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日本一自殺率が低く、うつ病受診率の高い海部町と幸せの話

前回に引き続き
幸せについて考えていきます。
その昔、人に借りて読んだ
海部町(かいふちょう)についての調査本の話から幸せについて考えてみようかと。
この町は日本で一番自殺率が低い町とも
いわれる町であり、そこから自殺防止因子とでも言うべきものを調査した本であります。
フィールドワーク本であり、生きやすさや幸せについて社会学的なアプローチを取っているのが非常に面白い書物です。
海部町の自殺率の低さに関しても自殺率の高い所と比較したり、地形の高低さといった環境と精神的ストレスの相関性の調査など、哲学畑に居た人間には新鮮なアプローチ。

表題のうつ病受診率が高いという話でありますが結論を言ってしまうと
自殺率の低い町"なのに"受診率が高いのではなく、受診率が"高いから"自殺率が低いという話なのです。
この町の特徴であるがうつ病になったとしても
それを軽く言えるような風土がある。
それ故に軽度の段階で受診がしやすいというのである。反対に責任感などの理由から人を頼り辛く
中々福祉や病院にかかりにくい町が自殺率の高い所として反例に出されていた。

この風土というのが海部町の特徴であるけども
・緩やかな繋がり
・多様性(ダイバージェンス)
・Give and take精神など……
といった所がある。
いわゆる閉鎖的で、所謂田舎と聴いてイメージする緊密な空間ではない。
歴史的に損得勘定の繋がりあいがあったからか
親密ではありつつも良い意味でのドライさがある。
「病市に出せ」という言葉がこの町にはあり
誰かが病気になったら自身も困るので
互いの為に出していこうというもの。
前述のうつ病受診率の高さもこれに由来するものであり「あそこの人うつになったんやねぇ」
といった会話が出るような空気感なのである。

だけど近隣の町と比較調査をすると
この町は幸福と感じる人が最も少ない。
しかし同時に幸せとも不幸とも感じないと
回答する人が調査では多かった。
住人にはこれをちょうど良いと言う人もいる。
幸せではない=不幸、という訳ではないのだ。

まるで凪のようだなと思いました。
前回の記事では幸せを掴むには?という事を考え
人に与える事こそが精神的コスパが良いのでは
という事も書いたりしましたが
この町の空気感はまずそこまで幸せについて
ガツガツとしていない。
どちらかというとなるべく不幸にならない事に
重きを置いたシステム
とも言えます。
著者も言及していますが鬱は対岸の火事ではなく
幸せを感じれなくなった時の事を考えないといけないと言っています

最近自分の生き方として”鬱飽きた”というスタンスがあります。
今の会社に転職するまでの前職企業では
正直好きではない仕事を好きではない会社で働き
心身がかなりやられてしまっていました。
幸い今は満足できる会社に行く事が出来て
そういった事もあってかなるべくストレス要因を避けるようになりました。
加えて、今僕は32歳というまぁええ感じの年齢になり残り人生が短いのに鬱とか気分落ち込むのに時間が割かれるの勿体無い、飽きた、とこんな風に思うようになりました。
(私自身メンクリ(精神科)に通っていた訳でないのにこんな発言をすると叩かれそうですけども)
そうして今は人生のプラス要因を増やしていくよりもマイナス要因を排除していこうというのが最近の動き方です。
転職後の僕の働き方とかを見て、周囲とは「躁なんじゃない?」「創価か?」なんてやり取りをしていましたが、幸い落ち着いているように思えます。
けどそれがいつまでも続くとは思いません。
ここ数年、元気が取り柄だった友人らがひどい鬱状態に陥ったのを何人も見てきました。著者の言葉を借りていうならば、欝は対岸の火事と思ってはならない。

緩やかな繋がりや多くの要因によって
海部町は不幸になりにくい町として形成されている。
心理的安全性があっての事柄ですが
ある種の繋がりというものはいくつか持つべきであると思う。集団は苦手だから一人で生きるって人もいるが、一人で生きられる力がそんなにある訳ではないように思う。
結局安全に生きるならば何かしらの集団や組織には属すべきであると思う。
だけど強い繋がりは所属しているものに時に緊張を与えるのでゆるい繋がりを多く持つべきなのだろうか。
けどゆるい繋がりは持続性とは相反したものでもある気がする。それは良くも悪くも、そういう繋がりは多様性や流動性がある分そうなってしまうのかなと思う。
(だから法的な結婚というシステムは持続性が高いから昔から重宝されたのだろうか)
ゆるさも固さも、緊張と緩和も使いよう。
ともかく神経を張り詰めすぎずに他人を気に掛け合う、そのような連帯は大事なのかなと思います。

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この記事もわかりやすく要約していて非常に面白かったです。



この本を教えてくれた人、色々ありがとうね!

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