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フォーカス職人の矜持

フォーカスプラーという仕事をしていて、言われて一番嬉しい言葉は何でしょうか。

「上手だね」

「センスがいいね」

そのような褒め言葉ももちろん嬉しいのですが、僕は先日の現場で言われた言葉がまさに自分の仕事の真理を得ているようでとても心に響きました。

それは、カメラマンに言われた

「フォーカスの事すっかり忘れてたわ」

という言葉です。

フォーカスプラーが現場で一番注目される時というのはどんな時か。

それは、難しいフォーカスを合わせた時でも、役者の演技と完璧にシンクロした時でもありません。

それは、フォーカスを失敗した時です。

フォーカスというのは合っていて当たり前のもの。

画面の主役は役者の演技であり、カメラワークであり、ライティングです。それらがうまくいかなかった時のやり直しは映像をより良くする取り組みとして認められますが、フォーカスの失敗は単なる「失敗」でしかありません。

毎年のように高画質なカメラが発表され、フォーカス技術も求められる事も高度になっていく中、とんでもなく繊細な「できて当たり前」を淡々とこなし、失敗した時だけ注目を集め、良い仕事をした時は見ているものがその存在を忘れる。

映像表現の土台を支えるのがフォーカスプラーの矜持であり、役割です。

これからももっと「存在を忘れるような」フォーカスができるようになりたい、そう想いを新たにした、現場での一言でした。




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