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映画『渇水』を見てきました。

2023年6月2日公開の映画『渇水』を見てきました。

日照り続き群馬を舞台に、水道局員の主人公、岩切(生田斗真)が水道料金支払い滞納者の家庭を周り、それぞれの家庭の事情を目の当たりにしながらも水道の元栓を締めていく。母子家庭の姉妹に対しても例外なく停水執行を実施する。

あらすじ

この映画の原作は震災・コロナ以前の作品ですが、映画化にあたっては普遍的な要素を残しつつもモダナイズされているとのこと。その普遍的な様相はまさに貧困やネグレクトの問題。

姉妹はまさに普遍的な社会課題の中心に位置します。子供ながらに「二人で生きる」と決めながらもその論理から逃れることはできません。そしていよいよ生活資金も尽き、万引きに走ってしまう。

映画で繰り返し語られるのは「太陽、空気はタダなのになぜ水だけがお金をとるのか」ということ。それは市民からも、水道局員の後輩からも発せられ、岩切自身もその考えに至ります。これまで水のように流れ流され「これで十分だ」と生きてきた岩切は姉妹の姿をみて映画のクライマックスに行動に移します。(クライマックスシーンの内容はここでは伏せます)

袋小路のような社会通念の中でもがく姉妹と、その社会通年を諦観して生きてきた岩切はラストシーンの行動で融和します。

私達も日々の生活の中で、姉妹でもあり岩切でもあると感じます。社会課題、社会通念を超克することは難しく、他者との関係性や既存制度の中で妥協し、修正していく。

映画全体はカラッとしていてとても見やすく、テーマの割に絵面は健全です。場面の転換は急と感じることもありましたが、それぞれに印象的です。岩切の価値観をスイッチさせる場面があるのですが、バックのギターサウンドとあわさってとても雄壮で印象的です。あのシーンまた見たい。

それにしても生田斗真はかっこいいな・・・。


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