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でっかい本屋さんに行こう!!

まえがき

 本が好きな方が読むのでは、というよりnoteを見る人は文字数が多い方が喜ぶのではないかとこの記事は5000字程度で書きましたが、予想よりリアクションが無いので寂しいです。内容的には、本屋さんの魅力を主にあまり本屋には行かない人に向けて書いたものだったので、その内容で5000字は確かに駄目だなと後から思いました。最高でも1500字程度にまとめるべきでした。
 単純に内容が面白くない、正しくないというのはあるでしょう。その点は反省いたします。私自身、物凄い読書家ではないので本当に本が好きな方にとって不快な記述もあったかもしれません。大変失礼いたしました。
それでは本編へ。

でっかい本屋さんに行きましょう!

 大型書店は読書人のメッカとも言えるので、本が好きな方なら2週間に一度、いや定期券内や家の近所にある方は毎日のように通っているかもしれません。かくいう私も高校生のころ毎日通う時期がありました。
 
 本はあまり読まないという方にとっても、大型書店はとても楽しい場所です。大型の書店は、とにかく蔵書が多いので有名な本ならきっと必ず置いていますし、「なんだこれは!」みたいな本もあります。冒険感のある場所で、読書しない人にとっても満足に時間を潰すことができると思います。
それに、夏は涼しく冬は暖かいです。これからどんどん暑くなってきますので、空き時間に少し涼もうかというぐらいの気持ちで本屋さんで本を物色しませんか。そこで必ず惹かれる本と出逢うことができるでしょう。帯の文言や、背表紙のイラスト、書店員さんの推薦コメントなどなど…微かにでも「これは…」と手に取ってみたくなる本と出逢えるはずです。そんな運命の出会いをしたなら、迷わずすぐに家に連れて帰ってあげましょう。
 
 別に読まなくたって良いんですよ。積読書にしても大丈夫です。私個人の意見としては、きっかけが何よりも尊いと思っていますので最後まで読んだかとか内容を理解したかとかは、些末なことです。自分が何に惹かれたのか、なぜ魅力に感じたか、どんな気持ちやメンタルだったか、という部分の方が私は重要に思います。

 本はちょっとしか読まないし特に本屋さんが好きという訳でもないという方が多くいらっしゃると思います。先ほど大型書店は冒険感がある場所だと言いましたが、そんな方には普段読まない本棚や行ったこともない本屋さんの奥、階に行ってみることをお勧めします。これこそが冒険です。
 ここから本屋さんのおおまかな配置についてお話していきますね。

 大抵の本屋さんは入ってすぐの場所に人気本や注目書籍、その店舗のランキングが並んでいます。
 このあたりでは、今世間で注目されている本や本屋大賞、その他賞レースで名前が挙がった作品、人気作家の新作が並びます。映画化が決まった書籍や過去の人気作の文庫化もここに並ぶため、とりあえずここから一冊選ぶというのは英断でしょう。ビジネス書なども並ぶため、世間や社会の流れを把握することも可能です。ここ一年ほどはロシアやカルト宗教に関する話題が多かったと思います。高度な学術書こそ並びませんが、ここには小説だけでなく本当に色んな本が並ぶため、眺めているだけで本のイメージを変えることが出来ますし、自分の関心領域を大幅に広げることが可能です。見に来るというだけでも有意義だと断言できるスペースです。


 それを少し越えた場所に雑誌コーナーがあります。
 
雑誌コーナーの小技ですが、店舗にもよりますが売れ残った二か月前のファッション誌等がたまに半額以下で売られていることがあります。

 さらに進むと小説や詩集、エッセイのコーナーがかなり広く設置されていると思います。
 
小説は読むけれど、という人にはエッセイや詩集を眺めてみることをお勧めしたいですね。小説を読んでいる中で感情移入したり、叙情的な言葉に胸を打たれ、心象風景を描いたりする人には是非と言いたいところです。詩は各個人の思いやセンスの表れですので肌に合う合わないは勿論ありますが、見ている景色が同じだったり物事に対する解像度が近い人の言葉に出会えると、それはきっとあなたの心を温める存在になると思います。エッセイも同様です。女性エッセイは力強さや心の美しさをテーマにしたものが多い印象で、男性女性問わず励まされるのではないでしょうか。

 さらに進むと自己啓発本や過去の偉人の書籍が並んでいます。
 教科書にも載っているようなタイトルが多く並んでおり、ニーチェやサルトルなども高確率でこの棚にいます。このエリアにおいて、手前にある自己啓発本はどこかの誰かが言った格言集といった感じで、話題性ばかりの本というのが印象的ですが、すこし進むと比較的アカデミックな記述の自己啓発本もあります。哲学書の側面が強いというのでしょうか。これと並行して、料理本やお片付け指南、将棋や競馬など生活関連の本も近くに並んでいるイメージです。この近くに高校生向け参考書や赤本も置いてあるお店も多いかと思います。東京都心のビル丸ごと本屋さんのような超大型書店の場合は各ジャンルごとに階が分かれていたりしますが、上述したジャンルの書籍は順に店舗の出入り口からすぐの場所に多いです。本屋さんの店舗づくりは一様ではないので、このコーナーがどこそこにあるとは一概には言えないことを、ご了承くださいませ。

 これより進むと学術書や専門書のエリアになります。
 
大人の男性が沢山いる印象です。いやいや、興味ないし関係ないから行かないよという方が殆どですが、物見遊山で行くと「うちの大学の先生の本あるじゃん」など意外と面白い気づきがあります。このあたりは確かに高度で専門的な書籍が並んでおりますが、一方で「楽しく考える○○学」や「ゼロから始める○○」などの学問の裾野を広げる入門書もしっかり置いていますし、優れた研究者さんがユーモアセンスを爆発させたような楽しい文章で研究成果を披露してくれる本もあります。

 パソコン関連の本もあります。エクセルやパワーポイントの使い方、他にはデザインやプログラミングについての本など、パソコンを使ったお仕事をされている方向けの本が多く並んでいます。このあたりにはオシャレなフォントを紹介している本などもあり、ふと訪れてみると「そういえば気になっていた」のような生活をプラスアルファで豊かにするような技術の本と出逢えることもあります。

 奥でも手前でもない場所にあるのは芸術関連の本というイメージです。
 
これらの本の場所は本当に本屋さんによって異なるという印象があります。このエリアは、最近のデジタルイラストの画集から仏画、彫刻まで幅広い本があります。人気小説の背表紙イラストを担当した方の画集や、駅や電車の広告で見たことあるようなイラストの画集も見つけられるでしょう。有名な西洋画に関する本や近現代の画家に関する本が多く見られます。2000年以降のファインアートに関する本はまだ少ないように思います。仏像やお寺の写真集からその彫刻や建築までに迫ったものもあり、教養を大幅に補填できるような書籍が多いです。建築や彫刻と言っても当然海外の作品を載せた本もあります。塗り絵やデッサンに関する指南書もあり、描く骨格や筋肉などについて学ぶ美術解剖学など聞きなれない本もあります。刺繍や和柄、染物などそのアイデアや歴史についての本もあり作品制作に役立つ知識やセンスの補填、土台になる本も置いています。このような本は美術に関係のない人間にとっても非常に面白い話題だと思います。

 漫画や児童書は店舗のもう一つの出入り口の近くだったり、奥の場所だったりします。
 新宿の紀伊國屋書店では別館にありますね。漫画に関しては何をどう紹介すれば良いのかわかりませんが、こちらもアニメ化作品や人気作品は手前に設置される印象です。最近でいうと呪術廻戦などでしょうか。その他新刊も手前か、新刊設置専用の場所に置かれています。個人的な印象ですが大手出版社の順に本棚が並んでいる印象です。ジャンプ、マガジン、サンデー、ヤングジャンプ、のような感じでしょうか。500円前後の単行本サイズの本棚が手前にあり、少しサイズの大きい漫画本は手前には置かれていない気がします。BLや百合作品は更に奥にあります。私はその辺りの拒絶が無いので平気で眺めますが購入したことはまだありません。このジャンルにおいて一番のネックは500円程度の単行本サイズで買えないという事ですね。ライトノベルもこのエリアにあります。作品数の多さとその巻数に比べての設置エリアの狭さが心配になりますね。ゲームの攻略本や設定資料集もここの近くにある印象です。ゲームは大してやらないのですが、世界観設定やキャラクターには魅力を感じるので、そんな作品の原画や初期案、没案には興味があります。ゲームやアニメに限りませんが、モチーフがその作品にどのように落とし込まれたのかなどの創作の背景は一見の価値があります。ただ一冊3000円以上する高価な本なのでなかなか手が出ませんね。

 ぱっと説明できるのはこの程度でしょうか。勿論この他にも沢山の本のコーナーがあります。
 今回説明できたのは大まかな各エリアの紹介だけですので、本当に不足感があります。実際私は、紹介した2、3エリアで半日以上溶かしたことがあるので、実際に本屋さん行っていただければ私が紹介した文章量の数億倍は厚みのある体験が出来るのではないかと思います。

 紹介できなかったコーナーやジャンルについては、是非あなた自身で発見してください!と、自分の力不足を正当化しておきましょうか。小説コーナーといっても海外の作品のことや、英文そのままの作品の棚のことは書かなかったので…。

 どうでしたか?もう知っているという方が殆どだったかも知れませんが、もう知っていた人でも初めて知った人でも、どんな人でも一人でも「へえ、行ってみようかな」「久しぶりに行こうか」と思った方がいらっしゃれば嬉しいです。

 少し残酷な話をしますが、新刊書店で売れなかった本は出版社に返品されます。そこで他の書店や業者から注文があればそちらに送られるのですが、そうでなかった場合は断裁、つまりバラバラにされて廃棄されてしまいます。このような流れは別に本に限ったことではないでしょう。しかし本のこの現実を知ってしまったあなたは気になった本を無視し続けることができるでしょうか?自分が買って助け出したい、少しでも存命を、と思ったのではないですか?、、なんて言えば少々脅迫的ですが、とりあえず買ってあげるのも悪くないでしょう?

宇田智子さんの「本屋になりたい」という本の一節を紹介します。
「(断裁についての説明から)そんな悲しいことが起こらないように、買って古本のサイクルに入れてあげるのが本への愛情かもしれない。」
(古本のサイクルに入れば、売れなくても古本屋さん同士の売買や交流の中でどこかを巡りつづけます。)

 私はこれを読んで以降、本を楽しむ為に購入するのとは別に運命的に出会ったから連れて帰る、とりあえず今は私が所有する、という気持ちが購入する際に生まれるようになりました。

 経済的な側面からも、本を今買う意義はあります。電子書籍やストリーミングサービスの普及、読書人口の減少によって紙の本は窮地に立たされています。加えて最近は電気代などのエネルギー費の高騰もあり本屋さんの経営は大手であっても過去程芳しくないようです。ちょっとでもお助けしようと思われたなら、是非買っていただきたく思います。

 それに極端な話ですが紙の本はもう抹消されますとなった時に、思い出に残っている本がもう二度と手に入らないと思うと寂しいじゃないですか。デジタル化情報化が進んで久しいですが、未だに紙の分厚い本を並べて紙を手で一枚一枚捲るのは、自分を忘れないためにも良いかもしれません。内容消費的に読むのであれば電子書籍でも問題ありませんが、「本屋さんで出会ったこと」や「深夜に独りドキドキしながら捲った」「人生のバイブル」というような思い出や自身の感情の表出を映し出せるのは、物体として存在する紙の本だけではないですか?それこそ、紙の本が消えた世界なら…

 事実として今現在紙の本の出版はもうすでにかなり危険な状態です。最近はハードカバー製本も文庫本も変わらず値上げしていますし気軽に買えないのは間違いありません。私も最近は断念する本が増えてきました。

 だからこそ、一冊一冊と手元に集めていきたい。選別と言えば非常に悪意のある物言いだけど、自分が好きだと思った本、これは自分に必要だと思った本にはずっと傍にいて欲しいと思います。そんな本は第一刷で生まれた日からどんどん世界を歩いてほしいです。みんなにそう思える本があったらいいなと思います。自分の好きな本はきっと自分を守ってくれるし、貴方が好きな本もきっと貴方を守ってくれるでしょう。この存在を失くしてはいけないのです。

 最初は大型書店は楽しいから行こう!という文脈で書いていましたが、最終的には本を愛して自分も愛そうという結論になってしまいました…


とりあえず、最近暑くなってきましたね。本屋さんに涼みにいきませんか?ほら、いいコと出逢えるかも。



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