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特別企画~「アサヤンvol.33」副読本(?)編その2

 サエキけんぞうさん、グレート義太夫さんに総合プロデューサーの水道橋博士たちによるイベント「アサヤンvol.33」の配信がいよいよ今日までとなってしまったので、サエキさんがレコード・デビューしたバンド、ハルメンズやアルバムをリリースしたフライング・ドッグ・レーベルについてなど書きます。


 その前に昨日書いたイベントのテーマに沿った関連人物について紹介した記事です。

 じゃあ、それでは行ってみよー。

・PANTA「PANTA RHEI 万物流転 パンタ対談集」(れんが書房新社)

 1975年の大晦日に頭脳警察が解散した時、心機一転新しいレコード会社に行こうとしたPANTAさんが思い止まったのは、頭脳警察のディレクターから「今度フライング・ドッグっていうロック専門のレーベルでディレクター13人でね。大プロジェクトでやるんだ」と引き留められたからでした。
 が、結局は「始まってみたら削られ、削られてビクター側の公式のディレクターがいなかった」という状態で、結局は「平田国二郎さんが『ニューミュージックマガジン』(の編集部)から来て、新米のディレクター2人で発足した」となったのでした。 
その時、平田さんは鈴木慶一さんにも声をかけたのですが、『火の玉ボーイ』が発売されたばかり(1976年1月25日)だったので、ムーンライダーズが参加することはなかったのです。

 1976年4月5日にはフライング・ドッグ・レーベルからPANTAさんのファースト・ソロ・アルバム『PANTAX'S WORLD』が発売されました。
(大槻ケンヂさんがカヴァーした)「屋根の上の猫」や「マーラーズ・パーラー」などが収録され、Charさん、古田たかしさんに頭脳警察のメンバーだったTOSHIさんが参加した日本のロックの重要作です。

 1977年には新バンドPANTA&HALを結成し、その機会に平田さんがPANTAさんと鈴木慶一さんの出会いをセッティングしたというわけです。
頭脳警察とはちみつぱいのメンバーだったので、顔見知りではあった2人は意気投合して、PANTA&HALのプロデュースを慶一さんが担当することになりました(プロデューサーの候補の1人が坂本龍一さんだったとか)。

 つまり、フライング・ドッグにムーンライダーズは参加しなかったのですが、平田さんと慶一さんの交流は続いていて、PANTA&HALのプロデュースを慶一さんが担当したのでした。

 ちなみにフライング・ドッグからは元はちみつぱいの渡辺勝さん、妹尾“weeping harp”隆一郎さん、山岸潤史さんが作品を発表しています。

 PANTA&HALに続いて、慶一さんがフライング・ドッグのアーティストをプロデュースしたのが、ハルメンズだったというわけです。
ハルメンズのメンバーはヴォーカルのサエキけんぞうさん、ギターの比賀江隆男さん、ベースの石原智広さん、キーボードの上野耕路さん、ドラムスの泉水敏郎さんという顔ぶれでした。

 ハルメンズがデビューした時期にはサエキさんは徳島大学歯学部の学生でしたから、バンド活動をするには徳島から東京まで移動する必要があったり、腕利きのメンバーが新しいバンドやプロジェクトを始めたりで、難しい状態に突入してしまったわけです。

 不安定な状況にあったハルメンズのセカンド・アルバム『20世紀』のレコーディングに参加したのが、戸川純さんと野宮真貴さんだったんですねー。
戸川さんにサエキさんは「このレコードが廃盤になった時、君が有名になっていれば再発されるだろう」と語ったのですが、その言葉は現実になって『ハルメンズ・デラックス featuring 戸川純』という形で発売されたのは1984年の初夏のことでした。
(ちなみにハルメンズのレコードはかなり早い時期に廃盤になってしまって中古盤屋さんの壁に飾られるアイテムだったのです)

 野宮真貴さんはポータブル・ロックを経て、ピチカート・ファイヴに加入し、大ブレイクしたのでした。
先ほど触れた『ハルメンズ・デラックス featuring 戸川純』には野宮さんがリード・ヴォーカルの「お散歩」が収録されています。

 フライング・ドッグ・レーベルに話を戻しますと、PANTAさんの1982年のアルバム『唇にスパーク』で新譜をリリースするのを止めてしまいました。
ちなみにPANTAさんはビクターにそれ以前から存在するInvitationレーベルに移動しています。
ソロでは1989年発売の『PISS』、頭脳警察では『7』『歓喜の歌』『LIVE IN CAMP DRAKE』などをリリースしてPANTAさんの20年に渡るビクター時代は終了しました。

 1982年に一旦活動休止したフライング・ドッグ・レーベルは2010年前後にはアニメーション専用レーベルとなり、現在に至ります。

 こうしておもいっきり駈け足でフライング・ドッグ・レーベルについて書いてみると、日本のロック&ポップスシーンに多大な影響を与えていることがわかりますね。

 少年ホームランズ時代やハルメンズ『近代体操』についてはタイミングを見て、更に掘り下げたいと考えています。

 特別企画~「アサヤンvol.33」副読本(?)はとりあえず以上です。配信は今日までとのことなので、見たい方は急いでください。

 あと3日くらいは特別企画をやりたいと考えてますが、具体的なアイデアが浮かばないので、じっくりやります。

 ではまたー。

 

 

 


 

 


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