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人間を知る

件の赤子に会った。数ヶ月ぶりだった。見ない間に足腰が発達しており、掴まり立ちが出来るようになっていた。赤子の母親も、もうすぐ歩けるようになるよと言っていた。
人見知りをするようになり、おもちゃの使い方がテクニカルになっていて、ミルクを飲む以外に固形物も口にするようになった。どれもがわたしを驚かせる成長だったが、何より驚いたのが、大人の真似をするようになったことだ。
赤子が気に入った動作を目の前で何度か見せると、自分なりに同じことをして示す。目の前の大人が動かした部位とその動かし方を、自分の身体に当てはめることが出来るようになったということだ。上に貼った記事を書いた当時は、まだ自分の足の存在を知覚したばかりだったというのに。

正直、前回会ったときまでは、まだ赤子を人間として上手く認識できなかった。人間でありながら、自分で出来ないことや意思疎通が難しいことが多く、わたしの中の"人間の定義"と齟齬が生まれていたからだ。それがだんだん無くなってきている。

今に歩き出す。
言葉を発するようになる。
ゆくゆくは社会性を身につけていく。
そして、いずれ親の手を離れる。

人間が子育てをする期間は、他の生物に比べてかなり長いらしい。しかし、歳のせいだろうか、赤子の成長がかなり早く思える。
次に会うときは、どれだけわたしの"定義"に近づいているだろうか。
子育てをしたことのないわたしの"定義"は、塗り替わるだろうか。

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