Nobuyasu Shigeoka

I work as a curator in Kyoto. I study the h…

Nobuyasu Shigeoka

I work as a curator in Kyoto. I study the history, and the specialty is the Japanese area history from early modern times to modern times.

マガジン

  • 食と歴史にまつわる、あれこれ

    史料調査の中での食にまつわる記述や、その出先での食についての体験、食とそれにまつわる文化の話を、書籍の紹介などと併せて行っています。

  • 身近な史跡、文化財の楽しみ方

    現地を踏査した際に出くわした文化財について、石碑や絵馬など身近に接することができるものについて記します。

  • 書籍にまつわる文化、あれこれ

    自分の読んだ本や史料調査で出くわした書籍、編集した本などなど、書籍にまつわるあれこれの小ネタを集めました。

  • 論文執筆、落穂ひろい

    日本近現代史、日本近世史などの論文執筆に係る裏話。論文に書くことが出来なかったような落穂ひろい的なお話をご紹介します。

最近の記事

  • 固定された記事

#139AIに古文書は読めるのか? 続報

 #043「AIに古文書は読めるのか?」において、古文書判読アプリ「みを」の使用感をレポートしましたが、今回は新たなソフトが頒布されたので、そのレポートを書いてみたいと思います。前回については下記のリンクからご参照ください。  今回使用した新たに頒布されたアプリは「古文書カメラ ふみのは」というものです。トッパンの開発、提供しているアプリになります。  前回「みを」で使用した史料の同じ写真で実際に判読を試みてみましょう。写真は四点になります。  判読結果が以下の写真にな

    • #163国立公文書館デジタルアーカイブを楽しむ(1)

       昨年度まで、自治体史執筆の仕事を引き受けておりましたが、無事刊行され、次いで別件の余業を昨年から引き受けています。基本的に近代地域社会史を中心に研究していますが、たまにちょっと守備範囲外の仕事の依頼もあります。ただ、守備範囲外とはいえ、興味関心があればお引き受けしており、それが仕事の幅になって言っているのではないかと思っています。  さて、今回はその余業で調べものをしていた時のお話です。  最近は調べものをするに際して、インターネットを活用することが非常に便利になっていま

      • #162いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」も使ってみた(2)

         前回の「#161いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」も使ってみた(1)」では動植物の判別ソフト「バイオーム」を使って、実際に植物の判別を試みてみました。  今回はさらにこのソフトの特徴がどのようになっているかを実際に触ってみた感触を記したいと思います。  次にちょっと意地の悪い使用の仕方をしみてましょう。次に挙げる写真は、ヤブツバキとヒサカキが混植されている(混在して植えられている)ところを撮影したものです。このような状況の写真を判別に掛けると、かなりの

        • #161いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」も使ってみた(1)

           これまでに「#043AIに古文書は読めるのか?」、「#046どうすれば古文書が読めるようになるのかー続・AIに古文書は読めるのか?」、「#048くずし字判読AIはどのように作られているのか?ー続々AIに古文書は読めるのか?」、「#139AIに古文書は読めるのか? 続報」、「#140”みを”対”ふみのは”ーAI頂上決戦?!ー」、と何度か古文書判読ソフトについて述べましたが、AIで判別するソフトということに関連して、今回は「Biome(バイオーム)」を使用してみた感想などを述べ

        • 固定された記事

        #139AIに古文書は読めるのか? 続報

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        • 食と歴史にまつわる、あれこれ
          25本
        • 身近な史跡、文化財の楽しみ方
          25本
        • 書籍にまつわる文化、あれこれ
          4本
        • 論文執筆、落穂ひろい
          11本

        記事

          #160Important study achievements_010”The Election of High Taxpayers to the House of Lords and Early Parliaments: Osaka Prefecture as an Example”

           先日、『史学雑誌 2022年の歴史学会 回顧と展望』を何気なしに見ていると、二〇二二年三月に刊行されました拙稿について紹介されていました。近年の『史学雑誌 2022年の歴史学会 回顧と展望』は、内容の良し悪しよりも網羅主義になっていると聞きます。研究史を考える上で、インターネットの普及に伴って、広く情報を集めることが可能となり、著名な学術雑誌だけでなく、地方の資料館の紀要などに掲載されているものも網羅的に拾う必要が出てきているため、広く情報を掲載する必要があるのでしょう。著

          #160Important study achievements_010”The Election of High Taxpayers to the House of Lords and Early Parliaments: Osaka Prefecture as an Example”

          #159江戸時代の贈答品-どんな食べ物を贈っていたか

           普段、調査の際に史料を読んでいると、つい食べ物の名前が出てくると気になってしまいます。史料の中で食べ物の名前が出てくる場合は、おおむね飲食費の支払いなどの際か、贈答品の場合が多いように思います。今回は史料の中で出てきた贈答品についてみていきたいと思います。何度も引用しておりますが、「#055武士と百姓の友情はあり得るか?-食と歴史にまつわる、あれこれ」において登場している、浜松藩の岡村黙之助について、地域の庄屋層の人々とのやり取りの書状が多く残されています。  その中で岡

          #159江戸時代の贈答品-どんな食べ物を贈っていたか

          #158戦争と食事-銃後の生活で食べられていたもの

           「#129戦時下の生活と”普通の人々”」において、こうの史代「この世界の片隅で」を見たという話を書きました。普段から史料を見ている者としては、劇的な出来事などない「普通の人々」のことを史料で読むことの方が多いため、いわゆる戦争ものの映画のような劇的な出来事が起こるようなことより、こうの史代の描いた世界観の方がむしろ当たり前であるので、特に目立った感動は覚えなかった旨を記しました。この漫画原作および映画を見て以降、世の中の大半の「普通の人」の生活をより多く見る方法がないものか

          #158戦争と食事-銃後の生活で食べられていたもの

          #157どうやって金を借りるのか?ー大名貸しの不思議(二)

           領主がどのようにして地域住民からお金を借りていたのかについて、引続き考えていきます。  先の例では、自分の居住地域の領主からの金策に対応している様子を紹介しました。自分たちの領主ではない場合、一応の利害関係はないため、金策に応じなかったために後に不利益を被るというということはないはずなので、わざわざ金策に応じる必要というのは無いように思われるため、今回は居住地域外の領主の金策についてアプローチしてみたいと思います。  次に挙げる例では、自分たちの地域の領主ではない、他の地

          #157どうやって金を借りるのか?ー大名貸しの不思議(二)

          #156どうやって金を借りるのか?ー大名貸しの不思議(一)

           どうやって金を借りるのか、について、最近考えています。  もちろん著者の金策の話ではありません。史料調査をしていると、各庄屋の家から領主層へお金を貸しているケースが散見されます。その場合、概ね返済はされず、苗字、帯刀などの権利が認められるという、特権、名誉を付与することで返済の代替にされることが多いように見受けられます。  ここまで見ると、領主からお金の無心をされれば、領民からすると出さざるを得ないのではないか、という反応がありそうです。確かに、領主と領民の上下関係という意

          #156どうやって金を借りるのか?ー大名貸しの不思議(一)

          #155相続税のことを考える

           昨年のことですが、著者を非常に可愛がってくれた伯母が亡くなりました。著者の家系は近世には地域の庄屋をつとめていた家で、著者の父が三男だったこともあり、分家しておりますが、父の兄、つまり著者の伯父が家を継いで農業を営んでいました。既に伯父は無くなっていたので、伯母が家を相続しておりましたが、今回叔母が亡くなり、著者の従兄が家を相続することになりました。  その家は父の兄の系統なので、いわゆる「本家」となりますが、田畑をいくつか所持しており、著者は近所に住んでいたこともあり、子

          #155相続税のことを考える

          #154飲食物の名前の起源

           先日、ふと、「フェリシテ・ド・ラムネー」という言葉が頭をよぎりました。何だか気になって、少し記憶をたどっていると、どうやら高校時代の現代国語で習った文章であったような気がしました。インターネットで「フェリシテ・ド・ラムネー」と検索すると、下記のリンクにあたりました。  坂口安吾「ラムネ氏のこと」という作品で、高校の現代国語の授業で読んだものだったようです。青空文庫で無料で読めるので、久しぶりに読んでみたところ、坂口安吾が小林秀雄らと三好達治の家で食事をしている時の雑談から

          #154飲食物の名前の起源

          #153おばあちゃんからもらったおやつについて

           以前に「#138菓子の名は…」の回で「奉天」という菓子がかりんとうの一種であることを初めて知った、ということを記しました。奉天やかりんとうは筆者個人の思い出としては、子どものころに祖母を訪ねた時にもらったおやつ、という印象があります。これらと共に、もう一つ、祖母からもらった菓子に「ハクセンコウ」というものがあります。  この「ハクセンコウ」、砂糖を固めたの菓子で、甘いけれども、食べると口の中の水分が取られてしまって非常にもごもごする食べ物として、子ども心にもあまり好きでは

          #153おばあちゃんからもらったおやつについて

          #152”貧乏くさい食べ物”の歴史

           どこの地方でも同じかもしれませんが、郷土の味というのがあり、その土地の出身者には大事なもの、郷愁を感じるものだと言えるでしょう。その味は、出身地を離れると非常に恋しかったり、あるいは他郷の人にけなされるとむっとされることが多いのではないでしょうか。  著者の周りに、職場の元同僚や、大学の先輩で愛媛出身の人が幾人かいます。愛媛出身の元同僚は、日頃から料理に松山揚げを使っていました。松山揚げは一般的な薄揚げを乾燥させたもので、通常の薄揚げだと一週間ほどしか保存出来ないところを、

          #152”貧乏くさい食べ物”の歴史

          #151公家について調べてみる

           昨年から仕事で公家について調べることが増えています。普段は自身の研究として、地方名望家などが対象のため、各地の自治体史などを用いて調べることが多いです。しかし、こと公家について全く畑違いのことなので、一体なにから調べていいものやら、と思い、とりあえず大学の図書館などで何かいい書籍はないものかと探しておりました。今回は公家のことについて調べていた時のお話です。  深井雅海、藤實久美子編『近世公家名鑑編年集成』全26巻(柊風舎、二〇〇九年一〇月)という膨大な資料集があります。

          #151公家について調べてみる

          #150地図から石碑を探す

           二〇二三年一二月に高知県に出張に行き、早朝の時間を使って近隣の墓を探すしたということを「#142高知の墓巡り-身近な身近な史跡、文化財の楽しみ方(20)」で記しました。その際には、ご子孫からの聞き取りだけを頼りに墓を探し回ったわけですが、結局、目的の墓が発見出来ませんでした。後日、地元の郷土史の本に掲載されていることを友人から知らされてその場所は判りました。その際に情報提供してくれた友人から、書籍にもきちんと住所が書かれていないのに、どうやって墓や石碑を探し出すのか、と訊ね

          #150地図から石碑を探す

          #149酒蔵を訪ねて-伝統的技術を引き継ぐ酒造業

           今回は少し日本酒にまつわる話を紹介します。  著者が主催する古文書の勉強会の昨年の忘年会で、参加者の方からの差し入れとして、神戸酒心館(神戸市灘区御影塚町)の「福寿」の原酒をいただく機会がありました。  この福寿という日本酒は、二〇一二年にノーベル医学生理学賞を山中伸弥氏が受賞されたときの晩餐会に供されたとして、「ノーベル賞の酒」ということで当時話題になりました。  今回著者はこの福寿を初めて飲みましたが、実は著者に縁のある日本酒で、かねがね飲んでみたい、酒蔵を訪ねてみた

          #149酒蔵を訪ねて-伝統的技術を引き継ぐ酒造業