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#133自衛隊の駐屯地の祭りについて

 最近、自家用車で外出している時に自衛隊の駐屯地の前を通ることがありました。京都市内の桂の駐屯地の前です。桂駐屯地の門前には「創立記念祭」の案内の横断幕が張られていました。創立記念祭は駐屯地が設置された日を祝うイベントとなっており、記念式典のほか、訓練展示として訓練の様子を披露したり、装備品展示として戦車やヘリコプター、トラックなどの展示や試乗が出来るようになっており、また野外での売店なども多数出店している祭りです。近隣の住民に自衛隊の活動を理解してもらうための普及啓発活動の一環として、開かれた祭りとして実施されているようです。

 各地の自衛隊の駐屯地で、それぞれの創立記念祭などのイベントを開催しています。防衛省の自衛隊イベント情報のサイトを見ると、各地の開催イベント情報を入手することが出来ます。

 以前に友人がどこかの駐屯地へ行って見学してきた際に、お土産として「撃」という饅頭を買ってきてくれたことがありました。著者が友人からいただいた饅頭以外にも、「自衛隊内でしか買えない」という売り文句で、煎餅、カレーなどを駐屯地内の売店で販売されているようです。

 自衛隊の駐屯地の記念祭について、普及啓発活動として一般の来場者を迎えて、広くその活動を知ってもらうという点で行っていることは、非常に意義のあることだと思います。
 ここまで紹介してきて、創立記念祭と類似する戦前の行事として「軍旗祭」と呼ばれる行事があります。軍旗祭は、戦前の日本の軍隊において、それぞれの連隊などの駐屯地で行われていた行事で、各連隊に軍旗が天皇から下賜された日を記念して行われていました。
 軍隊にとって軍旗は天皇から下賜された、いわば天皇の分身のように扱われていました。時期は少し前になりますが、明治一〇年(一八七七)の西南戦争の際に、乃木希典の率いる歩兵第一四連隊が交戦中に連隊旗を奪われるという事態が発生します。乃木希典は晩年に自刃する際に書き残した遺書において、軍旗を奪われたことに対する償いの意味がある旨を記されていました。このような逸話からも、軍旗を奪われる事の重大さが判るといえるでしょう。
 このように戦前で重要視される、軍旗を下賜された日を記念した軍旗祭でですが、現在の自衛隊駐屯地の創立記念祭が同じ日に設定されているところがあれば地続きであると言えますが、それぞれ同一に設定されているところがどれだけあるかまでは確認していませんが、連隊=部隊の設置された日を記念しているという意味では、地続き感のある問題だと思われます。
 近隣住民にとって、駐屯地ではどのようなことをしている場所かということを知ってもらうという意味では、自衛隊の普及啓発にとって重要な意味がありますが、その部隊が設置された日を祝っているという意味では戦前同様
の意味合いも見て取れます。しかし、現代的な問題として、週末でないと結局来場者に来てもらえないということもあり、実質的には部隊が設置された日に近い週末に移動されて実施されていることもありそうです。部隊が設置された日を重要視している戦前とは異なり、組織の普及啓発活動に重きを置いているという点では、戦前ほどに厳密に行っているわけではどうやらなさそうだといえます。

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