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この蒼空を忘れない:日本対アルゼンチンを終えて

 ナント決戦、日本対アルゼンチン。
 お互いに負けたら予選プール敗退、勝てたら準々決勝。つまり一足早くトーナメントが始まったと考えればいい。

 結果は27-39の12点差での敗戦。点差的には惜敗とは言えないが、勝てる可能性も十分以上にあった。

 キックオフ直後に不用意なタックルミスから与えたトライ。
 松田の試みたドロップゴールにチャージがきれいに決まり、失点につながったこと。
 後半早々、左サイドで余ったのにミスパスでトライを取り損なったこと。
 相手のロングキックがデッドボールラインを割り、敵陣深くでスクラムを得たのに生かせなかったこと。

 勝つシナリオはいくつも描けた。しかしその可能性を生かし切れなかった結果の敗戦だった。

 日本にとってだけでなく、全ての国にとってワールドカップは4年に一度の勝負。どこの国も本気で勝ちに来る。勝負である以上は、勝つことも負けることもある。
 今回については、全ての歯車が噛み合っていれば勝てたと思うが、そうはならなかったということ。

 戦略を立てる上では「願望」と「能力」のバランスが必要だが、決勝トーナメントに進出して勝つというのは十分に「能力」に見合った目標だといっていいだろう。
 課題は手の届くところにあるし、矢印を自分に向けて次の4年を頑張っていけばもうひとつ上に行けると思えた試合だった。

 ノーサイドの瞬間、悔しくもすがすがしくもあった。いままで感じたことのないかたちで、2つの感情が混ざり合っていた。負けた悔しさと、やりきったすがすがしさ。
 レフェリーとか、日程とか、そういうことじゃない。自分たちのいま出せる力を出し切った上で、しかも勝てる可能性が十分にあったところで、それでも負けたからだろう。



 戦いが終わり、ブレイブブロッサムズのタオマフを掲げながらふと見上げた空の美しさが目に刺さる。

 この青い空。絶対に忘れまいと誓った。4年後に借りを返しに来るまで。

 

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