私は１２時間もの陣痛の痛みにうめき叫び、
看護師に飽きられながら分娩室に引きずられ、何と云う壮絶な痛みに、頭の血管が切れてしまいそうになった後、
生まれて来た小さな小さな命でした。

私の中からもう一つ、手もあり足もあり動きさえする生き物が
生まれ出て来た奇跡。
私の腕の中で、温かみさえ感じる人間の形あるものとして存在していたのです。

これ程の不思議な体験は　一気に私を変える力があった様で、
その後、私の中に鉄骨の様なしたたかさが育っていってしまったのでした。

出産後は「待ったなし」の毎日に振り回され、自分の事などお構いなし。
彼を仕事に送り出し、小さな命の変化にいちいち目を見張り驚愕し、
生命の不思議さの様な奇跡に振り回されていく日々。

そんな矢先彼から「あっ！！」と驚く堪らん宣言が！！
何と「会社を辞める」と言うのです。

子供が生まれて数か月、勤め始めて１年程の出来事でした。