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成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも1度に1つのことしかしない

ドラッカーの有名な言葉ですね。

P.F.ドラッカーは、集中の重要性を繰り返し指摘しています。

バブル崩壊後、日本企業で当たり前のように使われる「選択と集中」という言葉。これは一過性のものではなく、事業戦略の一環として現在も継続して重要な要素だと認識しています。一方で、「本当に正しいのか?」という声もありますね。リスクが大きいからと。

でも、私は使っていいと思っています。

これも、ただのフレームワークなのですから、状況に応じて適切に用いれば、いつの時代のどんな企業でも有用になるでしょう。これをフレームワーク通りに思考停止してただただ導入しようとするから失敗するんです。

必ず「事業」に用いらなければならないか?
いいえ、そんなことはありません。

必ず「資源」に用いらなければならないか?
いいえ、誰がそんなことを決めたのでしょう。

これはただのフレームワーク。原理原則に則りながらも、自由にアレンジすればいいんです。


やるべき仕事に比べ、行うべき時間はいつも不足しています。

時間は生まれた時に死ぬまでの期間(寿命)を与えられたら、あとはひたすら消費され続けるだけ、減算方式です。そのため、収支は常に赤字です。だからと言って無駄に焦って一度にあれもこれもとやろうとしても、成果はあがりません。

1つの時間には1つの仕事をすることが重要です。

他の問題はいったん隔離して、時間資源を1点に集中する。
1つが終わってから、次に移ることが大切なのです。

 「そのように時間を整理するためには、
  まず心を整理することが必要だ」

と、ある外資系経営者が言っていました。問題が起きたり、変化が急激すぎたりすると「アレもやらなければ、コレもやらなければ」と焦りが生じます。不安にとらわれ、優先順位づけに迷い、全部が半端に終わってしまうことも懸念されます。そんな時には、まず心を落ち着かせ、問題を整理しましょう。

 ・感情的な問題とそうでないもの
 ・自分でできることとできないこと
 ・解決が長引くものとそうでないもの
 ・解決するために別途条件が必要なものとそうでないもの

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こうすると焦りが消え、「今この瞬間にできることは1つだけだ。それに全力を投入する」と集中できるようになります。気が楽になり、「まず何をすべきか」と言う優先順位づけに迷わなくなります。いい解決策も自然に浮かんでくることだってあるでしょう。

情報の整理に少しの時間を使うことが、時間の大きな節約につながるのです

最も有効なのは、朝の通勤時間や退社時の帰宅時間を利用することです。この間に、その日、その週、その月で仕事の優先付けをしてみてください。それを毎日、状況の変化に併せながら少しずつ微調整をしていれば、先を見据えて心の落ち着いた仕事管理ができるようになるでしょう。

ただし、これをプロジェクトマネジメントに応用する場合、1点だけ観点を追加しておく必要があります。

それは「クリティカルパス」の存在です。

長い工程の中で多くの関係者がいる、多くの成果物がある、多くの決定事項と、多くの合意形成が必要となる…そんな中で、自身1人あるいは自チームだけのことを考えて優先順位を付けてもプロジェクトは決してうまく回りません。そのため自チームだけでなく、顧客も含めた関係者(=ステークホルダー)すべてのクリティカルパスを常に意識しなくてはならないのです。

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上記の場合、⑥で仕事が合流するまでに3つのルートがありますね。②を通るルート、③に直接進むルート、そして④⑤を経由するルートです。この時、②を通るルートは⑥にたどり着くまでに計10日かかります。③に直接進むルートでは計4日、そして、④⑤を経由するルートでは15日かかります。つまり、⑥の作業開始は15日経たないと絶対に開始できないということになります。

この時、もしも④⑤を経由するルートが進捗遅延を起こしてしまった場合、いかに②や③のルートが順調だったとしても、プロジェクト全体は確実に遅延することになります。このようにクリティカルパスに影響を与えると、全体の仕事にも確実に影響が出ます。だからこそ、注意が必要なのです。

 「クリティカルパスに影響のあるものと、そうでないもの」

これを整理するためには必ず、そのプロセスを実行するために必要なインプットと、そのプロセスの結果できあがるアウトプットを洗い出しておく必要があります。

すべき作業に必要なインプットが揃うまでのクリティカルパスと、実施した作業の成果物が次にどの作業のインプットとなるのか、こうした連綿と続く各作業の繋がりを把握することは非常にプロジェクト運営を安定させ、また様々なステークホルダーを安心させることにつながります。

選択と集中を誤った使い方にしないためには、何を選択し、何に集中すべきなのかきちんと見定める必要があるのです。

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