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【短編ホラー小説】短夜怪談「教室の花」

ある朝。
Dさんが一番乗りで教室に登校すると、教卓を含めたクラス全員の机に白い花が飾られていた。大量の生花の匂いが、Dさんを襲う。
「うわあ!」
その光景に驚いて、ドアを閉めた。見上げれば、学年もクラスも自分のものと違う。階を間違えたらしい。ドアを開けることなく、自分のクラスへ逃げ帰った。
「その日、間違えてドアを開けたクラスは遠足で、朝からバスに乗って遠出してたんです。でも帰りに、事故で全滅しちゃったんですよ。先生も」
事故後に教師たちに確認してみても、そのクラスに朝から花など飾って無かったと言われ、それどころかこんな時にふざけるな、と怒られたそうだ。
「白昼夢だったと思ってますけどね。あれから十年以上も経ちますけど、花屋さんは未だに行けないです。あの時の匂いを思い出すから。夢か幻だったとして、匂いまで残ることあるんですかね……」
今でも思い出せるが、静かな教室に凜と並べられた花の光景がとてつもなく怖く感じたと言い、Dさんは少し俯いた。

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