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【短歌】降誕劇|文語の定型短歌を詠む 31

羊飼ひになりたき男子をのこ数多あまたをり高校生が羊になりぬ

背の高き「羊」一頭幕間まくあひに「羊飼ひ」らの世話してをりぬ

のっそりと歩む「羊」に目もくれず「牧人」まきびと園児らびはね回る

歌ひ終へ感極まりて泣き出せる降誕劇こうたんげきの幼きマリア

泣きじゃくる「マリア」を撫でて慰むる「ヨゼフ」は八歳 利発な少年

台本に無き展開に大人らは泣き笑ひ泣く降誕劇ページェントかな

2013年12月 詠 『橄欖』2014年3月号 初出