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長久手おいしい取材記~I.C.SUZUKI編~

長久手市役所から、西へ500メートルほど行った通り沿い。ここに、ひっそりと佇む喫茶店がある。

「I.C.SUZUKI」。

ちょっと変わった名前のこのお店。見た目は派手じゃないけれど、だからといって気付かず通りすぎてしまっては、あまりにも勿体ない。
その独特の雰囲気、料理の美味しさに、一度行ったらきっと、ハマってしまうから。

そんな「I.C. SUZUKI」の魅力を、取材中に感じた「驚きポイント」と共にご紹介します。

──ところで、「I.C.」って何だろね?

入る前に、まず気になるのは、正面のガラスにいるこいつ。

どこかの先住民族?のような、何かの妖精?のような…。謎だ…。

そいつを横目に見ながら、入店。ここでまず、

驚きポイント①


…なんだこの不思議な雰囲気は。
至るところに飾られた、置物の数々。様ざまな文様の壺。古めかしいランプ。アフリカか南米か、ちょっと怖いお面。船の模型に、猟銃なんてのも。どれも一風変わった、骨董品といった風情のものばかり。


一見脈絡のないこれらの品物たちだけど、みんな似たような「古い」空気を纏っている。その古色を帯びた感じが、年期の入ったソファや白熱灯のランプ、といった、「昔ながらの喫茶店」的インテリアと、不思議に一体感をなしている。床から天井まで、年月の染み込んだような、超絶レトロなこの雰囲気。

あぁ、心安らぐ──。

2階にも客席があります。2階もまた、1階とはちょっと違った、異彩を放つ空間。部屋の中央に何故かバイク。グループでゆっくり話したい人や、勉強したい人向けのスペースです。

今回は1階で。席に座って、すぐ目に入るのが、ガラス天板のテーブルの中に入っているメニュー表。それを見て、

驚きポイント②



メニューの数 多っ。
尋常じゃないメニューの豊富さ。そして、どれも美味しそう!

どうしよう、これは選べない・・・困った・・・。

ところでこのメニュー、ちらほら気になる部分が。

例えばここ。

…「どんとん」? うどんじゃなくて?どんとん、って何?

それからここ。

「バラバラヤ」…?なんだこれは…?写真もないし、想像しようにも手掛かりゼロなんですけど…?

メニューを眺めているだけで、面白すぎる。

「バラバラヤ」凄まじく気になったけど、ちょっと怖くて頼めなかったので(笑)、今回頼んだのはこちら。

スズキ:カレーどんとん、白菜の漬物付き 800円。
飲み物は、夏限定の「シャリシャリドリンク」からカルピスをチョイス。530円。

ウチヤマ:オムレツピラフ、わかめとしいたけのスープ付き 720円、アイスオーレ 430円。

「カレーどんとん」は、要するにカレーうどんです。真ん中のスライスゆで玉子が、なんかイイ。
コシが強くて、つるつるした、しっかり作られたうどん。カレーには、よく煮込まれてトロトロの野菜と、ホロホロの牛肉がたっぷり。体がホカホカになるよ~。
うどん専門店で出てきそうなクオリティ。おいしい~!このカレーうどん。いや、どんとん。

「オムレツピラフ」、ピラフと言いながら中身はケチャップライスの、要するにオムライスです。添えられた福神漬けが、なんかオツ。
ケチャップのかけ方!美しいラグビーボールのような形!マンガみたい!かわいい!(大興奮)
ツヤッツヤでプリプリの薄焼き玉子を破れば、昔懐かしいケチャップライスが御目見え。これが絶品。ケチャップが惜しみなく使われていて、濃厚。こんなに美味しいケチャップライス、初めて食べたかも。

そして、食べながら思う、

驚きポイント③
料理のボリューム、凄い。

二人とも、別に大盛りを頼んだ訳ではなく、通常サイズなのだけど、それでもかなりの量。

スズキ「永遠に無くならないかと思った。」
ウチヤマ「お米の量、普段私が食べてる、3食分はあった。」

とっても美味しいから完食しちゃったけど、もうお腹がはち切れそうです・・・。
大盛りとか頼んだら、どうなっちゃうんだろう?

この美味しくて面白い喫茶店、いつからやっているかというと、

驚きポイント④なんと41年前!

以前伺ったマリイルウさんが、営業40年と聞いたときも驚いたけど、上には上がいるものだ。

と言っても41年間、ずっとここで営業しているのではなく、愛知県内を転々としていたそう。そしてちょうど長久手が開発され始めたころ、「これからはここが発展する!」と狙いを定めて、移ってきた。今では「日本一若い街」なんて言われるほど、確かに発展してきた長久手。なんたる先見の明。

現在の店長さんは、元々の店長さんの奥さん。前店長だったご主人は7年半前に亡くなり、奥さんがその後を引き継いで、営業を続けている。ご主人が作り上げた「I.C. SUZUKI」の特長を、出来る限りキープしながら。

店内のあの骨董品たちは、ご主人の趣味。色んなものを収集して飾るのが好きだったそう。

メニューが多いのも、ご主人が沢山作ったからで、

奥さん「ちょっと削ろうとしたんだけど、どれを削ればいいやら分からなくて。」

分かります。選べませんよね、こんなの。全部魅力的だもの。

そうそう、店長さんのお話から、いくつか謎が解明されました。以下に解説。

まず、店名の「I.C.」は、「イトウコーヒー」の略でした。イトウ珈琲商会は、名古屋のコーヒー卸販売業者。以前は、系列の喫茶店がたくさんあって(今ではほとんど無くなってしまった)、「I.C. SUZUKI」もその中の一つだったというわけ。

次に、「どんとん」。これは、う「どん」を「豚」汁で煮込んだもの、という意味。「カレーどんとん」は、豚汁じゃなくてカレーだし、牛肉ですが、そこはまぁ、深く考えない。

そして「バラバラヤ」。こちらはなんと、ドライカレーにカレールーをかけた、カレーだらけ!のオリジナルメニュー。「結構ハマる人もいる」とのこと。スパイシーなのが得意な方は是非。

最後に、入り口のガラスにいた、あいつ。
正体は、店長さんのお子さんが小さい頃に書いた版画。
「貼り付けてみたら、意外と雰囲気が出た。」のだそう。

こんな風に、メニューやそのネーミング、店内装飾など、至るところにお茶目な遊び心が顔を覗かせています。そんな「遊び心」も、かつてご主人が大事にしていた、そして今も奥さんが大事にしている、I.C. SUZUKIの魅力のひとつです。

遊び心と、喫茶店らしいレトロ感と、何よりも美味しいご飯と。私たちは一発で、ここが大好きになってしまった。常連になって、メニューを片っ端から制覇したい欲求に駆られている。絶対にまた来なくっちゃ!

次は何を食べようか・・・。
また迷ってしまう・・・。

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