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直近の純利益率よりPLを分解してみる

8月30日付けの日本経済新聞に
上場企業の4~6月期の
純利益率ランキングが掲載されておりました。

ここに掲載されている
純利益率の高い会社の
高収益の理由を探ってみます。

#日経COMEMO #NIKKEI


純利益率上位10位の前期比

上記の新聞記事より
2023年4-6月期(第1四半期)の
純利益率ランキングの
上位10社について、
2023年3月期比での増減率
一覧にしてみました。

突出しているのは

2023年3月期の上場企業の
純利益率の平均が5.0%となっています。

そんな中、各社30%以上の数値である時点で、
日本の中でも超優良な利益率を叩き出している
会社であることがわかります。


そんな中、増加率で非常に目を見張るのが、
1位のオリンパスが99.5%増
9位の森永乳業が34.7%増
かと思います。

まずオリンパスですが、
事業の売却が要因となっています。

次に森永乳業ですが、
工場跡地の売却が要因となっています。

やはり、前年と比較すると
事業の売却や資産の売却等がなく、
本業のみでこのような大幅な増加は
難しいかと思います。


この2社のように、
大きな売却があった場合、
大きな増益になる事があります。

その場合、売却に至った「理由」
大きいかと思います。


今回の2社は、
収益性の高い分野を選択する為や
資産効率の改善や効率化など
前向きな売却であることが
読み取れます。


逆にあまり思わしくないのは、
本来は必要な固定資産や株式を
売却している場合です。

セール・アンド・リースバックなども
同様です。

その場合、当面のキャッシュを稼ぎ出すため
泣く泣く資産を手放している可能性も
否定できません。

資産売却に至った理由は、
キャッシュフロー計算書などを参考に
読み解いていきましょう。


新製品のリリース

では、本業から純粋に増加に
なっている会社はないか見てみましたが、
以下の会社は、本業が好調に推移していました。

2位:コーテクHD
5位:カプコン
6位:任天堂

それぞれ、新しいゲームの発売や
キャラクター映画の好調など
本業でのヒット商品が
利益を押し上げ、増益の要因となっています。

やはり、ゲーム業界のように
ひとつでもヒット商品が出ると
大幅な増益が期待できる反面、
ヒット商品を世に送り出せなければ
減益幅も大きくなる要素も持っており、
難しい事業と言えるでしょう。


安定的な利益率

増減率が1桁の会社が5社あり、
安定して高い収益率を維持している
ことが見て取れます。

このような、高収益企業は
同業他社と比較しても
突出して利益率が高い場合もあるので、
3位のオービックについて
同業他社と比較しながら
PLを分解してみようと思います。


PLを分解してみた結果・・・

さて、オービックのPLを
分解し、お金のブロックパズルに
当てはめてみました。

さて、まずオービックがどのような会社か
気になっている方もいるかと思いますが、
中小企業向けの財務会計ソフトなどを
販売するソフトウェア会社です。


次に同業他社は以下です。

驚異の粗利率

統計データ上では、
「受託開発ソフトウェア業」の
粗利益率(限界利益率)は64.7%
なっておりますので、
業界的に変動費が少なく
高い粗利益が出せる傾向にあります。

それを踏まえても、
両社とも高い利益率ですが、
オービックの94.5%は驚異的と言えるでしょう。


労働分配率の差が・・・

システム開発と聞くと、
エンジニアに高い給与を払って
システムを開発するイメージや
大きな案件だと外部に外注して
システムを完成させるイメージと思います。

先程の統計データでは、
労働分配率72.7%となっています。

両者を見ると、
20~30%台ですので、業界平均よりは
低く抑えられていることが見て取れます。


ここで両社の従業員一人当たりの
粗利益と人件費を見てみます。

◆オービック
 ・従業員一人当たりの粗利益:46百万円
 ・従業員一人当たりの人件費:10百万円

◆同業他社
 ・従業員一人当たりの粗利益:18百万円
 ・従業員一人当たりの人件費:6百万円

両社の比較では、オービックは
粗利益は約3倍に対し、
従業員数は1.2倍
となっています。

1.2倍の人数を要して、
3倍の粗利益を稼ぎ出しているので、
一人当たりの人件費も高い
という構図となっています。

では、なぜこのような事ができるのか
新聞記事等で確認してみます。


徹底的な内製化

この二つの新聞記事より
以下の事が読み解けます。



・中堅企業のシステム開発に特化(大型案件は受注しない)
・開発はすべて社内
・営業とSEを分けない

一定のシステム開発のみに注力
すべて社内で開発するため、
ノウハウが蓄積される。

それにより、開発工程や納期も短くなり、
より高収益へさらなる高みを目指せる
という事になっています。

このように、ノウハウが蓄積するので、
受注すればするほど、
どんどん利益率が上がっていく仕組みが
構築されていることがわかります。

なので、一人当たりに
10百万円給与を払っても、
粗利益から人件費は
1/5しか費やしていない
という事になっています。


まとめ

今回は、新聞記事より
高収益企業の理由を
PLと新聞記事より
考えてみました。

新聞記事などで気になる会社の、
「なぜ?」を
会社のホームページや新聞記事から
読み解くと、そのからくりがわかり
よりその会社が好きになるかもしれません。

このように決算書の数字を読み解く
ことは、自分自身が投資をする際も
非常に役に立ちます。

まずは、
「なぜ?」
と思うところから
はじめてみましょう。

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