見出し画像

October 13, 2021 / 輪廻


『LUNATIC PLAN(e)T』に2つの軸が見えてきた。ひとつは親から子へと繋ぐ種の連鎖。もうひとつは木になることで種を飛び越える命の連鎖。後者の連鎖は私が持つ輪廻のイメージに近い。輪廻というと輪を連想するが、私が考える輪廻とは糸が絡み合い「ヨリ」を作ってるような形をしている。たくさんの糸が宇宙誕生と共に生まれ、途切れることなく現在に繋る。しばらく後に「ヨリ」は解けて、他の新しい糸と再び「ヨリ」を作る。その糸とは宇宙に存在する原子のことで、たくさんの糸が集まってできた「ヨリ」は宇宙を構成する有機物や無機物を指す。私とは偶然生じた糸の「ヨリ」のようなモノなのだ。

人の細胞は3-4ヶ月で90%が入れ替わると言われている。新陳代謝の過程でかつて私だった細胞は老廃物として排出され、バラバラに分解されて別の何かへと姿を変えていく。それは空を飛ぶ鳥かもしれないし、路傍の石かもしれない。食事や呼吸によって新しく私に取り込まれた物質は、かつてあなたの一部だったものかもしれない。

1度私となった原子ひとつひとつに私の意思が宿っているのでは?と考えてしまう。死を迎えると私を構成していた物質の結合が解かれ肉体が崩壊するが、原子そのものは消えない。私は細分化され世界に溶け、かつて違う生を生きていたものたちと混ざり合い、新しいものへと姿を変えていく。これが私が想像する輪廻である。

私は死んだ後に自分というものが完全に無くなるとは思っていない。それが嬉しいことだとは思っていない。色んなものに姿を変えて私の意思が残ることをとても恐ろしいと感じている。人間はありとあらゆるものをぞんざいに扱っている。私が動物や自然に対する人間の非道な行いを無くしたいと思うのは、いずれ自分が受ける側になるかもしれないという自己保身のためなのである。動物実験で殺される犬やウサギを見て、あれは私かもしれないと思う。獣害として殺され、焼却処理される鹿や猪のビニール越しの目を見て、自分の家族や友人を感じてしまう。

『LUNATIC PLAN(e)T』で、動物たちは木になり森を作る。それは皆が生きていくための環境を作るためで、個々の動物が生き延びるためではない。生き物全体をひとつの生命と捉え、その生命が生きていくための選択なのである。本来なら誕生と死を繰り返すことで起こる生命の混ざり合いが『LUNATIC PLAN(e)T』の世界では、動物が植物にメタモルフォーズすることで性急にその営みが描かれる。


✳︎この記事はパトロン限定の制作日記です。2022年の日記なので時間差があります。リアルタイムの制作日記はパトロンにご入会いただいた方に配信しています。

《 パトロン募集中 》
新作アニメーション『LUNATIC PLAN(e)T』のために会員制のパトロンを募集しています。1ヶ月お試しでのご入会も大歓迎です。毎月固定の支援をいただくお返しに、限定公開のブログを読んでいただいたり、オリジナルグッズをお送りします。いただいた支援金は『LUNATIC PLAN(e)T』の制作に使わせていただきます。

〈 HACKK TAG 〉クリエイター支援クラウドファンディング
https://hackktag.com/sukimaki

     

ここから先は

0字
*春頃に前年の記事を追加していく予定です。

『LUNATIC PLAN(e)T』は宇宙を舞台にしたSFファンタジーです。現在は脚本の骨組みが完成し、アニメーションの制作に取り掛かり始…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?