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「未来のことを考える」を仕事にしている理由

昨日Twitterでこういうことをつぶやいた。

ここに書いたような問題意識に取り組むために、いまはシナリオプランニングを使って「未来のことを考える」ことをしている。

会社としては、どうしてもシナリオプランニングというツールを前面に出しているので、周りからするとツール推しみたいなイメージが強くなってるかもしれないけど、大事なのは、組織などで「未来のことを考える」ことの方だ。

なぜ、未来のことを考えることが必要なのか?

Twitterに書いたような問題意識に取り組むために、なぜ「未来のことを考える」ことが必要なのか?

それは「未来は誰にとっても未知のものとして共有できるから」だ。

もちろん、年齢や置かれている境遇によって、未来に対する意味合いが違ってくる。しかし、たとえ今の立場が違ったとしても、10年という先の時間は、誰にとっても未知のものだ。だから、社内の立場や序列、あるいは年齢の違いなんかを超えて、誰にとっても「わからない」という点で共通している。

例えば、社内のさまざまな事業部、例えば営業と開発の部門がそれぞれ利害関係が対立して、お互いに対してお互いに不満を表明している状況を想像してみよう。

よくある話しだが、営業は営業で「良いものをつくれ(俺たちが売れるような」と思っていて、開発は開発で「売ってこい(俺たちがつくった良いものを)」と思っているというような状況だ。

そして、実は営業の中でも、これと同じような構図ができていたりする。つまり、売れないことについて、上司は部下のせいにし、部下は上司のせいにしという状況だ。

このように組織の至るところで、同じような問題が、同じような形で起きている(相似形をなしている)ことが多い。

そういう時こそ、「未来のことを考える」タイミングだ。

今の状況を前提とすると、営業と開発、上司と部下といった立場の違いによる食い違いが出てくる。

しかし、「未来のことを考える」、特に自分たちではコントロールが難しい外部の環境変化を元にして考えると、営業や開発、上司や部下といった立場のことを言ってられないような世界を目の当たりにすることになる。

イメージを頭に思い浮かべてみよう。

「未来のことを考える前」は、お互いが向き合って、お互いに相手のことを話す(文句を言うような)感じだった。

それが「未来のことを考える」ことで、お互いが一緒に未来の方を向いて、お互いに「じゃあ、どうする?」と話し出すような感じになる。

この向き合い方の違いを生み出すきっかけとなるのが「未来のことを考える」ことなのだ。

(こういうところでサッとイメージを描ける才能があれば…)

未来のことを考えて、自分から変わる

では、未来のことを考えれば、それですべて丸く収まるのかというと、話しはそう簡単ではない。

「未来のことを考える」ことを経て、行動にうつさなければならない。

しかし、ここで「自分たちが世界を変える!」とか「こういう世界になるために、この人たちに変わっていってもらいたい!」と考えることは、よくあることではあるけど、まずやるべきことは、そこではない。

もちろん、そういうことを最終的なゴールとして位置づけておくのは良いかもしれないけど、まず変えなければならないのは、自分自身だ。

考えてみてほしい。

「世界を変える」「○○という分野/業界を変える」と言っておきながら、自分自身はそのままで居ようとするのは、あまりにも傲慢ではないか。

今になって「世界を変えた」と言われている著名人たちだって、最初から世界を変えようと思って行動していたわけではないはずだ。

自分がやりたいことをやるために、一歩ずつ自分自身を変え、自分が動いていったはずだ。

組織も、個人も「見たくないものを見る」

シナリオプランニングで未来を描くとき、どんな未来を描けばいいのか?と質問されるときによく伝えるのは「見たくないものを見る」ということ。

組織にとって、そして個人にとって、あまり見たくない、どちらかといえば不都合な未来を直視し、それに向き合い、それをどうにかするために、小さな一歩でも良いから行動をしていく。

組織で「未来のことを考える」ことをしたからといって、「じゃあ、こんな未来をつくるぞ。オー!」というような終わり方をする必要はない。

未来を描き、組織にとっての「見たくないもの見る」ことを経て、最後は、個人として「見たくないものを見る」ことをとおして、明日からの一歩をそれぞれが内省するのが良い。

かりそめの一体感にごまかされず、むしろ個人の中に残るモヤッとした感じを抱えながら、心許ない一歩を踏み出す。

そういうことをとおして他人ではなく、自分から変わるという個人が増えていけば、そのひとりひとりが触媒となって、結果として、本当に世界が変わっていくだろう。

自分自身がそういう触媒となるために、日々、自分にできる自分の歩みを進めながら、願わくは、そういう触媒となるような人が増えていくように、今日も「未来のことを考える」を伝えている。

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Photo by Quaid Lagan on Unsplash

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