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アメリカラグビーを強化する!:「ティア1」となった日本が果たすべき責任

 昨日は、2024年以降の国際ラグビーの大改革について紹介しました。

 少し書き足す必要があるかも、と思ったので、少し補足します。

2024年以降の国際大会のスケジュール(抜粋)

 その前に、来年以降のラグビーの主なイベントを改めて書き出してみます。

2024年:パシフィックネーションズカップ開始(毎年開催?)
2025年:ブリティッシュアンドアイリッシュライオンズ南半球遠征
2026年:10チームからなる新国際大会の開始
2027年:オーストラリアでワールドカップの開催
2028年:第2回新国際大会
2029年:ブリティッシュアンドアイリッシュライオンズ南半球遠征
2030年:第3回新国際大会
2031年:アメリカでワールドカップ開催

 パシフィックネーションズカップが毎年開催されるとすると、果たしてこれが国際マッチウインドウに入りきるのか心配になるほど濃密なシーズンが続きますが、注目は2031年のアメリカでのワールドカップ開催です。

2031年の開催国はアメリカ:「アメリカ強化」という課題

 アメリカはこれまで、ワールドカップでは日本に2勝しているだけのはずです(見落としていたらすみません)。日本開催の2019年大会には出場できましたが(写真はそのときのアルゼンチン戦のものです)、今年の2023年大会では出場権を取れませんでした。

 2019年大会が証明しているように、大会が盛り上がるには開催国の躍進が不可欠。そうなると、2031年大会を盛り上げるためにはアメリカを大きく成長させなければいけないということです。
 また、2019年大会の前、日本は2015年大会で南アフリカを破るという快挙を成し遂げました。「史上最大の番狂わせ」とも言われるこの「ブライトンの奇跡」があったからこそ、2019年大会に向けてファンは期待を高く持つことができたし、盛り上がったということが言えます。

 そう考えると、2031年大会を盛り上げるためには、2031年を待つことなく、その前の2027年大会で、アメリカがどこか強豪国を倒すと言った形での躍進が必要ということが言えるわけです。それが実現すれば、地元開催に向けてアメリカでのラグビー人気を高めていくことができるでしょう。
 しかしそれはアメリカ単独では不可能です。世界のラグビー界がアメリカに協力していかなければならないのです。

パシフィックネーションズカップの真の役割とは?

 そこで大きな意味を持つのがパシフィックネーションズカップと言うことになります。


 昨日書いたように、パシフィックネーションズカップでは、日本・カナダ・アメリカがプールを組み、その結果に応じてフィジー・サモア・トンガからなるプールと決勝トーナメントを戦います。そこで真剣勝負の機会が最低でも3試合は保証されるわけです。
 日本の入る環太平洋プールで言えば、いまの力関係から言えば日本が1位になり、アメリカはカナダと争うことになるでしょう。
 南太平洋プールは順当に行けばフィジーが1位、サモアが2位、トンガが3位になるでしょうから、アメリカは2位になればサモアとの準決勝、そこで敗れても3位決定戦。3位になってもさらにトンガと戦えることになるわけです。
 カナダをほぼ互角とみると、互角な石自分たちよりやや力が上のチームと3試合ないし4試合戦えるわけですから、パシフィックネーションズカップがアメリカの強化に対して持つ意味の重さは明らかです。

 日本は、「ティア1」(ハイパフォーマンスユニオン)としての扱いを受けることになりましたが、そうなると自分の強化だけを考えているわけにはいきません。世界のラグビー界を発展させる責任を共有するということでもあるのです。その文脈で、日本としては、ここで2031年大会のホストであるアメリカの強化に協力する責任を分かち合っている、ということができるでしょう。

 今でこそ強くなった日本ですが、日本だけの力で強くなったわけではありません。日本も、2019年大会の前、サンウルブズという日本で編成されたチームが、南半球のスーパーラグビーへの参加を許され、そこで世界レベルのラグビーと日常的に触れることができました。これが2019年大会の躍進には不可欠だったのです。
 これは当時、世界のラグビー界が、日本の強化に協力していたからこそ実現したことでもあります。その恩返しを、いまは日本がする番になったということですね。

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