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短夜怪談

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ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。
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記事一覧

【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

近所に、水が綺麗な小川がある。 散歩でそこに掛かる橋を通った時、川の中に鮮やかな青い鯉の…

宵待昴
2週間前
15

【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

会社近くの公園には、木製のベンチがいくつかある。昼時などは、多くの人々が利用するのを見掛…

宵待昴
1か月前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「コピー」

中学生の頃、親戚のおじさんが突然亡くなった。 家族が無く、私たち家族が事務手続きなどに奔…

宵待昴
1か月前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「歩道橋の下に」

駅へ向かう為、歩道橋を歩いていると、柵の向こうを何かが並行してゆっくりこちらへ向かって来…

宵待昴
1か月前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「教室の花」

ある朝。 Dさんが一番乗りで教室に登校すると、教卓を含めたクラス全員の机に白い花が飾られて…

宵待昴
3か月前
11

【短編ホラー小説】短夜怪談「犬の散歩」

夜の帰り道。 ぴかぴかに点滅する首輪をした犬の散歩に遭遇した。犬はとても楽しそうだ。何気…

宵待昴
3か月前
6

【短編ホラー小説】短夜怪談「ドリンク」

社内に、無料で紙コップドリンクが出る自販機がある。休憩中、ココアのボタンを押し、さて出来たと取り出してみれば、中身が真っ赤な血。パニックになって流しに捨てたら、色も様子も普通なココアが流れて行く。見間違いかと思って、もう一度出し直してみても、やっぱり真っ赤な血。何回か繰り返して、ココアは諦めた。席に戻ると、周りも同じようなことになっていて、業者を呼ぶ手配がされている。少し安心した。 その夜、社員が社屋から飛び降りて自殺した。別部署の知らない人だけど、突然だったらしい。それ以降

【短編ホラー小説】短夜怪談「空調の蓋」

昔、中途で入った会社に勤めていた頃の話。 ある時、一人で残業することになった。この会社は…

宵待昴
3か月前
10

【短編ホラー小説】短夜怪談「靴紐」

「おかしいなあ〜」 運動場で、同級生のAがしきりに首を傾げながら、屈んで靴紐を直している。…

宵待昴
3か月前
11

【短編ホラー小説】短夜怪談「雪の日の足跡」

ある年、大雪が降った。 足首ほどまでの積雪となり、交通機関が遅れに遅れた。職場から自宅の…

宵待昴
3か月前
10

【短編ホラー小説】短夜怪談「廃墟の警備員」

あるスーパー跡地に肝試しに行った。 何の云われも無いただの廃墟だから、実のところ肝試しも…

宵待昴
3か月前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「『天』の部屋」

同じクラスの同級生の家に遊びに行った時。 「トイレ行く途中に、襖に『天』て書いた和紙が貼…

宵待昴
5か月前
4

【短編ホラー小説】短夜怪談「交換日記」

友達と二人で、交換日記を始めた。 内容は一日にあった出来事とか、誰にも言えない内緒話とか…

宵待昴
5か月前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「当たり屋」

ある駅の人混みの中で、スーツ姿の中年の男がトートバッグを持つ若い女性にわざとぶつかるのを見た。当たり屋の実物を見たのは初めてだ。だけど、彼女のトートバッグから、真っ黒な長い髪を振り乱す女が飛び出して、ニヤニヤ笑っている男に飛びついた。凄い形相で、全然関係ないこちらがゾッとする。途端に男は怯えて暴れ狂った。若い女性は含み笑いでその様子を見ながら、男から距離を取る。 「ありがとうございます、当たってくれて」 何故か、離れた距離にいるはずの彼女がそう言ったのが、はっきり聞こえた。中