅で仕事をする機会がかなり多い。

そんなこともあって、自分の経験から、在宅勤務など慣れない環境で働くことを余儀なくされている人、そこまでいかなくても、今の仕事のやり方を見直してみたいと思っている人向けに、3回くらいで記事を書いてみる。

集中力について考えるべきこと

どんな環境であれ、仕事をするためには「集中力」が必要だ。

そのため、これまで集中力に関する本をはじめ、仕事術やライフハックなんかがテーマの本を読んできた。その目的は「集中力を高めるためには、どうすれば良いか?」だった。

しかし、最近になって、そもそもその問いが間違っていたことに気がついた。集中力を高めることに目を向ける前に考えるべきことは「集中力を奪うものの影響を受けないようにするため、言い換えれば、集中力を維持するためには、どうすれば良いか?」なのだ。

慣れている環境であれ、慣れていない環境であれ、今の時代、わたしたちの集中力を奪う機会は山のようにあふれている。

パソコンやスマホをとおして提供されているサービス、そして身の回りにあふれるさまざまなモノが、わたしたちの気を引くために必死になっている。

仮にそれらの誘惑を断ち切って、集中しているつもりでも、自分の中で湧き上がってくる「あ、そういえば…」という思いつきによって、今やるべきこととまったく関係のないことに意識を持っていかれてしまう。

こうやって、自分の外にあるもの、中から浮かんでくることに、つい屈してしまうことから生まれる「中断」が、わたしたちの集中力を奪っている大きな元凶だ。

意識すべき「中断」の種類

どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』という本がある。

この本では、中断が起きる原因として次の2つが紹介されている(書籍で紹介されている順序とは逆にしている)。

・外的中断
・内的中断

この2つの中断を理解し、その対処を知り、実践することが集中力を維持するために欠かせない。

このうち、外的中断というのは、自分以外からのきっかけによって起きる中断のこと。例えば、誰かに話しかけられるとか、パソコンやスマホの通知に気を取られることなどが外的中断だ。

外的中断に対処するためには、まずは自分ひとりでできることとして、あらゆる通知を切ったり、そもそもスマホなどを手の届かないところに置いておくことから始める。

周りの人がきっかけで中断されるような場合は、対処に時間がかかるかもしれないが、「この時間は話しかけないでほしい」という感じでお願いをすることで、少しずつ理解をしてもらうようにする。

最初はうまくいかないこともあるかもしれないが、実際に試してみると、設定を変えたり、周りの協力でコントロールしやすいものではある。

内的中断にうまく対処する: 頭の外に出す

実際に中断をコントロールしてみようとし始めてみるとわかるが、より対処が難しいのは内的中断の方だ。

これは、急に何か用事を思い出して、それが気になり出したり、実際にその用事に着手してしまったり、忘れていた調べ物を思い出して検索をし出したり、取り組んでいる仕事の〆切が迫っていることに気がついて焦ったり、忘れかけていたイヤなことを思い出して怒ったり、落ち込んでしまうようなことが含まれる。

このような内的中断のきっかけは、外的中断のきっかけと違って、機能的にオフにしたり、中断のきっかけをつくらないようにお願いすることができない。誰もが経験があることだが、「あっ」って感じでつい思い出してしまうものなのだ。

こういうものへの対処でオススメなのは、さっきのポモドーロ・テクニックの本にも書いてあることだけど、自分の頭の外に出してしまうことだ。

自分はそのために、どういう場所で仕事をするにも、ペンと情報カードを手元に置いておく。

そして、仕事に取り組んでいて、内的中断につながるようなことが浮かんできたら、すべてを情報カードに書き出している。書き出す基準は、いま取り組んでいる仕事に関係ないものすべて、だ。

書き出したら、その対処をどうするかは休憩中に考えることにして、再び、目の前の仕事に取りかかる。

書き出す先は、もちろん情報カードでなくても良い。手帳でもノートでも裏紙でも、手近に置いておくことができる紙ならなんでも良い。

紙ではなくてパソコンのメモ帳や、スマホのメモアプリでも良いではないかという意見もあるかもしれない。実際に自分も試してみたことがあるが、自分にとっては、あまりうまくいかなかった。

手で紙に書くというのが「頭の外に出している」感じとつながる気がしている。ただ、これは個人差もあるだろうから、自分に合うものであれば手段はなんでも良い。

面白いことに内的中断はだんだん減ってくる

この内的中断の対処をはじめてみると、最初のうちは、いかに自分がいろいろなことに気を取られているのかがよくわかるし、そりゃあ、集中できないはずだと思えてくる。

そして、このやり方を続けていると面白いことに気がつく。それは、仕事をしているときに内的中断のきっかけが出てくることが減ってくるのだ。

それがどういう仕組みにもとづくものなのかよくはわからない。ただ、自分が集中できない原因の可視化を続けることで、それを減らしていこうという気になっていくのかもしれない。

仕組みはどうであれ、内的中断が少なくなった状態で仕事をしていると、とても気分が良いことに気づくだろう。

気になることもなく、焦りなどの仕事を進めるのに不要な感情(ネガティブなものはもちろん、必要以上にポジティブな感じも含めて)もなく、目の前の仕事に打ち込むことができる。

最近流行りの言い方でいえばマインドフルな状態とでも言うのだろうか。一度、この状態を体感できると、どんな環境であれ、自分のペースで仕事をやりやすくなる。

この感覚、なかなか良いですよ。

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Photo by VanveenJF on Unsplash

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