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カーティシュー!|ピーターラビットのおはなしをAI翻訳してみた 6


... but Peter wriggled out just in time, leaving his jacket behind him.

DeepL 訳 →
ピーターはぎりぎりのところで、上着を残して脱出しました。

DeepL さん、「上着」から「ジャケット」になったと思ったのに、また「上着」にもどってしまった。優柔不断!

私の訳 →
でも ぴいたは からだを よじって ききいっぱつで にげました。
じゃけっとは ぬげちゃったけど。

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And rushed into the tool shed, and jumped into a can.
It would have been a beautiful thing to hide in, if it had not so much water in it.

DeepL 訳 →
そして、道具小屋に駆け込み、缶の中に飛び込んだ。
缶の中に水が入っていなければ、隠れるには絶好の場所だったのだが。

ここの can は water can (ジョウロ)の省略だから「缶」は NG だ。マグレガー氏が野菜畑の作物に水をやる時に使うジョウロが小屋の中に置いてあり、ピーターラビットはその中に飛び込んだ。

日本語のジョウロはポルトガル語の jorro が転訛したもの。如雨露という当て字もあるが、絵本にはもちろん使わない。私は「じゃけっと」と同じようにジョウロも「じょうろ」とひらがな表記にした。

私の訳 →
いそいで こやの なかへ! じょうろの なかに とびこみました。
ちょうどいい かくればしょって おもったんだけど・・・
きゃ! おみずが たくさん はいっていたのです!

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DeepL 訳は if it had not so much water in it (もしそんなに多くの水が入っていなければ)という部分を「缶の中に水が入っていなければ」と訳して先に書き、その後に「隠れるには絶好の場所だったのだが」としている。

これでは、ストーリーテリングが台無しだ。

はらはらドキドキしながら物語を聞いている(読んでいる)こどもたちにとっては、

グーズベリーのネットから脱出!

マグレガーじいさんがきた!

ふるいをもってる! かぶせられそう!

ジャケットを脱いで、ぎりぎりで脱出!

小屋があった! 駆け込む! 

ジョウロがあった! 

飛び込む! ここに隠れたら大丈夫だ!

きゃ! 冷たい! 中に水が入っていた

という順序でおはなしを味わってもらいたい。だから、

It would have been a beautiful thing to hide in, if it had not so much water in it.
私の訳 →
ちょうどいい かくればしょって おもったんだけど・・・
きゃ! おみずが たくさん はいっていたのです!

英語で読むこどもたちが味わうはらはらドキドキを、日本語で読むこどもたちにも味わってもらえるように翻訳する。ここは、大学の翻訳の授業でも、高校までの日本の英語教育で学習してきたいわゆる「英文和訳」と「翻訳」の違いを学生たちに理解してもらうために、そのような説明をする。。


Mr. McGregor was quite sure that Peter was somewhere in the tool-shed, perhaps hidden underneath a flower-pot. He began to turn them over carefully, looking under each.

DeepL 訳 →
マクレガー氏は、ピーターが道具小屋のどこか、おそらく植木鉢の下に隠れていると確信していました。慎重にひっくり返して、それぞれの下を見ていきました。

私の訳 →
まぐれがー じいさんが こやに きました。
うさぎは ぜったい ここに いるぞ!
うえきばちの したかな?
ひとつひとつ そうっと もちあげて
ぴいたを さがします。

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Presently Peter sneezed ---
"Kertyshoo!"
Mr. McGregor was after him in no time.

DeepL 訳 →
やがて、ピーターは
「カーティシュー!」とくしゃみをしました。
マクレガー氏はすぐに彼を追いかけた。

私の訳 →
そのとき ぴいたが・・・
く〜〜くっしゅん!
と くしゃみを してしまいました!
すぐに じいさんが こっちの ほうへ やってきました。

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大学の翻訳の授業でこの部分を課題にすると、Kertyshoo! をアルファベット表記のままにしている学生と、AI翻訳で出てくる「カーティシュー!」または「ケルティシュー!」にして提出する学生が大半だ。

「はくしょん!」などクシャミの擬音語にしている学生は少なく、ましてや「く〜〜くっしゅん!」とできる学生は非常にまれ。もしいたら大幅に追加点をプラスする。


ぴいたの くしゃみを きいて まぐれがー じいさんが
こっちへ やってきます。 ぴいた、 どうする? (つづく)


*画像は The Tale of Peter Rabbit より

★私の翻訳は、私「すみ」の著作物です。無断転載を禁止します。
★引用する時は出典を明記してください。

*記事中に引用した DeepL の翻訳は 2021年8月当時のものです。DeepL は日々進化中のため、現在は引用とは異なる訳が表示される場合もあります。