7年前の6月に、新婚旅行に行った。
行き先はイギリスで、私たちはマンチェスターとロンドンに滞在した。夫は海外旅行が初めてで、休みが取れたのは5日間。それでもイギリスを選んだのは、彼が好きな音楽と洋服の文化が楽しめる場所だと思ったからだ。
おかげで弾丸だった5日間、トラブル多発の5日間であった。
あれからもう7年も経ってしまったが、備忘録として忘れたくないことを記しておきたい。

大切な思い出の一つ、それはビーフパイだ。
久しぶりの海外を楽しみにしていた私は、事前に行き先周辺のレストランやショップをリサーチしまくっていた。その時ふと思いたつ。「あっ、イギリスに行くなら本場のパイが食べたい！」

高校生の頃、英会話を習っており、その英会話スクールにはお気に入りの先生がいた。イギリス出身だった彼女は、ベリーショートで前歯が少しすきっぱの笑顔がかわいい人だった。好きな食べ物を聞いた時、真っ先にパイだと答えた。そして、日本だと恵比寿にある「What the Dickens!」で美味しいパイが食べられることも教えてもらった。その後、What the Dickens!には何度も足を運んだ。
このお店のおかげで私はパイは美味しいものだと知る。

羽田からマンチェスターに着き、最初に向かった店が「Pie＆Ale」だった。事前にネットで私が目星をつけていた飲食店である。確かスタッフにおススメを聞き、ビーフパイを選んだように思う。

美味しかった。その店のパイはとても美味しかったのだ。
夫と私の口からは何度も心からの「美味しい」が漏れた。実際、信じられないくらい美味しかった。マンチェスターに2泊したが、翌日もこの店に来たいと夫は言った。

7年経った今でもいまだに話題に出るマンチェスターのパイ。また美味しいパイが食べたい。引越してしまったので、恵比寿までパイを食べに行くには少し遠い。でも、宝くじが当たったら私たちはマンチェスターにパイを食べに行くだろう（宝くじ買わないけど…）。

あれから、まだ美味しいパイに出会えていない。