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本棚ーなんども読むnoteー

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読みながら涙が出たnote、ニヤニヤが止まらなかったnote、誰かにおすすめしたいnote。本棚に並べておきたいnoteたち。
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#新社会人

拝啓「立ち上がれ、自分」

道を歩いていると、1人の少年に出会った。 その少年は自転車の前でしゃがんでいて、 近くにいるお父さんらしき人がなだめていた。 おそらく一度、こけてしまったのだろう。 その少年は、泣きながらも、がっちり自転車のハンドルを離していなかった。まだ乗りたいのだ、という気持ちがありありと態度にでていた。 僕はその姿を見て、素直に「がんばれ」と思った。 強くあれ、とか もう一回行ってみよう!とか そんな気持ちではなくて、 素直に「立ち上がれ〜、がんばれ〜。」という気持ちでいっ

企画がやりたくて入社したけど、配属は総務だった

 地方の支社に赴任して1ヶ月が経った頃、上司から会議室に呼ばれた。  「総務を中心にやってもらうからね」  担当業務を告げられた僕は、「はい、楽しみです!」と笑顔で平静を装って返事をしたけど、落胆で身体の力が抜けていくのを感じていた。  ”プランナー”や”ディレクター”みたいなカッコ良い肩書きの響きに憧れて、「企画」や「イベント」という仕事の華やかな部分に気を取られて就職活動をした。できる奴だとは周囲からあまり思われていなかったので、「驚かせてやりたい」「手の平を返させ

【小説】次の春もあなたとともに

 「ごめんね、すーちゃん」  幼い頃、お母さんにそう言われたことだけは覚えている。その後も何か言っていた気がするけど、その時の私には難しかったのだろう。何についてかは記憶にないし、とにかく大泣きしていたことだけが頭の隅っこに置いてあった。桜の花びらが舞う記憶と一緒に。 ※  この春、私は社会人になった。地元の大学を出て、就職を機に東京で一人暮らしをすることになった。地元の会社なのに、東京での仕事の方が忙しいらしい。本社での研修もあるので、定期的に実家には帰れる。何回も伝